東野利夫

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東野 利夫(とうの としお、1926年 - 2021年4月13日)は、日本の医師産婦人科医)、小説家医学史研究家。医学史の研究家として数々の作品を残す。日本ペンクラブに所属し、いわゆる九大生体解剖事件の目撃者として貴重な体験談を後身に示した。

経歴[編集]

福岡県福岡市出身。「九大生体解剖事件」の証言者として有名である。

昭和20年(1945年5月から6月にかけて、東野は九州帝国大学(現在の九州大学)医学部に在学中、アメリカ捕虜の生体解剖実験に立ち会って目撃、証言し、これは遠藤周作小説である海と毒薬モデルにもなった。また東野自身も自身の著書でこの事件について語っている。この事件は日本軍に撃墜されたB29爆撃機の搭乗員8人が軍の命令で九州帝国大学に運ばれ、生きたまま臓器摘出や脳切開などをされて全員死亡した事件であり、東野は当時の感情として「当時はB29の搭乗員と聞いてものすごい敵意があり、自分も『かわいそう』とは思わなかった。それが戦争だった」と後に語っている。東野はこの事件の最後の生き証人でもあった。なお、東野はこの事件において4回の実験のうち2回立ち会っている。

戦後には故郷で産婦人科医院を開業した。平成20年(2008年)に母校で行われた日本生命倫理学会で講演し、事件について証言している。

令和3年(2021年)4月13日午前4時40分、肺炎のため、福岡市の病院で死去した。95歳没。

著作[編集]

  • 『汚名:「九大生体解剖事件」の真相』文藝春秋社1979年
  • 『赤ちゃんが一番ほしがっているもの:これからの母親の育児法』桐原書店、1986年
  • 『南蛮医アルメイダ:戦国日本を行きぬいたポルトガル人』精興社1993年、ISBN 4-7601-0908-0(福岡市文学賞受賞)
  • 『あなたもできる自然分娩:マタニティ・ヨーガと新しい育児』柏書房、1996年、ISBN 4-7601-1383-5
  • 『戦争とは敵も味方もなく、悲惨と愚劣以外の何物でもない』自費出版、2017年
    • 『東京新聞』2018年1月21日付朝刊にインタビュー記事

外部リンク[編集]