OCCUPIED CITY Album

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OCCUPIED CITY Album
Cam Laskyスタジオ・アルバム
リリース
ジャンルダブステップドラムンベースベース・ミュージック電子音楽ノイズミュージック
時間
レーベルKWAIOTO Records
プロデュースCam Lasky
Cam Lasky アルバム 年表
TOKYO YEAR ZERO Album
2020年
OCCUPIED CITY Album
2021年
TOKYO REDUX Album
2021年
EANコード
テンプレート:EAN

OCCUPIED CITY Album』(オキュパイド・シティ・アルバム)は2021年5月7日に KWAIOTO Records から発売されたCam Laskyの6作目のオリジナル・アルバム

概要[編集]

本作は、英国人小説家デイヴィッド・ピースによる 帝銀事件を軸にした戦後東京を舞台に展開する東京三部作の第2弾『占領都市 TOKYO YEAR ZERO Ⅱ』(文藝春秋)にインスパイアされたCam Laskyのスタジオ・アルバムである。

2016年 KWAIOTO Records の前身レーベルから BPM128のハウス・ミュージックの連作シリーズとしてリリースされていたが、次第に「4つ打ちトリップホップトラップをやってみる」というようなアブストラクト色が強くなり「それはハウスではなく、ディープ・ダブステップだ」と指摘されたことを契機に新レーベルを設立し、2017年「Occupied City ReDeepneng」シリーズとしてのリプロダクトに至る。しかし、東京三部作・完結編である『TOKYO REDUX』発表前に、これまでリリースしたEPシリーズを廃盤にし、新解釈[注釈 1]の21曲が制作された。

フィジカル版同梱の4P見開きのCDサイズジャケット内側のトラックリストとクレジットは、文藝春秋刊の翻訳原作本の装丁へのオマージュとして、市川崑監督の映画版「金田一耕助」シリーズOPで使われたタイポグラフィとレイアウトで構成されている。またジャケットの表とバックインレイの裏は合わせ見開きの構成で、帝銀事件発生直後の毎日新聞の報道写真が使われているが、これも文藝春秋刊の翻訳原作本のカバ内側(裏表紙-背-表紙の見開きレイアウト)へのオマージュである。

当時の想像上の世界観へ没入するため、今川泰宏監督による『鉄人28号 (2004年版アニメ)』の膨大な設定資料が使用された。

「この世ならざる」者たちの象徴として、大小様々な鉄を打楽器として多用している。また、それら「鉄の打楽器」を叩く際も、木製のスティック、鉄製ハンマー、バール、大ハンマーなどを使い分けている。

泉鏡花 インスパイアド・シリーズ『Kyoka Hyaku 鏡花百』には、「肉の門を抜け、涙の橋を渡り、骨の山を登り」帝銀事件の犠牲者たちが行う怪談会へ向かう『占領都市 TOKYO YEAR ZERO Ⅱ』の語り部 坂口安吾[2]の頭の中で鳴り響く(作曲した)音楽、という裏設定がある。

2023年 3月 ツイッターにて、本作の音楽的続編として(また『Spectre』シリーズの延長として) 京極夏彦邪魅の雫』のアルバム化が発表された。[3]

リリース形態[編集]

SDメモリーカード(Micro SD内臓) CDケース収納フィジカル[編集]

  • 特殊CDケース・パッケージ。
  • 特製6P・見開きジャケット。
  • 帝国銀行社章・特装SDメモリーカード。
  • 24bit/48kHz WAV による、21曲を収録。

デジタル・ダウンロード / ストリーミング配信[編集]

  • 通常版。
  • 16bit/32kHz 21曲を収録。

収録曲[編集]

  1. Beneath the Black Gate 黒門の下 (Original Mix)
    • プロローグ
  2. 12 Candles 十二本の蝋燭 (Original Mix)
  3. Killer, Doctor 殺人者 、医学博士(Original Mix)
    • 一本目の蝋燭「すすり泣く被害者らの証言」
  4. Falling in Tears 泣きながら落ちている (Original Mix)
  5. 12 Coffins 十二の棺 (Original Mix)
  6. Kita 喜多刑事部長 (Original Mix)
    • 二本目の蝋燭「刑事Hのノート」
    • 「刑事H」は『TOKYO YEAR ZERO』の服部警部補。『TOKYO REDUX』にも登場する。
    • 『TOKYO YEAR ZERO』で捜査一課長だった喜多が刑事部長に昇進している。故にこの楽曲は『TOKYO YEAR ZERO Album』 M.26 Blood Flecked Scroll 血痕ノツイタ掛け軸 のダーク面を誇張したリミックスになっている。
  7. Missing Pages 失われた頁 (Original Mix)
  8. Survivor 生き残り (Original Mix)
    • 三本目の蝋燭「生き残りの証言」
    • 村岡雅子(正子)のテーマであるものの、『TOKYO YEAR ZERO』エピローグでの三波(片山)の最後の台詞「I am oen of the survivors・・・・(わたしは生き残った者の一人だ・・・)」のアンサートラックになっている。[注釈 2]
  9. The Purgatory, I Crawl On 煉獄を這う (Original Mix)
  10. Human Experiments and Pandemic 人体実験と感染拡大 (Original Mix)
    • 四本目の蝋燭「あるアメリカ人の(死んだ)手紙」
  11. Camp Detrick and Unit 731 キャンプ・デトリックと731部隊 (Original Mix)
  12. Curses and Spells 呪詛と呪文 (Original Mix)
    • 五本目の蝋燭「神社の男の呪詛と呪文」
  13. Fictional City 虚構都市 (Original Mix)
    • 六本目の蝋燭「あるジャーナリストの物語」
  14. Tokyo Underworld 東京地下 (Original Mix)
    • 七本目の蝋燭「ある兵隊、やくざ、ビジネスマンにして政治家である男の激励」
  15. Martyr 殉教者 (Original Mix)
    • 八本目の蝋燭「ホモ・ソヴィエティクスの殉教の記録」
    • ソヴィエトの生物兵器調査官が客死するエピソードのため、ドミートリイ・ショスタコーヴィチの『交響曲第8番 (ショスタコーヴィチ)』第4楽章が全面的に使われている。当初、MIDIで緻密に再現されたが、エンジニアリングの段階で粉砕しているうちに元データが破損してしまい、この形になった。
  16. Tokyo Boogie 東京ブギー (Original Mix)
    • 九本目の蝋燭「二人目の刑事Nの三十六の傷」
    • 刑事Nは、『TOKYO YEAR ZERO』に登場し、小平事件の犠牲者2名の共通の友人だった正岡久恵を娶った西刑事。
    • 『TOKYO YEAR ZERO』では、三波(片山)と行動を共にし、彼の全てが綴られたノートを託される。「彼が松澤精神病院に送られた後を知っている」という心の澱のような狂気がサックスで表現されている。[注釈 3]
    • 第一幕・六 のダンスホールで鳴り響く「ワー-オー-ワー-オー」(日本語翻訳版ママ)のブギウギは 黒澤明監督『酔いどれ天使』(1948年)で 笠置シヅ子が歌う『ジャングル・ブギー』で、この楽曲は劇中のこの「ウ・ワーオ・ワオ・ワオー」がサンプリングされ、そのキーに合わせて制作されている。
  17. Black Mirror 黒い鏡 (Original Mix)
  18. In the Cell 独房にて (Original Mix)
    • 十本目の蝋燭「起訴され、有罪を宣言され、独房に入れられた男の抗議、否定、告白、”本当にそうだったのか?”」
    • 平沢貞通のテーマ楽器として、ダルシマーが使われている。
  19. Death Factory 死の工場 (Original Mix)
    • 十一本目の蝋燭「帝銀事件の犯人の最後の言葉、あるいは個人的覚え書き。日本の悪行、一部の者の苦しみと、それに対する社会の無関心(1948年)」
  20. Sumida River 隅田川 (Original Mix)
  21. IN THE OCCUPIED CITY 占領都市 (Original Mix)
    • エピローグ
    • 楽曲ラストに挿入されているのは、第二次大戦戦時下に制作され1945年に公開されたアニメーション映画『桃太郎 海の神兵』の挿入歌「アイウエオの歌」で、永らく音楽監督 古関裕而の作曲であるとされてきたが、占領地の皇民化教育用として海軍軍楽隊が制作したものがオリジナルだったことがわかっている。故に「占領都市」へのシニカルな皮肉として最後に飾られている。(本作の演奏は、大東亜交響楽團。合唱はニッチク合唱團、ハーモニカは古関裕而である。)

関連項目[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. 都合3度の商用プロダクトとしてのやり直しを行い、『Kyoka Hyaku 鏡花百』シリーズにまで音楽的連続性を持たせているのは「いつまでも作っていたい、という愛着から」とツイッターで語っている。
  2. 元の楽曲は『TOKYO YEAR ZERO (Original Mix)』で、原作者 デイヴィッド・ピースが朗読している。また東京三部作の象徴テーマスーツである『Occupied Strings』が、ここでも使用されている。
  3. 『TOKYO YEAR ZERO』の三波(片山)の以後については『TOKYO REDUX』で語られる。

出典[編集]

外部リンク[編集]