アカウミガメ
アカウミガメ | |
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分類 | |
界 | 動物界 |
門 | 脊索動物門 |
綱 | 爬虫綱 |
目 | カメ目 |
亜目 | 潜頸亜目 |
上科 | ウミガメ上科 |
科 | ウミガメ科 |
亜科 | アカウミガメ亜科 |
属 | アカウミガメ属 |
種 | アカウミガメ |
名称 | |
学名 | Caretta caretta (Linnaeus,1758) |
和名 | アカウミガメ (赤海亀) |
英名 | loggerhead sea turtle |
保全状況 | |
IUCNレッドリスト | 危急種 (IUCN 3.1) |
ワシントン条約 | 附属書Ⅰ |
アカウミガメとは、ウミガメの一種である。
生態[編集]
太平洋や大西洋、インド洋、地中海の熱帯・亜熱帯の沿岸に生息する[1]。メキシコ湾流やカリフォルニア海流などの暖流の乗って、長距離を移動して、北太平洋に分散する[2][3]。
成熟する前に、日本近海に戻って来て成熟する。成熟した大型個体は東シナ海などの浅瀬域に定着し、小型個体は日本の南方や東方の太平洋を回遊する[3]。
動物食性が強い雑食で、軟体動物やエビ、カニ、ウニ、海綿、クラゲを食べる[4][5]。野生では素速い魚はめったに食べない[6]。
産卵期は、4月〜8月。夜中に砂浜に上陸し、前足で30~40cmほど砂を掘って、その掘った穴に産卵する[5]。
卵が29度より高温であればメス、低温だとオスになる[7]。
日本では、北海道南部以南のほぼ全体で見ることで出来、福島県以南の太平洋沿岸・南西諸島で産卵する[8][9]。
産卵[編集]
産卵数は約100~150卵。シーズン中には、メスは2週間ごとに1〜5回産卵する。産卵してから50~70日後に孵化する[1]。
本州や四国、九州で産卵するのは、殆ど本種であり、日本の砂浜で産卵するウミガメは、アカウミガメが最も多い。だが、慶良間諸島以南ではアオウミガメの方が多くなる[3]。
浜辺の磁場を感知することができ、雌は、生まれた砂浜に類似した磁場を持つ砂浜を産卵場所にする[10]。
形状[編集]
甲長は大きいもので約1mになり、ウミガメ科の中で一番大きくなる。体重は平均110キロで、450キロの個体も発見されている[4]。
甲羅は、ハートのような形で、背甲の前項部は広いが、後方になると狭くなる。色は背面は赤褐色で、腹面は淡黄色である。幼体は黒ずんでいる。
甲板は中央の板が5~6枚で、肋甲板は、基本的に5対だが、4対や5対以上あることもある。
他のウミガメと比べ頭が大きく、英名の由来になっている[6]。
口は鳥のくちばしのような形である[5]。
分類[編集]
爬虫綱カメ目ウミガメ科アカウミガメ属に属する。アカウミガメはアカウミガメ属の唯一の種である。
カール・フォン・リンネにより1758年に記載された。
学名はフランス語で「カメ」を意味する「Caret (ka.ʁɛ)」に由来する。
1963年に中村健児と上野俊一によって「アカウミガメ」には、Caretta carettaとC. olivaceaの2つの学名が混同されて使われていることが指摘された。両氏によりCaretta carettaの和名として「オオアカウミガメ」と命名された[11]。
1967年に、西村三郎と原幸治は、白浜水族館と上野動物園水族館で飼われているアカウミガメと剥製81個体を調査した。穂とがC. carettaと同定され、Lepidochelys olivaceaは新潟県寺泊町(現:長岡市寺泊地域)や福岡県志賀島などで捕獲例はあったが、非常に少数であった[11]。
その結果から、アカウミガメとして広く容認されているのはC. carettaであることから、「アカウミガメ」はC. carettaであり、L. olivaceaには「ヒメウミガメ」と命名された[11]。
人間との関係[編集]
護岸工事や産卵地の減少、混獲やビニールゴミの投棄などにより、絶滅危惧に指定されている[5]。
稚ガメが孵化してから、海に行く進路は光が関係しており、夜間のヘッドライトなどの光るものがあると進路方向が狂う[1]。
アカウミガメは、1990年以降の産卵するために上陸する個体が激減した。1998年以降一部の海岸では回復していたが、減少していた海岸も多かった[3]。
沖縄県での調査では、2008年~2014年に上陸するアカウミガメが増加していたが、2015年に再び減少するようになった[3]。
脚注[編集]
- 脚注
- 出典
- ↑ a b c “アカウミガメ”. 福岡県レッドデータブック. 2022年8月29日確認。
- ↑ “絶滅の危機が迫る、ウミガメについて”. wwf (2009年9月14日). 2022年7月27日確認。
- ↑ a b c d e 平手康市、河津 勲 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-動物編- 3 5爬虫類』、2017年5月17日。
- ↑ a b “アカウミガメ”. ナショナルジオグラフィク (2014年12月1日). 2022年7月27日確認。
- ↑ a b c d “アカウミガメ”. 高鍋町 (2023年5月22日). 2022年8月29日確認。
- ↑ a b “赤道の海【アカウミガメ】”. 名古屋港水族館. 2022年8月29日確認。
- ↑ “ウミガメの繁殖研究”. 名古屋港水族館. 2022年7月27日確認。
- ↑ “アカウミガメ”. 美ら海水族館. 2022年8月29日確認。
- ↑ “三重県総合博物館 アカウミガメ Caretta caretta”.
- ↑ “アカウミガメは自分が生まれた浜辺と似た「磁場」を持つ浜辺を産卵場所に選ぶ”. GIGAZINE (2018年4月16日). 2022年8月29日確認。
- ↑ a b c 西村三郎、原幸治「日本近海におけるCarettaとLepidochelys」、『爬蟲兩棲類學雑誌』第2巻第2号、日本爬虫両棲類学会、1967年、 31-35頁、 。