シャーシ
シャーシ(chassis)、またはシャシとは、自動車の基本的な骨格を指す言葉である。なお、シャーシには基本骨格にエンジンやサスペンションを搭載した基本構造の意味や、自動車の土台になる部分もあったり、または足回りの機構を指す言葉だったりと意味が広い言葉である。現在ではより広義のプラットフォームという呼び方が使われることが多い。
概要[編集]
現在の自動車のシャーシの構造は大きくわけてフレーム構造とフレームレス構造(モノコック)に分けることができる。車からボディを取り除いたもの。かつて乗用車においてはフレーム構造が一般的であり、かつ最も伝統的な構造であった。一方、現在では軽量で優れた剛性をもつモノコックボディが主流となっている。
フレーム構造[編集]
丈夫なフレームにエンジンや駆動系などを組み込み、フレームだけでも走行できる構造である。フレームとボディは別構造のため、走行性能のほとんどがフレームの完成度に左右されるのも特徴の一つ。フレームレスのモノコックボディよりも強度や耐久性に優れるため、トラックにおいては今もなお主流の構造である。また、オフロードを走行するクロスカントリー車においてはその頑丈さと重さの点から採用されることも多く、本格クロカン車の要件としてラダーフレーム[注 1]の採用が挙げられるほどである[注 2]。しかし、車高が高くなることや重量のため燃費性に劣るなどの点から乗用車はフレームレス構造に移行していった。なお、トヨタ・クラウンもモノコックボディに移行したのは9代目からである。
なお、フレーム構造の一種として、マルチチューブラーフレーム構造がある。これはモノコック構造に勝る衝突安全性と剛性を持ち、より軽量である。一方で大量生産に向かないため、スーパーカーやレーシングカーなどで採用されている。なお、バスにおいてはこの形式が主流。
フレームレス構造[編集]
フレームを持たず、モノコックボディと呼ばれる構造体で直接サスペンションやエンジンを支持する方式である。それまで主流であったフレーム構造よりも軽量で剛力を確保できるほか、衝突時に変形することでエネルギーを吸収し、乗員へのダメージを軽減できるなどの利点がある。一方で構造体の変形により強度や剛性が低下しやすく、経年車などではサビなどの影響も受けやすくなる。これは修理でも元に戻すことは難しく、中古車販売のサイトや情報誌に「修復歴」が記載されているのはこのためである[注 3]。 衝突安全性と軽量化による走行性能の向上、そして低燃費性などの点から現在の乗用車の主流となっている。
プラットフォーム[編集]
自動車におけるプラットフォームとは複数の自動車間で共通する基本構造を指す言葉である。前述のように、自動車雑誌などにおいてはシャーシの代わりにこの語が用いられることが多くなっている。プラットフォームはシャーシとパワートレイン、サスペンションやステアリングで構成されると表現されるものの、車内の内装なども含めることがある。プラットフォームを共有する車は姉妹車とよばれる。代表的なものとしてトヨタのNBCプラットフォームがあり、初代ヴィッツとプラッツはもちろん、初代プロボックス/初代サクシードも同様のプラットフォームを採用している(内装類にも類似が見られる)。また、プラットフォームを明らかにしていない場合でも同様のプラットフォームを採用している(とおもわれる)例も当然あり、スバル・インプレッサの初代(後期型)とスバル・フォレスターの初代などがあてはまる。
玩具におけるシャーシ[編集]
自動車を模した玩具において、ミニ四駆などのカスタマイズ性のある玩具の場合は動力パーツを装着するシャーシにバリエーションを持たせているものがある。ミニ四駆を例に挙げれば、フロントモータータイプのFMシャーシや両軸モーターのMSシャーシなどがある。