氏原正治郎
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氏原 正治郎(うじはら しょうじろう、1920年8月2日 - 1987年8月21日)は、経済学者[1]。東京大学名誉教授。専攻は社会政策、労働問題研究[2]。
経歴・人物[編集]
愛知県新城市生まれ。旧制八高を経て、1943年9月東京帝国大学経済学部卒業[3]。1945年東京帝国大学大学院特別研究生修了[1]。1945年東京帝国大学経済学部嘱託、1946年助手。1949年東京大学社会科学研究所助手、1951年助教授、1962年教授、1968年所長(~1970年)。1981年東京大学名誉教授[2]。東大退官後は信州大学教授、雇用促進事業団雇用職業総合研究所長[4]、全国シルバー人材センター協議会会長を歴任[1]。
日本における労働問題、社会政策研究の第一人者[5]。大河内一男の門下生[6]。敗戦直後から労働組合の実態調査に取り組み[3]、その成果は『戦後労働組合の実態』(日本評論社、1950年[7])、『労働組合の構造と機能』(東京大学出版会、1959年[8])に結実した[4]。社会保障制度審議会や雇用審議会の委員を務め、雇用審議会定年延長部会長として60歳定年制立法化を取りまとめるなど[5]、国の政策立案に大きな影響を与えた[4]。また公労委委員として国鉄などの労使関係の調停にあたった[4]。門下からは津田眞澂[9]、高梨昌[10]、下田平裕身[11]など多数の労働問題研究者を輩出した[4]。著書に『日本の労使関係』(東京大学出版会、1961年)、『日本労働問題研究』(東京大学出版会、1966年)など。
著書[編集]
単著[編集]
- 『日本労働組合論』(北海道庁労働部労働教育課編、北海道庁労働部労働教育課[通信労働教育講座]、1955年)
- 『日本の労使関係』(東京大学出版会、1961年/東京大学出版会[UP選書]、1968年)
- 『日本労働問題研究』(東京大学出版会[東京大学社会科学研究所研究叢書]、1966年)
- 『労働組合』(日本労働協会[昭和62年度労働通信教育講座]、1987年)
- 『日本経済と雇用政策』(東京大学出版会、1989年)
- 『日本の労使関係と労働政策』(東京大学出版会、1989年)
共著[編集]
- 『日本型労働組合と年功制度』(藤田若雄、舟橋尚道共著、東洋経済新報社、1960年)
- 『日本のユニオン・リーダー』(大河内一男、高橋洸、高梨昌共著、東洋経済新報社、1965年)
- 『日本労働市場分析(上・下)』(高梨昌共著、東京大学出版会[東大社会科学研究叢書]、1971年)
- 『青少年労働問題』(伊藤三次共著、日本労働協会[テキスト双書]、1972年)
編著[編集]
- 『労働市場の研究――中学校卒業生の就職問題』(大河内一男共編、東京大学出版会[東京大学社会科学研究所研究報告]、1955年)
- 『講座労働問題と労働法 第1巻 労働組合の組織と運営』(大河内一男共編、弘文堂、1957年)
- 『労働組合の構造と機能――職場組織の実態分析』(大河内一男、藤田若雄共編、東京大学出版会[東京大学社会科学研究所研究報告]、1959年)
- 『講座日本の労働問題 2 労務管理』(薄信一共編、弘文堂、1961年)
- 『中小企業の労働組合――その組織と運動の進め方』(野村平爾共編著、日本評論新社、1961年)
- 『日本経済の現状と課題 第7集 転型期の賃金問題』(大石泰彦共責任編集、春秋社、1965年)
- 『講座労働経済 1 日本の労働市場』(編、日本評論社、1967年)
- 『社会保険事典』(小山路男、簗誠共編、社会保険新報社、1968年)
- 『現代婦人問題講座 2 婦人労働』(大羽綾子共編、亜紀書房、1969年)
- 『薄信一人と憶い出』(編者代表、製作:東京大学出版会、1969年)
- 『講座=現代の賃金(全4巻)』(倉野精三、舟橋尚道、松尾均、吉村励共編集、社会思想社、1977年)
- 『都市高齢者の雇用問題』(編著、日本労働協会、1985年)
訳書[編集]
- モーリス・ドッブ『賃金論入門』(新評論社、1954年)
- 改訂新版『賃金論』(新評論、1962年)
- ILO俸給被用者・専門職労働諮問委員会『OA革命とホワイトカラー――ILOレポート』(監訳、日本生産性本部、1983年)
脚注[編集]
- ↑ a b c 20世紀日本人名事典の解説 コトバンク
- ↑ a b 東京大学社会科学研究所:名誉教授:氏原 正治郎 東京大学社会科学研究所
- ↑ a b 萩原進「氏原正治郎」、朝日新聞社編『現代人物事典』朝日新聞社、1977年、187頁
- ↑ a b c d e 高木郁朗監修、教育文化協会編『日本労働運動史事典』明石書店、2015年、38頁
- ↑ a b 「表現の自由」研究会編著『現代マスコミ人物事典』二十一世紀書院、1989年
- ↑ 高木郁朗監修、教育文化協会編『日本労働運動史事典』明石書店、2015年、52頁
- ↑ 東京大学社会科学研究所編『戦後労働組合の実態――学術研究会議民主主義研究特別委員会第四部研究報告』日本評論社、1950年
- ↑ 大河内一男、氏原正治郎、藤田若雄編『労働組合の構造と機能――職場組織の実態分析』東京大学出版会[東京大学社会科学研究所研究報告]、1959年
- ↑ 津田先生年譜 しんめい会
- ↑ 神代和欣「高梨昌」、朝日新聞社編『「現代日本」朝日人物事典』朝日新聞社、1990年
- ↑ 下田平裕身「<書き散らかされたもの>が描く軌跡--<個>と<社会>をつなぐ不確かな環を求めて--<調査>という営みにこだわって」『信州大学経済学論集』Vol.54、2007年11月