木下ちがや
木下 ちがや(きのした ちがや、1971年 - )は、政治学者。明治学院大学国際平和研究所研究員。
経歴・人物[編集]
徳島県生まれ。中央大学法学部夜間部卒[1]。2011年一橋大学大学院社会学研究科博士課程満期退学[2]。2013年「アメリカにおける治安法制と国家の正統性 : 自由主義体制における正統性の確立と動揺」で博士(社会学)(一橋大学)[3]。2009年時点で慈恵医科大学講師[4]、2010年時点で東京女子大学非常勤講師[5]、2013年時点で一橋大学特別研究員[6]。2015年時点で明治学院大学、千葉大学などの非常勤講師[1]。2017年時点で工学院大学非常勤講師、明治学院大学国際平和研究所研究員[7]、明治学院大学社会学部非常勤講師[8]。2019年時点で工学院大学非常勤講師、明治学院大学国際平和研究所研究員[9]。
2000年代からざまざまな社会運動に参加しデモのリーガル(法務)等を務め[7]、「路上の政治学者」「行動する政治学者」と呼ばれている[10][11]。2011年以後は反原発運動や安保法案反対運動に参加しており[12][13]、首相官邸前の脱原発抗議行動や「レイシストをしばき隊」で警察対応を担う[14]。政治学者の大井赤亥は「国会前をはじめとする二〇一一年以降の日本の社会運動のハブ的存在」と評している[15]。
政治学者としてはアントニオ・グラムシなど近代の革命思想に造詣が深いとされ[12]、グラムシやラクラウなどポスト・マルクス主義の理論を日本政治の分析・把握に援用している[15]。
単著に『ポピュリズムと「民意」の政治学――3・11以後の民主主義』、共訳書にデヴィッド・ハーヴェイ著『新自由主義――その歴史的展開と現在』などがあり、『現代思想』などの雑誌にも多数寄稿している[16]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『国家と治安――アメリカ治安法制と自由の歴史』(青土社、2015年)
- 『ポピュリズムと「民意」の政治学――3・11以後の民主主義』(大月書店、2017年)
- 『「社会を変えよう」といわれたら』(大月書店、2019年)
- 『”みんな”の政治学――変わらない政治を変えるには?』(法律文化社、2022年)
共著[編集]
訳書[編集]
- ウィリアム・F.フィッシャー、トーマス・ポニア編『もうひとつの世界は可能だ――世界社会フォーラムとグローバル化への民衆のオルタナティブ』(大屋定晴、山口響、白井聡共監訳、日本経済評論社、2003年)
- デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義――その歴史的展開と現在』(渡辺治監訳、森田成也、大屋定晴、中村好孝共訳、作品社、2007年)
- ジョック・ヤング『後期近代の眩暈――排除から過剰包摂へ』(中村好孝、丸山真央共訳、青土社、2008年、新装版2019年)
- ノーム・チョムスキー『チョムスキーの「アナキズム論」』(明石書店、2009年)
- ミッドナイト・ノーツ・コレクティブとその友人たち『金融恐慌からコモンズへ――資本主義の現在的批判のために』(高祖岩三郎、酒井隆史共訳、以文社(Vol extra)、2009年)
- デヴィッド・グレーバー『デモクラシー・プロジェクト――オキュパイ運動・直接民主主義・集合的想像力』(江上賢一郎、原民樹共訳、航思社、2015年)
分担執筆[編集]
- 社団法人自由人権協会(JCLU)編著『アメリカ発グローバル化時代の人権――アメリカ自由人権協会の挑戦』(明石書店(世界人権叢書)、2005年)
- 木戸衛一編『「対テロ戦争」と現代世界』(御茶の水書房、2006年)
- 加藤哲郎、丹野清人編『21世紀への挑戦 7 民主主義・平和・地球政治』(日本経済評論社、2010年)
- 法政大学大原社会問題研究所編『社会労働大事典』(旬報社、2011年)
- 宮地正人、佐藤能丸、櫻井良樹編『明治時代史大辞典 第1巻 (あ~こ)』(吉川弘文館、2012年)
- 小沢弘明、三宅芳夫編『移動と革命――ディアスポラたちの「世界史」』(論創社、2012年)
- 宮地正人、佐藤能丸、櫻井良樹編『明治時代史大辞典 2 (さ~な)』(吉川弘文館、2012年)
- Japan and the High Treason Incident, edited by Masako Gavin and Ben Middleton: Routledge, 2013.
- 出版労連・原発問題委員会編著『原発のない未来へ 2 私たちは、わすれない』(日本出版労働組合連合会、2013年)
- 小熊英二編著『原発を止める人々――3.11から官邸前まで』(文藝春秋、2013年)
- 唯物論研究協会編『唯物論研究年誌 第21号 文化が紡ぐ抵抗/抵抗が鍛える文化』(大月書店、2016年)
- 寺岡裕治編『21世紀を生きのびるためのドキュメンタリー映画カタログ』(キネマ旬報社、2016年)
- Amorphous dissent : post-Fukushima social movements in Japan, edited by Horie Takashi, Tanaka Hikaru, Tanno Kiyoto: Trans Pacific Press, 2020.
出典[編集]
- ↑ a b 国家と治安 紀伊國屋書店
- ↑ 木下ちがや researchmap
- ↑ 博士論文要旨 一橋大学大学院社会学研究科・社会学部
- ↑ チョムスキーの「アナキズム論」 紀伊國屋書店
- ↑ YMCA連続講座移住者のリアリティ第4期 レイシズムを考える 在日本韓国YMCA
- ↑ 「金曜官邸前を離れても 脱原発運動の試練」『アエラ』2013年3月25日号、64頁
- ↑ a b ポピュリズムと「民意」の政治学 紀伊國屋書店
- ↑ 所員・研究員・客員所員スタッフ紹介 明治学院大学国際平和研究所
- ↑ 「社会を変えよう」といわれたら 大月書店
- ↑ 「大衆の声が日本変える」『しんぶん赤旗日曜版』2017年10月1日号
- ↑ 木下ちがや|著者プロフィール imidas
- ↑ a b 「[読書]/政治/木下ちがや著/ポピュリズムと「民意」の政治学/新たな時代切り開く空間」『沖縄タイムス』2017年9月16日朝刊読書14面
- ↑ 木下ちがや IWJ
- ↑ 「(政治断簡)非正社員と政治、どうつなぐ? 論説委員・松下秀雄」『朝日新聞』2013年7月14日付朝刊4面(4総合)
- ↑ a b 大井赤亥「民衆的なポピュリズムと「新しいアナキズム」との交錯」図書新聞、2017年9月
- ↑ 衆院選と日本政治 2017 朝日カルチャーセンター横浜教室
外部リンク[編集]
- 木下ちがや - KAKEN
- 木下ちがや - J-GLOBAL
- こたつぬこ (@sangituyama) - Twitter