ISIL
イスラム国(イスラムこく、Islamic State、イスラーム国)は、武闘派イスラム主義(サラフィー・ジハード主義)を唱える自称国家。略称IS、ISIL。
概要[編集]
イラク共和国、シリア・アラブ共和国で活動している組織が、2014年6月29日に樹立を宣言した国家。
国家としては認められておらず、アメリカ合衆国からはテロリスト認定を受けている。カリフ制イスラム国家の樹立のために武力を用いており、神(アッラー)の判断ということでテロ(ジハード)を行う。欧米の若者をも取り込んでおり、これは欧米社会の冷酷さからの絶望と反発から、イスラム国の過激でピュアな動画に共感した結果であると言われる[1][2]。
初代指導者は自称カリフのアブー・バクル・アル=バグダーディー。
国際テロ組織アルカイダの流れをくむイスラム過激派組織とされている。2011年から開始されたシリア内戦が泥沼化する中で台頭し、シリアとイラクにまたがる広大な地域を支配し、2014年6月にイスラム教に基づく国家樹立を宣言した。ただし一方的であるとして国際的には認められていない。2017年、シリアとイラクにおける主要拠点を失い、2019年には指導者とされていたアブー・バクル・アル=バグダーディーがアメリカの作戦によって死亡したが、関連組織は各地に拡大し、パキスタンの過激派幹部が2015年にイスラム国に忠誠を誓い、アフガニスタンとパキスタンにまたがる地域をホラサン州として領有を宣言した。ただしこのため、イスラム主義組織タリバンとは対立している。2019年に指導者のアブー・バクル・アル=バグダーディーがアメリカの軍事作戦で自爆死。
近年[編集]
2023年4月29日、4代目の指導者であるアブフセイン・クライシをトルコが殺害[3]。2023年時点で活動が停滞しているが現在もテロを決行中である。今後はイスラム国がブランドとして定着するということから、イスラム国を名乗る別の組織による活動が想定される。
呼称[編集]
「イスラム国」という呼び方は日本での報道機関では多く使われているが、そもそも国家として国際的に認められていない点やイスラームの誤解を招くといった点から反発も多い。
外務省では、「イラク・レバントのイスラム国」[4]を使い、ISIL(アイシル、the Islamic State in Iraq and the Levantの略称)表記をする。「いわゆる「イスラム国」」とも表記する。自由民主党は、2015年1月26日の役員会議にて、「ISLL(イラク・レバントのイスラム国)、「いわゆるイスラム国」の表記を使っていくことを決めている[5]。
戦闘[編集]
アメリカ合衆国は、8月8日にイスラム国を脅威として活動拠点としているイラクを空爆。8月22日にはシリア側にも初の空爆を行った。
日本[編集]
渡航[編集]
日本からイスラム国への渡航を実行しようとした事例が確認されている。
- 2014年10月に北海道大学の学生やフリーカメラマンがイスラム国へ渡航しようとした疑いがかけられる[6]。北海道大学の学生は、私戦予備罪・私戦陰謀罪の疑いで捜査された。
- 2014年11月以降にイスラム教徒のフランス人男性夫と日本人の妻がイスラム国へ渡航した可能性が報道される[7]。
人質[編集]
- 日本人2人を人質にして、2億ドルの解放金を要求[8]。身代金が支払わないと、人質を殺害するという声明を出しているほか、あなたは、あなたの愚かな同盟国と同様、これから日本の悪夢が始まるのだと声明を発表[9]。
中国[編集]
脚注[編集]
- ↑ ISIS、10歳児によるロシア人「銃殺」のビデオを公表 2015年
- ↑ イスラム国、子ども向けプロパガンダで「未来の聖戦士」育成狙う 2015年
- ↑ トルコ大統領 過激派組織「イスラム国」の指導者を殺害と発表
- ↑ ISIL(「イラク・レバントのイスラム国」)等国際テロに係る関係省庁の主な取組状況 - 首相官邸
- ↑ 2015年1月26日、産経ニュース「「イスラム国」呼称「ISIL」に 自民申し合わせ」
- ↑ 2014年10月22日、テレ朝NEWS「「イスラム国」に 他の都内男性もシリア渡航計画」
- ↑ 2014年12月29日、毎日新聞「イスラム国:東京在住の日仏夫妻、渡航か」
- ↑ 2014年1月20日、朝日新聞DIGITAL「「日本の首相、自ら進んで十字軍に」 イスラム国が声明」
- ↑ 日本政府へ。あなたは、あなたの愚かな同盟国と同様