絹
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概要[編集]
光沢があり、滑らかな高級繊維である。ただし、手入れが難しく、摩擦や紫外線に弱い。汗によってシミになりやすい等の欠点がある。古今東西珍重され、貿易でも重要視された。
麻や綿が実用品であるのに対して奢侈品としての傾向がある。このため、江戸時代の倹約令では規制産物の対象になり易かった。
用途[編集]
歴史[編集]
絹の生産は中国が中心で、ヨーロッパではカイコガが成育できなかったので珍重された。絹の流通のために整備されたのがシルクロードである。日本でも生産されていたが、質、量共に中国産には及ばず、江戸時代半ばまで清から大量に輸入していた。やがて貿易赤字解消のために質の向上と大量生産が始まった。19世紀になるとイギリスが清から大量に絹と茶を輸入し、これに対する貿易赤字解消のために阿片を清に密輸出し、これがきっかけでアヘン戦争が起きた。
19世紀後半から大日本帝国、清は、桑畑の拡大と近代的な製糸工場の建設を推進し、大量の絹を輸出して富国強兵を行った。太平洋戦争前はアメリカ合衆国では女性の靴下として重要な用途を占めた。
しかし、日中戦争が始まり、アメリカは絹の禁輸策を取りナイロンを開発した。大日本帝国としては絹の輸出の大部分がアメリカ合衆国向けだったので戦争での打撃は大きかった。
さらに戦後も、ナイロンが普及したことによって外貨の獲得が経たれた形となり、桑畑は激減して養蚕業は衰退、絹はシルクなど僅かな需要を満たすだけの産物となり、再び高級繊維に戻りつつある。