大根ずし
大根ずし(だいこんずし)は、大根を身欠ニシンとともに米麹で漬けた寿司で、かぶらずしと並ぶ加賀地方の伝統的発酵食品である。
表記[編集]
本来、なれずしという意味では「鮓」を用いるべきであり、寿司は握り寿司に対する当て字である。「鰊鮓」、「鰊寿司」など様々な表記があるが、「大根ずし」の表記が多いので本稿は「大根ずし」とする。また、鰊漬けもほぼ同じ食品である。
概要[編集]
かぶらずしは高価なブリやカブを使うので、一般には価格の安いダイコンやニシンを使った。ニシンの量が多いとにしんずしとなる。冷蔵庫のない時代、水揚げされたニシンを保存する方法として身欠きニシンを製造したが、さらなる保存期間の延長の方法として大根ずしを作った。漬け込んでいる間に乳酸菌による嫌気発酵で酸味が出てくる。これが本来の「鮨」である。同様なものとして「鮎鮓」や「鮒寿司」があるが、消費者の好みから押し寿司となった。現在の握り寿司は江戸時代から作られ、酢で酸味をつけた「早鮨」である。
製法[編集]
身欠きニシンを塩、麹、ダイコン、唐辛子、ヒジキで交互に挟み、空気が入らないように重しをする。漬けてから数週間後に完成する。
食べ方[編集]
一緒につけた麹は食べる。乳酸菌による嫌気発酵でアミノ酸などの旨味成分もある。匂いが強く、年少者は好まないが、高齢者になると好むようになるという。日本酒との相性も良いという。
現状[編集]
かつては各家庭でも作られていたが、作るのに手間がかかること、若年層が好まないことによる核家族化によって作られなくなった。
製造上の注意[編集]
一部の愛好家によって小規模に作られることがあるが、伝統的な製法でないと嫌気的条件からボツリヌス菌が増殖する可能性がある。
関連項目[編集]
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 滋賀の食事文化研究会『ふなずしの謎』サンライズ出版
- E・ローゼンバーグ、I・R・コーエン『入門現代生物学』培風館2001年4月10日初版第15刷発行
- 吉田邦久『チャート式要点と演習新制新生物ⅠB・Ⅱ』数研出版
外部リンク[編集]
https://www.outdoorfoodgathering.jp/fish/funazushi1/野食ハンマープライス