首里城火災 (2019年)

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首里城火災(しゅりじょうかさい)は、令和元年(2019年10月31日首里城が焼失した火災のことである。首里城大火とも。平成31年(2019年)2月に全体の復元を終えたばかりだった。

当時の状況[編集]

比較的強い風があり、「桐油」を用いた燃えやすい塗装のため、火のまわりが非常に早かった[1]

輻射熱も強烈で、離れた場所にある木材が自然発火する程だったと見られ、設置されていた「放水銃」も使うことが出来なかった[2]

消防隊員ですら一時後退せざるを得ない程の火勢であった。

結果的に正殿から出火したと見られ、正殿や北殿、南殿など計6棟が全焼し、奉神門など2棟が焼損した。絵画や漆器などの収蔵品の一部も焼失し、世界文化遺産である正殿の地下遺構にも、灰や部材が入り込んだ。施設にはスプリンクラーが無く、鎮火はおよそ11時間後であり、沖縄県警那覇市消防局は出火原因を特定できなかった。日本政府は沖縄の本土復帰20周年を記念した1992年の復元計画を踏襲した上で、防火対策を強化する基本方針を決定した。

主な時系列[編集]

  • 10月31日(木)未明
  • 02:34 熱に反応するセンサーが熱を検知、警備員がモニターで煙を確認し、警備会社に通報。(当初は不審者を疑い、消火器を持って行かなかった[3]
  • 02:35 警備員が正殿北側内部を確認、既に煙が充満。
  • 02:40 消火器2本を使い消火を試みるも消火できず。
  • 02:41 警備会社から消防へ通報。
  • 02:50 消防が現場に到着。
  • 04:33 首里城正殿の屋根が焼け落ちる。
  • 06:07 首里城北殿の屋根が焼け落ちる。
  • 11:00 鎮圧
  • 13:30 鎮火

原因調査の時系列[編集]

  • 11月2日 出火原因は不明で、電気系統の異常や放火では無いとした[4]
  • 11月7日 電気系統の異常が有力とされるが、特定にはまだ時間が必要とした[5]
  • 1月29日 沖縄県警は火災の原因を特定できず、捜査を終了したと発表した。なお、コードから出火した可能性が高いと思われる。

出火原因[編集]

正殿北側あたりが火元とされているが、11月2日現在のところ出火原因は不明。電気系統の異常や不審者の情報は無いとされており、放火の可能性も低いとされている[4]

デマや誤解について[編集]

出火原因については放火説などヘイト投稿やデマがネット上では相次いで登場した[6]。デマを流す目的は似た考え方の人が集まっての共通の敵への「攻撃」や、根拠が無い特定の原因をつくるのが特徴という[6]

テレビの報道も、首里城を管理している「沖縄美ら島財団」の発表と食い違う情報もあり[7]、火災直後は情報が錯綜していた。

防火体制について[編集]

  • 設置義務は無かったが[8]、「スプリンクラー」を設置していれば全焼は免れていたのでは、とする意見はある。
  • 延焼を防ぐ「ドレンチャー」は正常に作動したようだが[2][7]、延焼を防ぐためのもので正殿内部の火災を消火する設備ではなかった。
  • 防火技術者協会の鈴木弘昭理事は、「煙を感知するセンサーを各階に設置していればもっと早く発見し早く消火できた」旨、初期消火体制の不備を指摘している[3]

人々の反応[編集]

  • ショックを受けて登校できない学童が多数発生した[9]
  • 多くの人が涙し、中には涙を拭う首里高校生の姿もあった。
  • ノートルダム大聖堂の火災と比較する意見も出た[10]
  • なぜ自衛隊のヘリコプターで消火活動しないのか、と言う疑問の声も出た[11]

脚注[編集]

  1. 首里城火災「風が強く延焼おさまらない」 那覇署幹部”. 朝日新聞 (2019年10月31日). 2019年11月2日確認。
  2. a b 首里城火災 文化財417点焼失 放水銃、熱気で近づけず”. 産経新聞 (2019年11月2日). 2019年11月2日確認。
  3. a b 首里城 警備員「火災ではなく不審者の侵入だと思った」”. NHKニュース (2019年11月7日). 2019年11月9日確認。
  4. a b 首里城、正殿内に侵入形跡なし 放火の可能性は低く”. 沖縄タイムス (2019年11月2日). 2019年11月2日確認。
  5. 電気系統の不具合か 首里城火災1週間、火元ほぼ特定 捜査の焦点は「何が」「どのように」”. 沖縄タイムス (2019年11月7日). 2019年11月7日確認。
  6. a b 「中国・韓国人による放火」「プロ市民の仕業」 首里城火災でネットにデマ相次ぐ”. 沖縄タイムス (2019年11月1日). 2019年11月2日確認。
  7. a b いずれもテレビ報道と食い違い/沖縄美ら島財団、会見し謝罪『ドレンチャー設備が配備。正常に作動したものの、延焼を抑えるには至らなかった』/また『首里城、正殿内に侵入形跡なし 放火の可能性は低く』と共同通信も伝える”. Togetter (2019年11月2日). 2019年11月3日確認。
  8. 首里城、スプリンクラーなし 推奨も管理者把握せず”. 琉球新報 (2019年11月1日). 2019年11月2日確認。
  9. ショックで学校を休む子も「朝食も食べられなかった」 首里城周辺の学校、児童のケア優先”. 沖縄タイムス (2019年10月31日). 2019年11月2日確認。
  10. 「朝から涙が止まらない」首里城火災 悲痛な声相次ぐ”. NHKニュース (2019年10月31日). 2019年11月2日確認。
  11. 首里城火災 陸自ヘリ投入できず 沖縄県、独自機導入を模索中”. 産経新聞 (2019年11月1日). 2019年11月2日確認。