アメリカ合衆国陸軍ボーイングB29爆撃機

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アメリカ合衆国陸軍ボーイングB29爆撃機は、ボーイング社が設計、開発したアメリカ合衆国陸軍爆撃機である。通称は「スーパー・フォートレス (超要塞)」。「フライング・フォートレス(空の要塞)」「ストラトフォートレス(成層圏の要塞)」といったボーイング社の爆撃機のシリーズのひとつである。

登場の背景[編集]

1940年6月、アメリカ合衆国陸軍は長大な航続力を持つ爆撃機「XB29」の試作をボーイング社に募集した。これ以外のメーカーに、ロッキード社にXB30、ダグラス社にXB31、コンソリデーテッド社にXB32の計画名が与えられた。当時、第二次世界大戦ヨーロッパではドイツ第三帝国が連合国の一角であるフランス共和国を降伏させ、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国が苦戦を強いられていた。この状況に、アメリカ合衆国陸軍はいずれドイツ第三帝国がヨーロッパ全土を征服し、南アメリカ大陸に手を伸ばしてくる可能性を考えた。そのときにアメリカ合衆国から南アメリカ大陸へ往復して爆撃できる軍用機が必要と依頼があった。当時、アメリカ合衆国陸軍にはアメリカ合衆国陸軍ボーイングB17爆撃機が配備されていたが、これを上回る航続力が必要であった。

概要[編集]

前輪式の四発機である。主輪はタイヤ径が大きくなりすぎないよう、ダブルスタイヤを採用した。アスペクト比が大きく、長距離飛行ができるが、翼面荷重も大きくて高速が出せる。
空冷エンジンであるが、高速が出せるよう、カウリング前面を狭く絞った結果、エンジンの冷却がうまくいかず、しばしば火災事故を起こした。
高空を飛行できるように、エンジンにマグネシウム合金製の過給器を装備した。また乗員が快適に任務を遂行できるよう与圧装置を装備した。ノルデン照準器を採用した。武装は爆弾9トンであった。防御銃座は動力銃座である。強力な防弾装置を有するので死角は少なかったが、それでも損害は少なくなく、硫黄島占領によってノースアメリカンP51戦闘機の護衛を受けることになり、その際に尾部銃座以外の防御用火器を撤去した。

試作機のテスト[編集]

真珠湾攻撃による太平洋戦争開戦によってアメリカ合衆国第二次世界大戦に巻き込まれ、その直後の1942年1月末には500機のB29と予備部品合計5300万ドルが発注された。試作機XB29の一号機はワシントン州シアトルのボーイング社第一工場で製造された。9月初めに一号機の組み立ては完了し、工場から引き出された。1942年9月21日に試作機一号機が1時間15分の初飛行を行った。

戦歴[編集]

太平洋戦争朝鮮戦争で使用された。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線では使用されなかった。その理由として長い航続距離を必要としないからである。B29は高価な機体であり、運用に要する費用も高額であった。

太平洋戦争では当初、中華民国の基地を使い、そこまではヒマラヤを越えて機材、人員、燃料を輸送していたが、効率が悪く、しかも、空襲できる範囲が北九州に限られるなど問題が多かった。そこで日本本土全土を航続範囲に収められるサイパン島の攻略を行った。さらに戦闘機の護衛と、損傷を受けた機体の不時着のために硫黄島を攻略した。

関連項目[編集]

参考文献[編集]