長寿車両

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長寿車両(ちょうじゅしゃりょう)は、鉄道車両のうち、何らかの理由により廃車されずにずっと現役で生きながらえているもののことを指す。

概要[編集]

鉄道車両は本来ならば20〜30年程度、短いとと15年未満しか使用されないが、中には諸般の事情により40〜50年程度、時には60年以上も使用されている車両も存在する。

当然、一覧も挙げるが、記事の冗長化を防ぐため、分類ごとに分けるものとする。

長寿車両になる要因[編集]

保存を目的に大切に整備されている
動態保存を半永久的に本線上で行う場合、法令改正による改造が定期的に行われ、結果気づくと80年以上ということもある。
置き換え用に適合する車両の製造や購入が難しい
規格が特殊であったり、整備性が良かったり、あるいはお金がなかったりする場合は車両を使い続けるしかなく、気づいたら車齢60年以上ということも最近では増加した。
丈夫すぎるため廃車はもったいない
もはや化け物の考え方。痩せの少ないオールステンレス車やアルミ車に多い。養老鉄道では車齢55年程度の7700系を譲受し、さらに30年使うと発表されている。

一例[編集]

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明治・大正の生まれ[編集]

長崎電気軌道160形電車168号 (1911年5月登場)
明治生まれの鉄道車両最後の生き残り。当初は西鉄福岡市内線にて使用されたが、1958年より長崎電気軌道で使用されている。現在は動態保存のみで、定期運用はない。
三池鉄道11号電気機関車 (1917年8月登場/2020年5月引退)
三池鉄道において廃止まで使用された22トン級電気機関車。廃止となった2020年5月の時点で車齢は103年9ヶ月であった。
函館市企業局交通部排1形電気機関車排3・4号 (1920年登場)
元を辿れば1903年製の東京市街鉄道1形電車。1920年に車体更新を行い、35年に函館入線。37年にササラ電車に改造されて現在に至る。
銚子電鉄デキ3形電気機関車 (1922年9月登場)
当初は沖ノ山炭鉱で使用されていた電気機関車で、1941年に銚子電鉄に入線した。貫通ブレーキも保安装置ももたないため、本線走行はできず、構内でのみ使用される。
JR九州8620形蒸気機関車58654号機 (1922年12月登場/2023年度完全引退予定)
九州各地を駆け回った蒸気機関車だが、1975年に一度除籍、静態保存となる。その後、1987年にボイラー交換を行いJR九州に復籍し現在に至る。しかし、2007年に台枠も交換されているため、新造時の部品はなくなっている状態にある
しかし2023年度末をもって老朽化による引退がJR九州よりすでに発表されている。
近江鉄道ED31形電気機関車3号機 (1923年8月登場/2020年1月引退)
1923年より伊那電気鉄道デキ1形として使用され、一度国鉄のED31となった後、1955年に近江鉄道入りした。晩年の定期運用はなかったが2020年1月に東芝インフラシステムに譲渡されている。
弘南鉄道ED33形電気機関車3号機 (1923年11月登場)
元・武蔵野鉄道デキカ13号機。61年に弘南鉄道弘南線に入り、主にキ100と組んで除雪に使用される。
福井鉄道デキ10形電気機関車デキ11 (1923年12月登場)
福井鉄道生え抜きで、当初はデワ1という電動貨車であったが、1979年に電気機関車に変更。以降は主に軌道線の除雪に使用される。
広島電鉄570形電車582号 (1924年登場)
元・神戸市電のJ車。1960年に車体更新を行い、1971年に広島に入線した。僚車は全滅したため、唯一の現存車となっている。
上信電鉄デキ1形電気機関車 (1924年登場)
上信電鉄生え抜きの電気機関車で1と3の2両が現存。2022年現在は保線運用対応のデハ251の予備車となっているが、動態保存の臨時運用に入ることもある。
弘南鉄道ED22形電気機関車1号機 (1925年6月登場)
元・信濃鉄道(✕しなの鉄道)の2号機。一度国鉄のED22形となり、一畑電鉄に移籍した後に弘南鉄道大鰐線に入る。主にキ100と組んで除雪に使用される。
高松琴平電気鉄道20形電車23号車 (1925年10月登場/2020年9月引退)
元を辿れば大阪鉄道デロ20形。1962年に琴電に入線し、2006年に定期運用から引退。23のみは廃車されることなく動態保存となり、2020年9月に運用終了後はお遍路さんの休憩所としてNPO法人に引き取られている。
遠州鉄道ED28形電気機関車2号機 (1925年11月登場)
元・豊川鉄道デキ50形電気機関車51号。1952年に遠州鉄道入りし、主に保線用に使われたが、2022年時点では本線での運用がない。
近江鉄道ED14形電気機関車 (1926年3月落成/2019年3月全廃)
元国鉄ED14形。1966年に近江鉄道に入線し、主に貨物運用に就いたが、2019年3月までに全車解体。
高松琴平電気鉄道1000形電車120号・3000形300号 (1926年10月)
琴電生え抜き、かつ開業時からの車両。2006年まで現役で使用され、2021年に動態保存が終了したが、以降も入れ換え車両として残存する。

車齢60年以上の大手私鉄車両 (譲渡車を含む)[編集]

北勢鉄道モハニ50形電車 (1931年登場/2019年全廃)
北勢線電化開業時より登場。当初は6両が製造され、後に3両が追加増備された。戦後まで北勢線に残ったのは4両で、残りは三重線に集結した。
1982年に内部線八王子線用の2両が廃車。1992年には北勢線での運用を終了。それ以外の後期車3両は付随車化の上で四日市あすなろう鉄道に継承されたが、2019年までにすべて置き換えられ廃車となっている。
南海1201形電車 (1934年登場/1995年全廃)
木造車の鋼体化名義で登場し、以降昇圧まで大切に使用されてきたが、1973年に貴志川線に10両を残して廃車または地方私鉄に譲渡。譲渡先でも1990年までに全廃を迎え、最後まで残った10両も2270系に置き換えられて1995年3月に運用を終えた。
三重交通サ360形電車 (1954年登場)
三重線近代化のため8両が製造された半鋼製ボギー車。後に後期車5両が北勢線に転属し、北勢線車両は一部冷房化の上ですべて現役である。三重線に残った3両は四日市あすなろう鉄道に継承されたが、新車への置き換えで2019年までにすべて淘汰されている。
三重交通モ4400形電車 (1959年登場)
三重線向けに製造された垂直カルダン駆動の連接車だが、1970年代に入り電装解除。その後、270系の制御車となり、三岐鉄道に継承されて現在に至る。こちらは冷房化されていない。
三重交通サ2000形電車 (1960年登場)
上記の4400形の設計を流用した付随車。当初から三重線と北勢線への分散配置で、後に北勢線へと集結した。三岐鉄道に全車が継承されている。
なお、近鉄270系電車自体は車齢45年程度のためここでは取り上げない。
西鉄313形電車 (1952年登場/2015年3月全廃)
日本で初めてモノコック構造を採用した鉄道車両。1977年以降は宮地岳線で活躍し、315Fが長らく運用され続けていたが2015年1月24日に引退。同年3月末で廃車となり、ブラタモリの取材を受けた後8月をもって解体された。
高松琴平電気鉄道1070形電車 (1957 - 58年登場/1986年琴電入線)
元・京急旧600形。琴電には中・後期車6両が入線。前面貫通化や座席のロング化が行われた以外はそのままで、当初は琴電初の冷房車として重宝された。2011年に2両が廃車されたが、2022年時点で残存車の車齢は65年を迎えようとしている。
京阪2600系電車 (1959年車体製造/1978年更新)
機器類こそ廃棄されているが、車体自体は京阪2000系電車として使用されていた頃から60年を超える車両が存在する。
西鉄600形電車 (鉄道・2代) (1962年登場)
貝塚線に初期車・中期車が2連8本のみ残っているが、箱崎線直通計画も頓挫し、すでに初期の3本が車齢60年を迎えたにもかかわらず置き換えの話が出たのは2023年になってからである。
南海6000系電車 (1962年12月登場/2024年引退予定/一部車両譲渡済み)
南海初のステンレス車で、終始一貫して高野線で運用され続けている。2019年まで1両も廃車が出ていなかったが、8300系の投入で廃車が進み、2024年をもって南海線上では見られなくなる。
さらに、2連1本は大井川鐵道に入線し、手続きが遅れながらも運用開始に向けた準備が進められている。
養老鉄道7700系電車 (1963年車体製造/1986年改造/2019年養老入線)
養老鉄道入りした時点で車齢としてはすべて55年をオーバーしているが、今後30年は使用予定とされている。つまり引退時には車齢80年をオーバーしていることになる。

車齢20年以上の新幹線電車[編集]

新幹線は高速で長距離を走るため、15年程度でがたが来てしまう。しかし、各駅停車タイプなどで余生を過ごして20年以上生きながらえた車両も少なからず存在する。

新幹線200系電車 (1982年登場/2013年引退)
東北・上越新幹線向けに700両が製造された。ダブルデッカーの中間車は早々と現役を引退し過去帳入りしているが、上越新幹線向けに最後まで30両が残り、2013年にE2系で玉突き置き換えが完了するまで使用された。
新幹線100系電車 (1985年登場/2015年全廃)
2003年までにひかりからは撤退したが、一部車両が短編成化の上でこだま用として余生を過ごし、2012年3月のダイヤ改正まで使用された。さらに京都鉄道博物館への展示が始まる2015年まで1両のみが残留していた。
新幹線500系電車 (1996年登場)
2007年頃にのぞみ号から早々と撤退し、一部の中間車が車齢10年程度で、W1編成も車齢15年程度で廃車されたが、それ以外はこだま号で余生を過ごしながら車齢20年をゆうに超え、一部が運用離脱しながらも逆に行き先表示のフルカラーLED化もなされている編成もあり、今後10年以上運用される可能性が否定できない。
新幹線700系電車7000番台 (1999年登場)
2011年にひかりレールスターから殆どが撤退し、100系こだまの運用を玉突きで置き換えたが、以降置き換えの噂はない。しかし、2022年現在でも方向幕のフルカラーLED化はなされておらず、500系よりは少し雲行きが怪しいと推定される。

関連項目[編集]

  • 短命車両
  • 不遇の鉄道車両
  • 近鉄2410系電車 - 車齢55年を迎えようとしているが、2024年になってようやく置き換えが公式から示唆された。
  • 113系/115系 - こちらも置き換えの噂こそ立っているもののまだまだ使用されているというもの。車齢については40 - 50年程度で、115系のうち1960年代初頭製造分は全滅している。
  • キハ28 2010 - 1961年製造。1987年にサロンエクスプレスアルカディアの中間車に改造の翌年、火災が大々的に報道されたため短命の印象があるが、1992年にジョイフルトレイン「Kenji」として復活。2018年まで運用され、キハ58系最長の58年の長命を誇った。

外部リンク[編集]