アメリカ合衆国陸軍ボーイングB29爆撃機
アメリカ合衆国陸軍ボーイングB29爆撃機は、ボーイング社が設計、開発したアメリカ合衆国陸軍の爆撃機である。愛称はスーパーフォートレス (超要塞)。
登場の背景[編集]
1941年、アメリカ合衆国陸軍は長大な航続力を持つ爆撃機「XB29」の試作を各メーカーに募集した。当時、第二次世界大戦のヨーロッパではドイツ第三帝国が連合国の一角であるフランス共和国を降伏させ、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国が苦戦を強いられていた。この状況に、アメリカ合衆国陸軍はいずれドイツ第三帝国がヨーロッパ全土を征服し、南アメリカ大陸に手を伸ばしてくる可能性を考えた。そのときにアメリカ合衆国から南アメリカ大陸へ往復して爆撃できる軍用機が必要と依頼があった。当時、アメリカ合衆国陸軍にはアメリカ合衆国陸軍ボーイングB17爆撃機が配備されていたが、これを上回る航続力が必要であった。
概要[編集]
前輪式の四発機である。主輪はタイヤ径が大きくなりすぎないよう、ダブルスタイヤを採用した。アスペクト比が大きく、長距離飛行ができるが、翼面荷重も大きくて高速が出せる。空冷エンジンであるが、高速が出せるよう、カウリング前面を狭く絞った結果、エンジンの冷却がうまくいかず、しばしば火災事故を起こした。高空を飛行できるようエンジンに過給器を装備し、乗員が快適に任務を遂行できるよう与圧装置を装備した。ノルデン照準器を採用した。武装は爆弾9トン、防御銃座は動力銃座である。強力な防弾装置を有する。
戦歴[編集]
太平洋戦争、朝鮮戦争で使用された。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線では使用されなかった。その理由として長い航続距離を必要としないからである。B29は高価な機体であり、運用に要する費用も高額であった。
太平洋戦争では当初、中華民国の基地を使い、そこまではヒマラヤを越えて機材、人員、燃料を輸送していたが、効率が悪く、しかも、空襲できる範囲が北九州に限られるなど問題が多かった。そこで日本本土全土を航続範囲に収められるサイパン島の攻略を行った。さらに戦闘機の護衛と、損傷を受けた機体の不時着のために硫黄島を攻略した。