スバル・EJ型エンジン

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スバル・EJ型エンジンとは、スバル1988年から2020年までの32年間にわたって製造していた自動車用の水平対向エンジンである。

4気筒をベースに排気量が1.5~2.5Lまでラインナップされ、自然吸気ターボチャージャーによる過給付きがそれぞれラインナップされるなど、スバルの自動車エンジンとして長い期間開発・製造され続けたエンジンである。

特徴[編集]

先代のスバル・EA型エンジンよりも高出力化に対応しているエンジンである。とはいえ、ステアリング機構を備えるフロント側に搭載されるため、横幅に対するサイズ的な制約が大きく、ビックボアでショートストロークな構造になってしまっている[注 1]。このようなエンジンは熱効率や燃費性能が悪く、低回転域のトルクが細くなってしまうという特徴がある。しかし、高回転域での吹け上がりや出力特性には優れているという特徴も持っている。そのため、このEJ型エンジンは(街乗り程度で気にするほどではないが)低速トルクが細く、エンジン回転数を上げないと真価が発揮できないエンジンと評価する者もいる。しかし、スバルの技術により、長い間改良され続け、数々の弱点を克服してきたエンジンである。 改良を受け続けたため、かなりの派生型や改良型がつくられており、初期のEJ型エンジンと最終期のEJ型エンジンで共通しているのはボアストローク比と外観程度と言われることもある。車の形式だけでは搭載されているエンジンが特定できないため、年式やグレードなども併せて調べる必要がある[注 2]

なお、タクシー会社や環境対応仕様としてCNG仕様やLPG仕様が生産されていたという噂がある。

なお、スバルの次世代を担うエンジンは2010年にスバル・FB型エンジンが開発され、ターボ用の後継エンジンとしてスバル・FA型エンジンが開発された[注 3]

昭和時代に設計され、令和に至るまでの30数年の間に時代に合わせた改良がなされ続けた稀有なエンジンである。構造上、ストローク長が取れないという制約やオイル漏れなどの要因を長い間抱え続けながらもスバルの多くの車種[注 4]を支えた名エンジンであることに変わりはないだろう。


EJ20[編集]

EJ型エンジンの中でも特に重要な位置づけとなっているのが2LクラスのエンジンであるEJ20である。スバルのスポーツエンジンの代名詞でもあり、改良を受け続けた結果としてインプレッサのグレード並に多様な種類が存在する。ここではその一部を例示する。

EJ201 自然吸気SOHC仕様
レガシィのBH5などに採用された。
EJ204 自然吸気DOHC+AVCS仕様
初代インプレッサのSRXに搭載されたNAスポーツエンジン。グレード自体は闇に葬られたものの、2015年まで改良されて各車に搭載され続けた隠れた名エンジンである。何気にインプレッサ初のAVCS搭載エンジンであるほか、GC/GFの後期型としては唯一のダイレクトイグニッション仕様である
EJ205 シングルターボ 240ps仕様
初代インプレッサWRXの後期型のエンジンである。出力は据え置きであるがトルクが微増している。また、E型までのEJ20Gと比較すると過給が若干マイルドになっている。
EJ207 シングルターボ 280ps仕様
初代インプレッサWRXSTiに搭載されたエンジンであり、当時は不等長エキマニでAVCSもなかったが、いつの間にか等長エキマニになり、AVCSが付き、シングルターボがツインスクロールターボになりデュアルAVCSも装着されるなど、仕様がやたら多い。ものによっては吊るしで300psを超えている。
EJ208 ツインターボ 280ps仕様
レガシィの上位グレードなどに搭載されたハイパワーエンジンである。ツインターボにより低回転と高回転でそれぞれのターボが過給していたが、タービンの切り替えのタイミングでトルクの谷ができていると指摘されていた。
EJ20X ツインスクロールターボデュアルAVCS仕様
三代目インプレッサに搭載されたEJ20。出力は250ps程度に落とされており、シングルターボで低回転から高回転域まで加給できるツインスクロールターボにより快適な乗り心地が味わえるらしい。実際のところ、GC/GFのEJ20GやEJ205より低回転域でも扱いやすく、踏めばそれなりの加速力をもって答えてくれる守備範囲の広いエンジンであると感じる。

発展型[編集]

EL15
EL15というEJ15の発展型となるエンジンが短い期間であるが存在していた。これは2代目インプレッサの後期から3代目インプレッサに搭載された1.5LのDOHC・NAエンジン仕様である。EJ15はSOHCであり可変バルブタイミングのAVCSを持たなかったが、EL15ではAVCSも装着され出力も110PSとなっている。
EG33
スバル・アルシオーネSVX専用として開発されたEG33型エンジンであるが、これはEJ22型に2気筒追加した様な設計となっており、事実上EJ型エンジンのバリエーションの一つとされている。3300ccの排気量で240PSを発揮するエンジンであった。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. なお、2LクラスのEJ20エンジンのボア径とストローク長の比率は約0.81。これは日本車でも有数の小ささであり、同クラスでこれより小さいのは1989年に販売されたホンダ・レジェンドに搭載されていたC20Aエンジン程度である
  2. 例とすれば、GC/GF型インプレッサに搭載されたEJ型エンジンはEJ20で3種類、そこにEJ15、EJ16、EJ18が存在する。中でもEJ20はピストンの材質や弁隙間調整の方法、シリンダーブロックの構造がクローズドデッキからオープンデッキになるなど、細かな改良が加えられている。そのため、単にGC型のエンジン移植といってもすんなり納まるとは限らない
  3. トヨタとの共同開発したFA20Dではなく、インジェクション関係をスバルの自社開発したものを使用したエンジンであり、さらに高出力に対応したものである
  4. 軽自動車やOEM、海外専売モデルを除くスバルの自動車はEJエンジンを搭載していた