アブドーラ・ザ・ブッチャー
アブドーラ・ザ・ブッチャーは、カナダの黒人レスラー。日本で長らく悪役を超えた存在として親しまれた。
得意技は空手でいう「貫手」であり、「地獄突き」と云われた。
概要[編集]
昭和時代はスーダン出身を自称していたが、本当はカナダ人である。プロレスに転向する前はプロ空手で鳴らしていたが、体重が増加し空手ではやっていけなくなりプロレスに転向した。
初来日ではステテコのようなものを履いており人目を引いている。関係者のアドバイスで空手のポーズを取り入れるようになってから人気が上昇した。
流血試合を得意としており「ドラム缶一本分の血を流した」と豪語している。
ヒールとしてザ・シークと組みアラブ出身のシークに合わせて頭にクイーヤを巻き、先の尖った凶器シューズを履いていた。手の指に包帯を巻き地獄突きの威力を倍増させていた。
全日本プロレスを主戦場にしていたが、ある時清涼飲料水のCMにアイドルと共演して「つぶらな瞳なのに悪役レスラーだとは信じられない」との評価が女性達から出て、プロレスファン以外の一般層からも注目された。人気がピークに達したころ、梶原一騎を介してアントニオ猪木に興味を持たれIWGPに参加するとの名目で、新日本プロレスに活動の場を変えるが、長州力の台頭と入れ替わるように人気は凋落していった。
一説によるとリアルでも仲の悪かったディック・マードックとの対戦を要求されて、それを渋ったことによるイメージダウンだと言われている。
その後全日本プロレスに戻り、馬場の死去後はインディーズ団体を渡り歩くようになった。
現役生活は長く、少ないペースで試合をしながら焼き肉レストランを経営していた。
キャリアの晩年に対戦相手から流血試合で肝炎ウイルスをうつされたと訴えられ、裁判の結果敗訴して莫大な慰謝料を払う事になった。日本で稼いだファイトマネーは、ほとんど残っていなかったという。じつは母親思いであり、「悪役プロレスラー」というキャラクターを演じていることに負い目があったという。兇器攻撃においては、キリンビールの栓抜きを愛用していたという。
ライバル[編集]
オープンタッグ選手権でのザ・ファンクスとの血の抗争でブッチャー時代は花開いたと言っていい。特にテリー・ファンクとのシングル対決では割れたビール瓶を使った放送が中断される事態となった。
他の抗争相手としては、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、大木金太郎、ザ・シーク、ブルーザー・ブロディらである。
世界王者だったハーリー・レイスとも度々抗争し、レイスは腕に埋め込んだ鉄でブッチャーを投打し、流血戦へと発展している。ある時は、文字通り路上にてストリートファイトを行い京葉道路封鎖事件を起こしている。
新日本プロレスのタイガー・ジェット・シンとはホテルのコーヒー代でもめ、犬猿の仲になった。タッグは組んだが最終的に仲間割れした。その後、再度タッグを組むが、それきりで終わっている。
歴代のパートナー[編集]
パートナーにはなれなかったが全日本プロレス所属の桜田一男を高く評価しており、自分のパートナーにしたいと盛んに秋波を送っていた。彼が後のケンドーナガサキである。
類似キャラ[編集]
似たようなアンコ型の選手としては、カマタやキマラの他にグレート・マーシャルボーグという選手がいる。
時代は別だが大仁田厚のFMWにはカリーム・スーダンというブッチャーのぱちもんみたいな選手が登場した。
サブカルチャーへの影響[編集]
個性的な体形から数々の漫画やアニメのキャラクターとして流用されている。ロボットアニメ『ザンボット3』の敵役ブッチャーはもろ本人だし、『北斗の拳』のハート様もそっくりである。『バズーカ・花平!』では幼馴染を犯す役として登場しているし、完全にモデルにしてしまった河口仁の『愛しのボッチャ―』という漫画作品もある。この作品に関してブッチャーは「俺にいくら入るんだ?」と語ったそうである。
梶原一騎原作の『プロレス・スーパースター列伝』には本人が登場するが、鍋で炒めた砂利の中に地獄突きをする特訓など、梶原ファンタジー満載の内容になっている。