Fランク大学

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Fランク大学(えふらんくだいがく)とは、入学試験の不合格者の数が限りなくゼロに近く、模試偏差値が低い、もしくは算定不能な大学である。世間一般では(入学募集人員)-(入学志願者)の値がプラス、つまり定員割れの大学が該当するとされる。略してFランとも呼ばれる。

概要[編集]

もともとは、入学試験の不合格者が少な過ぎて、模試のボーターの偏差値が算定できず、予備校が「フリーランク」(ボーダーフリー〔BF〕)という意味で名付けた。この言葉で括られる大学は“偏差値35以下”、“不合格者の数が限りなくゼロに近い”など定義は様々だが、おおむね「大学の講義・試験・単位取得といった学修組織としての体を為していない」Fランクな大学であり、大学新卒の就活で「Fランでない大学」と同等とされないことが流布されることから、定員割れとなっている大学もある。

経緯[編集]

戦後GHQの方針により、日本の教育課程が複線型から単線型に改められ、各地の高等教育機関が学校教育法の施行により大学に統一された。口の悪い知識人からは新しくできた新制大学を「駅弁大学」と称することはあったが、このときの大学進学率は低く、大学の定員割れは起きなかったため、特に大きな実害はなかった。
高度経済成長期に大学進学率が上昇し、浪人生が増える状況となった。企業も高度な知識を持つ社員を求めたこともあり、私立大学を中心に大学の新設が相次いだ。日本では、1980年代前半まで大学設置基準が厳格に守られて、アメリカほど大学の粗製乱造はされない一方、大学進学率の上昇に追いつけず、浪人生の増加が社会問題となった。
1988年に大学設置基準が大綱化すると、それ以前のように文科系学部でも理数系の自然科学の教養教育を必履修といった拘束が無くなり、1986年以降の受験生急増に対応して、私立大学の新規設置や短期大学の四年制大学昇格が進んだが、少子化によって大学受験者がピーク時より大幅に減少すると専門教育の特徴に乏しい私立大学や地方の私立大学で定員割れが進むようになった。

インターネット上[編集]

インターネット上、特に学歴論争が活発な2chの大学受験板では、大東亜帝国(大東文化大学東海大学亜細亜大学帝京大学国士舘大学)未満の大学を指して、上記の定義とはかなり相違があり、大東亜帝国レベルでもFランク扱いされることが多々ある。

しかし、近年の私大難化の流れを受け、大東亜帝国の偏差値は50前後まで上昇して推移しており、偏差値的観点では、大東亜帝国の難易度は中堅レベルの水準となっている。よってネット上の論争とは異なり、大東亜帝国は、偏差値的基準ではFランク大学とは言い難い[1]

問題点[編集]

単純に、多くの人が大学で高度な学問を学び、研究することはよいことのはずだが、理想とはかけ離れ、学問に興味のない人も大勢いる[注 1]。よく言われるのが、「講義のレベルが低い」「漢字アルファベットが満足に書けない」が挙げられる[2]

Fランク大学を卒業した当事者の中には「社会に出てはっきりしたのは偏差値の低い、そして名も無い大学を出ても足枷(あしかせ)にしかならないってことです。」と最終学歴としてのFランク大学卒を評する者 [注 2]もおり、高度な研究、学問を行っていない大学に進学してもその後の資格取得や就職に障害があり、学生の意識が低下。また、4年間の学費を役に立たないことに使い、家計の圧迫になるばかりか、就職難民となって奨学金破産予備軍をつくる可能性があることが問題となっている。

他方、ゆとり教育で下位の義務教育の学校での躓きがどんどん高校、大学に先送りされているという識者の指摘や高卒見込者の就職選考が厳選化して、「就職不能な生徒がFランク大学に取り敢えず送り込まれる」ことや、奨学金破産が社会問題化する一方、昼間の就労で学費の支弁が可能な大学夜間部(二部)が早大や立教以外のMARCHで廃止されても、さほど社会問題化しない現実も垣間見ることができる。

運営の問題点[編集]

私立大学の運営には税金から多額の補助金が出されている。高度な研究、学問を行っておらず、充足率の低い大学に補助金を使うのに何の効果があるのかという疑問が噴出している。
それならば、通学コースの通信制高校が乱立するほど取得ニーズの高い「高卒相当資格」を提供でき、かつ教育職員免許法の枠外で教員の身分保証も可能な高等専門学校に転換して、大学を減らす方法が考えられるが、主管庁は乗り気でない。

その他[編集]

命名元の河合塾の大学難易度ランキング表は、アルファベットは超難関校のみで、上位からのランクは30年近く数字が使われている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. 朝鮮民主主義人民共和国の軍事の四つの柱の一つ、「全軍の幹部化」すべての人民に軍の指揮能力を身につけさせることと同様。他の三つは「全人民の武装化」、「全国土の要塞化」、「全軍の近代化」
  2. 日本では下位の学歴が上位の最終学歴を兼ねない、欧米では見られない風潮も足枷評に拍車をかけている[3]

参考文献[編集]