クロスオーバーSUV

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クロスオーバーSUVとは、自動車カテゴリの一種である。SUVセダン(もしくはステーションワゴンコンパクトハッチ)の中間的な位置づけとされている。Crossover Utility Vehicleの頭文字をとってCUVと呼ばれたり、クロスをXとする慣習からXUVなどと表記されたりする。メーカーの販売戦略により、シティ派SUVや都会派SUVとアピールされることも多い。

概要[編集]

SUVの要素を有しながら一般的な乗用車と同等な走行性能を持つ。本格的なSUVと異なり、フレーム構造を用いずにモノコックボディであるなど、舗装路での乗り心地や取り回しに優れた車種が多く存在する。現在では単にSUVと言えばこのクロスオーバーSUVを指すことが多く、従来のクロスカントリー系のSUVに変わってSUVの代名詞となりつつある。それだけでなく、乗用車の基本的なボディスタイルとして長らく主流なポジションにいたセダンがクロスオーバーSUVに置き変わる例も出ており、将来的に乗用車のデファクトスタンダードになる可能性も指摘されている。

もともとは既存車種にSUVのようなキャラ付けやフラットダート[注 1]を走破出来る程度の性能を与えたような位置づけであった。そのため、従来の武骨なクロカン系SUVのイメージでクロスオーバーSUVをカテゴライズしようとすると理解が難しくなるとも言われている。その最たる例はスバル・レガシィの派生車種であるスバル・レガシィアウトバックである。この車種はベース車であるレガシィをリフトアップし、全天候タイヤを装備したタイプのクロスオーバーSUVであるが、なんと「ノッチバックセダンもラインアップされていたのである。従来のSUVの特徴であるハッチバック・フレーム構造・余裕のある最低地上高・大径タイヤが皆無であるが、これでもカテゴリ上はクロスオーバーSUVである。このことから、一部分でも何かがクロスオーバーしてSUVの要素を持っていればクロスオーバーSUVであるという説もある[注 2]

近年の輸入車に多いクーペ型SUVなどもこのクロスオーバーSUVに分類されることが多い。そのため、過去に販売されていた車種も含めればセダン・クーペ・ステーションワゴン・コンパクト(ハッチバック)というオーソドックスなボディタイプのほぼすべてがSUV風にクロスオーバーしているといえる。なお、オープンカーのSUVというジャンルがないわけでもない。

性能[編集]

高い視点や比較的大径なタイヤ、AWDの設定など、外観上はSUVに共通する要素を持つ車種が多いものの、本格的なクロスカントリー系SUVとは異なり走破性を重視していなかったり悪路走行を禁止している車種は多い。一部の車種では悪路走破性をアピールしている車種もあるものの、モノコック構造のため、悪路を常時走行するような使い方もボディの寿命を著しく短くしてしまう[注 3]

しかし、その分軽量なモノコック構造により燃費や衝突安全性などのメリットも多く、運転に対する快適性についても優れているものが多い。そのため、普段使いや長距離クルーズなどもこなせる万能車でもある。

一般にステーションワゴンやセダンに比べて運動性能は劣るものの、乗り降りにちょうど良い車高の車種も多く、使い勝手が良いという利点もある。また、ミニバンなどに比べると積載性に劣るものの、剛性や運動性能には優れている。

様々なクロスオーバーSUV[編集]

クロスオーバーSUVはその出自から様々なキャラクター性を持つの車種が販売されてきた。そのため、一口にクロスオーバーSUVといっても高級系やスポーツ系など様々な車種が存在している。

コンパクト系[編集]

コンパクトカー程度大きさでSUVの特徴を備えた車種である。2代目ダイハツ・ロッキースズキ・クロスビーなど、高い視点と小型ならではの取り回しの良さから人気のあるジャンルである。この分野においてスズキは強く、軽自動車においてもスズキ・Keiスズキ・ハスラーなどがある[注 4]。 また、日産・ジュークはコンパクトで安価なクロスオーバーSUVとして海外において人気が高く、日本では1代限りであったがオーストラリアなどでは継続して2代目が販売されるほどである。

スポーツ系[編集]

従来からのスバル・フォレスタートヨタ・RAV4など、アウトドアスポーツをイメージしたジャンルである。これらはオフロード的なキャラクターがつけられており、軽い未舗装路程度であれば余裕のある最低地上高と電子制御のAWDで安定した走行が可能なこともある。しかし、前述の通りボディの歪みによる影響も大きいことから本格的なオフロード走行には向かないとされている。 近年ではこれらのアウトドアスポーツ的なクロスオーバーSUVだけでなく、かつてのスポーツカーのようなオンロードタイプのクロスオーバーSUVもリリースされている。ランボルギーニ・ウルスなどは高級SUVとしての側面は強いものの、最高出力650PSを絞り出すV8エンジンを搭載し、最高速度は300km/h以上と世界最速のクロスオーバーSUVと言われている。

高級系[編集]

現在のような高級車としてのクロスオーバーSUVの始祖は1997年のトヨタ・ハリアーとされている。[注 5]。日本市場で成功したハリアーはレクサスでもRXとして販売され、高級クロスオーバーSUVとしてその地位を確たるものとした。現在では国内外の自動車メーカーが追従しており、2022年にはトヨタ・クラウンがクロスオーバーSUVとして発売されるなど[注 6]高級車のスタンダードとなりつつある。

なお、あの黒塗りの高級車がクロスオーバーSUVとしてモデルチェンジするという噂があるが、出所がベストカーのため[注 7]信憑性は低い。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 整備された砂利道のような路面のこと
  2. 結局のところは製造元であるメーカーによるカテゴライズが正解となるため、メーカーがクロスオーバーSUVとして発表していればクロスオーバーSUVなのである。もっとも、あまりにかけ離れている場合には市場でカテゴライズされる可能性がないわけでもない
  3. モノコックボディはボディ全体と装着されるパーツにより剛性を保つため、一部に歪みが出ると全体の剛性低下などの問題が発生するため
  4. 同社は軽自動車ながら本格的なクロカン系SUVであるスズキ・ジムニーも販売している
  5. ランボルギーニ・LM002が高級志向のSUVの元祖という声もあるが、LM002は本格クロカンSUVであり、生産台数も328台と少ないため、クロスオーバーSUVとして、かつ商業的に成功したものとしてはハリアーであるという
  6. 実際はCUVのほかにセダンなど3種類のボディタイプをラインナップする
  7. 通称自動車版の東スポ