スーパーレールカーゴ

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スーパーレールカーゴ
SUPER RAIL CARGO
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種別高速貨物列車A
(旧「特貨電」指定)
列車番号東京タ→安治川口(下り)
51列車
安治川口→東京タ(上り)
50列車
運行事業者日本貨物鉄道(JR貨物)
佐川急便
走行路線東海道本線東海道貨物線
大阪環状線
桜島線
起点駅東京貨物ターミナル駅
終着駅安治川口駅
両数20両
使用車両JR貨物M250系電車
備考JR貨物唯一の貨物電車

スーパーレールカーゴSUPER RAIL CARGO)とは、日本貨物鉄道(JR貨物)が東京貨物ターミナル駅 - 安治川口駅間で設定している貨物列車(特急コンテナ電車)の愛称。佐川急便の私有コンテナが列車編成のすべてを貸切るブロックトレイン(貸切列車)である。

東海道本線東海道貨物線)、大阪環状線桜島線を経由する。

  • 「スーパーレールカーゴ」という名称そのものは、本列車の運行に使われる車両形式であるJR貨物M250系電車の愛称としても用いられるが、本項目では「列車愛称」としてのスーパーレールカーゴについて記述する。
  • 「(タ)」は「貨物ターミナル」の略称である。

概要[編集]

日本の大動脈である東海道本線では、昼夜問わず鉄道貨物輸送が盛んに行われており、2004年平成16年)度の輸送データではJR貨物の年間総輸送量の13%を占める約280万トンを輸送していた。しかしながら、起終点となる貨物駅と発着地との間はトラックでの輸送となるため、速達性が重要視される中距離間の小口鉄道貨物輸送では高速道路網を相手に苦戦を強いられていた。従来の電気機関車牽引の貨物列車は東京 - 大阪間を最速でも6時間40分台で結んでおり、荷役の手間や利便性を考慮すると宅配便輸送などに鉄道は不向きであった[1]。そこでJR貨物は、1999年平成11年)から小口鉄道貨物輸送に特化した輸送について検討を開始した。環境負荷に配慮可能な「モーダルシフト」の受け皿になるとともに、宅配貨物に対応するために「東京 - 大阪間を6時間で結ぶこと」「安全性・信頼性が高いこと」「貨物の積替えが容易であること」を目標に定めたJR貨物は、新型貨物電車M250系を開発した[2]

また一方の佐川急便も、トラックドライバーの就労環境改善や、従来のトラック輸送で発揮される速達性をクリアした上でのモーダルシフトでの鉄道貨物転換に意欲を示しており、こうして双方の利害関係が一致しブロックトレインの貸切運行が決まった[3]。JR貨物のブロックトレイン運行はこの「スーパーレールカーゴ」が史上初の事例となり、その後列車編成を丸ごと運送会社で貸し切る流れは「福山レールエクスプレス号福山通運)」「カンガルーライナー西濃運輸)」「フォワーダーズブロックトレイン」などに波及している[4]

宅配便を輸送する貨物列車のため速達性を第一に取っており、東京(タ) - 安治川口間の所要時間は6時間11分で、最高速度130km/h(通常のコンテナ貨物列車は最高速度110km/h)[注 1]表定速度は脅威の91km/hを記録しており、これは東京 - 大阪間を結んだ歴代の列車の中で最速の数値を誇る[5][6]。運行開始当時、列車種別には【特貨電】という異名が与えられ、従来の貨物列車の常識を根底から覆す「貨物電車」となっており、鉄道ファンからも恐れられている[1]2013年3月ダイヤ改正からは「高速貨」の列車種別に変更されている。また、SGホールディングスやJR貨物の公式ウェブサイトなどでは「特急コンテナ電車」の呼称が用いられている[7]。また宅配輸送という観点から、車両故障などの不測の事態に備え、佐川急便の各拠点からトラックで代行輸送が取れる体制が整えられている。

スーパーレールカーゴは1回の運行で31フィートコンテナ28個を積載可能で、大型トラック28台分が同列車で代替可能となっている[8][6]。また同列車の運行により、年間で1万4000トンの二酸化炭素(CO2)排出削減に成功しており、1日あたりでも10トントラック56台分の排出削減となっている[9]

編成は電動車・付随車合わせて16両編成で運行され、佐川急便の軽量私有コンテナ(U50A形30000番代)で満載にされる。列車番号は、東京(タ)→安治川口間が51列車、安治川口→東京(タ)間が50列車。毎週日曜日は運休する[注 2]

沿革[編集]

JR貨物M250系電車」も参照

  • 2004年平成16年)3月13日:ダイヤ改正により、「臨時高速貨物列車」9057列車・9056列車として営業運転を開始[10]。のちに定期列車化され、列車番号も変更されている。
  • 2013年(平成25年)3月16日:ダイヤ改正により、列車種別が「特貨電」から「高速貨」に変更される。
  • 2019年令和元年)6月29日G20 大阪サミット2019の開催に伴い、時刻を大幅に変更して運転される[11]。普段は深夜帯に走行する貨物列車が日中に走行し、話題を集めた。

使用車両[編集]

大井機関区に所属する唯一の車両形式である。24両編成に予備車10両体制で運用されており、大規模検査は大宮車両所(OM)にて実施される。
貨物列車としての運用が夜間に集中しているため、遅延時を除き日中に走行する姿を見ることは滅多にできないが、不定期で東海道貨物線西湘貨物駅までの試運転が実施される。

ダイヤ[編集]

いずれもマルヨ運用[12]

東京(タ)→安治川口[編集]

大井A1仕業 51列車[6]
  • 23:14 東京(タ)
  • 05:26 安治川口

安治川口→東京(タ)[編集]

大井A2仕業 50列車[13]
  • 23:08 安治川口
  • 05:20 東京(タ)

脚注[編集]

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出典
  1. a b 【貨物“電車”】G20開催で日中走行!スーパーレールカーゴM250系〜普及しない理由”. 鉄道ファンの待合室 (2019年6月30日). 2023年12月28日確認。
  2. 貨物鉄道輸送150年の歴史”. 日本貨物鉄道株式会社. 2023年12月28日確認。
  3. “佐川急便のモーダルシフトや新たな輸送手段への挑戦” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 佐川急便株式会社 SAGAWA News Letter, (2021年10月1日, https://www.sagawa-exp.co.jp/assets/pdf/company/letter2110.pdf 2023年12月30日閲覧。 
  4. “借り上げ貨物列車広がる 西濃など物流各社 トラック人手不足影響”. 読売新聞. (2022年1月15日. https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/feature/CO049151/20220114-OYTAT50037/ 2023年12月30日閲覧。 
  5. 2005年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両”. 鉄道友の会 (2005年). 2023年12月28日確認。
  6. a b c 物流トラック離れで貨物列車「復権」…JR、初の営業黒字 企業専用の列車続々”. 産経ビズ (2017年7月11日). 2023年12月30日確認。
  7. SGホールディングスグループの歴史”. SGホールディングス. 2023年12月28日確認。
  8. 西中悠基 (2021年7月17日). “大型トラック28台分! 夜を駆ける「スーパーレールカーゴ」”. 鉄道コム. 2023年12月30日確認。
  9. 見られないから? ほかの車両と違うから? スーパーレールカーゴの魅力に迫る!”. 鉄道ホビダス (2023年1月29日). 2023年12月30日確認。
  10. JR貨物~M250系スーパーレールカーゴ~”. メインターミナル (2014年2月3日). 2023年12月30日確認。
  11. G20大阪サミットで日中を走ったスーパーレールカーゴM250系_投稿続々【動画/画像】”. 鉄道チャンネル (2019年6月29日). 2023年12月30日確認。
  12. 大井機関区M250運用状況”. 貨物ちゃんねる. 2023年12月30日確認。
  13. suji_kokaiのblog (2022年10月12日). “50レ時刻表(大阪タ発日曜運休)(M250系スーパーレールカーゴ(A2)”. ライブドアブログ. 2023年12月30日確認。
注釈
  1. 130km/h運行を実施できるのは西日本旅客鉄道(JR西日本)の一部区間だけで、その他の区間では最高速度が120km/h・110km/hに制限されている。
  2. 日付は発駅基準。

関連項目[編集]