竹島改名紛争

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竹島改名紛争(たけしまかいめいふんそう)は、過去5回にわたって行われた、ウィキペディア日本語版島根県竹島の記事名を巡っての紛争である。中でも2019年から2020年にかけて行われた第5次紛争は激しい論争となり、記事名の中立性など、ウィキペディア日本語版全体の議論にまで及ぶ事態となった。

第1次(2006-07)[編集]

2006年8月31日、RadioActiveが当時「竹島」であった、島根県の竹島を含む同名の島の曖昧さ回避ページの記事名を、島根県の竹島が最も一般的だという理由で「竹島 (曖昧さ回避)」に改名することを提案した。その後4か月以上意見が付かなかったが、2007年1月20日、NiKeが賛成した。しかし同日、IP利用者が愛知県蒲郡市竹島の方が有名だとしてこれに反対。翌日にはロリが賛成したが、その後、無人島である島根県の竹島を、有人島であり国定公園に指定されている愛知県の竹島より上位に扱うことに、ПРУСАКИНGokiMiyaらによる反対意見が噴出。結局、同年9月2日に現状維持で終了することが決定した。

第2次(2007-09)[編集]

2007年5月31日、ホロ部により、当時「竹島 (島根県)」であった島根県の竹島についての記事を、ウィキペディア英語版ウィキペディアドイツ語版での改名を理由に、国際名であるリアンクール岩礁に改名することを提案した。しかし、Michael Friedrichが100年以上日本において使われていない名称であることを理由に反対し、ホロ部は韓国名と日本名を併記した「独島/竹島」を妥協案として提案した。ところが、「独島」も日本語で広く使われている名称ではないためにMichael Friedrichやo_tamonらが反発、結局6月2日を最後に議論は停止した。その後、2009年12月31日にIP利用者によるコメントがあったが、返答のないまま過去ログ化された。

第3次(2010)[編集]

2010年1月11日、にごにいが、当時「竹島 (島根県)」であった島根県の竹島についての記事名の「(島根県)」の部分が日本側の主張だけに基づいており中立ではないとして、「竹島 (日本海)」への改名を提案した。しかし、それを言うなら「日本海」も韓国は用いていない呼称であるため中立的ではないとして、LakebuelやIP利用者が反対。これに対しにごにいは日本海は日本語の名称であるため問題ないと反論した。しかし、リバイバル1998らによって「かえって分かりにくくなる」、Kinno Angelによって「完全に中立な名称などあり得ない」と反論された。3月3日に、七之輔(現E56-129)は、反対の理由を以下のように整理した。

  1. 当該竹島は日本語で「竹島」と呼ばれている。
  2. 当該竹島は日本政府が領有権を、島根県の県域であることを主張している。
  3. 当該竹島以外に日本国内に「竹島」と呼ばれる島が他県にあるため、Wikipediaの制約上、括弧内記述として多くの日本語話者にとって最も適切とされる「島根県」を付している。
  4. 領有権問題や二国間紛争を孕んだ項目で項目名に当該国POVが見られるのは日本語版に限らず広く存在する。(jawp:ノート:竹島/過去ログ3#改名の提案、七之輔による2010年3月3日 (水) 02:41 (UTC)の発言)

すると、これを理由にHimetvわたらせみずほぱむGyulfoxも反対。IP利用者が「リアンクール岩礁」の代案を出したが、これも完全に中立な名称とは言えないと反対が相次ぎ、結局、4月6日に議論は打ち切りとなった。7月15日、別の節でYyrは、特筆性不足のため単独記事の作成はされていないものの、日本海に他に「竹島」と呼ばれる島が複数あることを補足した。(うち1つは島根県にある)

第4次(2018-19)[編集]

2018年1月5日、R-5は、日本の立場からの記事名である「竹島 (島根県)」はふさわしくないとして、「リアンクール岩礁」への改名を提案した。しかし、1月13日、ロリが日本語名でないために反対、26日にはIsamitも認知度の低さを理由に反対した。2月11日にR-5は、総合的にはリアンクール岩礁が妥当と反論したが、そこで議論は停止。2019年12月18日に、山田晴通が解決済みとして終了した。

第5次(2019-20)[編集]

初期の議論[編集]

2019年12月5日、片割れ靴下は、「竹島 (島根県)」は日本の主張のみによる記事名で不適当であるとして改名提案した。当初案としては「竹島 (韓国名が独島の島)」、「竹島 (慶尚北道・島根県)」、「竹島 (日韓暫定水域内の島)」、「竹島 (島根県から北北西に約211キロメートルの地点にある島)」、「竹島 (北緯37度14分30秒、東経131度52分にある島)」、曖昧さ回避括弧なしの「竹島」、そして「リアンクール岩礁」の7案が提示され、片割れ靴下は「竹島 (韓国名が独島の島)」が最善とした。一方、「竹島 (慶尚北道)」は中立的でなく、「竹島 (日本海)」は一意に定まらないとして反対した。これに対し東名三好は翌6日、「竹島 (日韓暫定水域内の島)」「リアンクール岩礁」が妥当だとし、「竹島 (独島)」「竹島・独島」の代案を出した。同日、KAMUIは中立性は記事の本文において確保されているとして改名に反対した。これについて片割れ靴下は、記事名が中立でなければウィキペディア全体の中立性も大きく落ちると反論した。片割れ靴下は、同日の「韓国政府は日本語名称を提案する立場にない」という、IP利用者210.48.133.123による反対意見についても、「独島」も「ドクド」も「リアンクール岩礁」も(日本名ではないが)日本名であるなどとして反論した。同日の23時半前、東名三好は曖昧さ回避の括弧内に別名を併記することを禁じたガイドラインの規定を見落としていたとして、「竹島 (独島)」「竹島・独島」の代案を撤回した。また、東名三好は、日付が変わる直前には、「独島」などは日本語名ではなく、日本語名以外の名称を日本語的に表現しただけであると、片割れ靴下に反論した。

12月7日、ロリは、「島根県」という名には竹島の領有権を主張する意図はなく、あくまで曖昧さ回避としての役割を果たしているだけであるとして、改名は必要ないと主張した。ただし、曖昧さ回避括弧なしの「竹島」への改名は否定しなかった。12月9日、そらみみは、「竹島 (島根県)」の記事名が最も明確かつ簡潔に区別できているとして、改名に反対した。このような理由での改名を認めると、「『日本海』の名称は韓国では中立的な名称ではないので改名すべき」、あるいは、日本語を解する朝鮮人を不快にさせる、という理由での改名を認めると、「性行為、殺人事件、怪談などについての記事は不快に感じる人が多いので、読者を不快たらしめないために削除すべき」などの行動につながり、きりがなくなると主張した。そらみみはまた、中立的な観点についての方針は記事の本文についてのみ適用され、記事名については適用されないとも主張した。記事名に対して中立的な観点の方針を適用した場合、「朝鮮半島での呼称であり、中国側の呼称ではない白頭山の記事名は改名すべき」、「『シナ』という差別用語が含まれている東シナ海の記事名は改名すべき」、「反種族主義者に配慮し白人黒人の記事は削除すべき」などの主張につながり、やはりきりがなくなると主張した。

12月14日、aki42006も、慶尚北道にあるのは独島であり竹島ではないこと、日韓暫定水域では分かりにくいことを理由に、改名に反対した。これを受けて東名三好は12月15日、片割れ靴下に、ウィキペディアの全方針・全ガイドラインを完璧に満たせる記事名は存在しないとして、改名提案の取り下げを提案した。

井戸端での問題提起[編集]

一方片割れ靴下は、12月9日のそらみみの発言を受けて、12月15日、取り下げ提案のあった直後に、jawp:Wikipedia:井戸端/subj/Wikipedia:中立的な観点は記事名には適用されませんか?という話題を立てた。記事名に中立性は必要ないのか、という趣旨の話題であった。同日中にAssemblykinematicsEULE茶でもすするかみしまるももの4名から意見があったが、いずれも記事名に中立性は必要ないか、少なくとも認知度の高さや見つけやすさを犠牲にしてまで中立性を優先させるべきではないとの意見であった。EULEとみしまるももは、記事主題に対する主張の違いは記事本文で説明すべきものであり、記事名に反映させる必要はないと主張した。みしまるももは、あくまで曖昧さ回避の括弧は弁別のための便宜的なものに過ぎないとも主張した。

翌16日、改名議論が行われているノートページでHenaresは、「竹島_(係争地)」の記事名を提案した。曖昧さ回避部分の長さが3文字と短く、係争地という用語は分かりやすく、日韓どちらか一方の国の領土であると受け取れる要素がないために中立性の問題もなく、さらに他に係争地である竹島はないため、曖昧さ回避としての要件は十分にクリアしているとした。また、片割れ靴下が提示した7案については全て反対した。なお、井戸端の方ではHenaresは、単なる言語ごとの呼び方の違いを超え、日本側の主張を前面に押し出したものであるとして、「竹島 (島根県)」の記事名が不適切だと述べている。これに対しaki42006は翌17日、「『独島は、歴史的にも、地理的にも、国際法上も明白な大韓民国固有の領土です。独島をめぐる領有権紛争は存在せず、独島は外交交渉及び司法的解決の対象になり得ません。』[1]という韓国側の主張を踏まえての質問か」と尋ねた。これに対しロリは日本が領有権を主張している以上、竹島は係争地であると返答した。またHenaresは、韓国政府の主張する領有権問題の不存在を全面的に認めた場合、竹島が韓国固有の領土であることも同様に認めなければならなくなり、いずれにせよ「島根県」という括弧内の表記は不適当となると返答した。その一方で竹島が係争地であることには多数の出典があり、係争地という表現はいずれかの国の固有の領土である、あるいは両国の共同管理であるという見解のいずれをも認めるものではない、とも主張した。

17日にはYapparinaも改名に賛成し、「竹島 (慶尚北道・島根県) 」、「竹島 (係争地)」、曖昧さ回避括弧無しの「竹島」の3案が適当だとした。

「独島」独立記事論[編集]

12月17日夜遅く、山田晴通は改名提案に反対する意見を投稿した。その理由は、この議論自体が議論のための議論、法律家ごっこ、愉快犯であるというものだった。山田は慶尚北道にあるのは独島であり竹島ではなく、韓国側にとっては竹島は係争地ではないと主張した。その上で、竹島という記事が日本側の主張に重きを置いたものにならざるを得ないという前提で、韓国側の主張に重きを置いた「独島 (慶尚北道)」という記事を独立記事として作成することを提起した。これに対し片割れ靴下は、呼び名の違いは、竹島の領有権主張の違いとは本質的に異なると主張した。山田晴通はこれについて、イエス・キリスト(キリスト教における人物としてのイエス)、ナザレのイエス(歴史上の人物としてのイエス)、イスラームにおけるイーサー(イスラーム教における人物としてのイエス)の記事が分かれていることを例に挙げ、「独島 (慶尚北道)」の独立記事作成の合理性を再度強調した。しかしHenaresは、「韓国では独島といわれている」という記述が『国際法事典』にあることを理由に、「慶尚北道にあるのは独島であり竹島ではない」という理屈は成り立たないと反論した。また、ほぼ同じ記述にしかならないとして「独島 (慶尚北道)」記事の独立にも反対した。改名議論が法律家ごっこであるという主張についても、記事名を議論することは不可欠と反駁した。

日付が変わって18日朝、山田はHenaresの反論に対し、イエスの例の他に、マルセル・デュシャン(美術家の本人格)とローズ・セラヴィ(別人格)、コンスタンティノープルイスタンブール江戸東京(両組とも前者が歴史的な面、後者が現代的な面)の例も出し、ほぼ同じ記述になることはないと再反論、議論からの撤退を宣言した。ところがHenaresは、イエス、デュシャンなどの例は両者が異なるものであるという出典があるから記事を分けているのであって、竹島と独島にはそれがないので、同じ記事にすべきだと再々反論した。なお、片割れ靴下は同日夜に、これらの例についての補足説明をした。

Doraemonplusの主張による議論[編集]

18日夜、Doraemonplusは、曖昧さ回避の括弧は、中立性を高めるためではなく、記事を区別するためのものであると指摘したうえで、記事名のように1つの記事につき1つしか設定できないものに対して中立的な観点の方針を適用すべきではないと主張した。これに対し片割れ靴下は「複数の自治体にまたがる場合、同名の市区町村が複数ある場合や、同一自治体のなかに同じ名前の島が複数ある場合などには、区別できるまで都道府県名や郡名などを補ったり、他の曖昧さ回避方法を検討して下さい。」とするjawp:プロジェクト:島/記事名が重複する場合に該当するとし、「竹島 (慶尚北道・島根県)」か、自治体名を付さない「竹島 (日韓暫定水域内の島)」あるいは「竹島 (係争地)」の採用が適当だと主張した。また、「馬子にも衣装」ということわざのように、記事名をきちんと中立的なものにすることは、記事の本文の改善にもつながるとも不調した。そして、日韓だけでなく、北朝鮮も竹島の領有権を主張していることに触れた。またHenaresは、「竹島 (島根県)」の記事名では、竹島を韓国領であると認識している読者に、日韓の領土問題が発生している竹島とは別の島であると誤認させてしまう可能性、竹島を日本領であると認識している読者についても、竹島について述べているほとんどの情報源が領土問題に触れていることから、曖昧さ回避括弧も領土問題に関係のある「竹島 (慶尚北道・島根県) 」か「竹島 (係争地)」にすべきで、「竹島 (島根県)」の記事名は不適切だと主張した。

Doraemonplusは翌19日、ウィキプロジェクトの規定に基づいた意見について、「竹島 (島根県)」で十分にどの島かは弁別でき、「竹島 (慶尚北道・島根県) 」といった記事名は区別の上では不適当であると主張した。また、「竹島 (係争地)」の記事名も、政治的色彩が強いうえ、竹島が係争地であるという、特定の意見を推進することになり、不適当であると主張した。これに対しHenaresは、「島根県」がどこまでを指すのか不明瞭であるために単に地理的な位置を示すことすらできておらず、また、政治的色彩が強くなることに方針・ガイドライン上の問題点はないと主張した。また、竹島は係争地だとすることには出典があると、重ねて主張した。これについてDoraemonplusは翌20日、係争地であることを要素にして他の竹島と区別しなければならない理由はなく、島の領有権については曖昧さ回避括弧内ではなく、記事中の「名称」節などで述べるべきであると反論した。次のHenaresの反論は、中立性は記事全体で保持されなくてはならないものであり、また、記事中の名称節は、記事名ではなく、竹島という地名そのものについて解説するためのものであるというものだった。またHenaresは、方針やガイドライン文書に「記事名の曖昧さ回避括弧内は中立的でなくてよい」という文言を明記する提案をすることを、Doraemonplusに提示した。一方片割れ靴下は、曖昧さ回避括弧は同一記事名の記事を複数作成できないというシステム上の都合により、ウィキペディアンが自らの意思で付け加えたものであり、中立的なものとは言えないと主張した。Doraemonplusは、これらの反論に対し、自らの意見は井戸端におけるみしまるももの意見に最も近いと述べ、これ以上言うことはないと述べていた。

ところで、12月20日に、井戸端の方では、みっちは、カナダに同名の都市があるロンドンの例を引き合いに、記事名のガイドラインを全て満たしているので問題はない、と主張していた。

Triglavの「竹島」案とDoraemonplusの「○○沖」案[編集]

議論が平行線をたどるなか、12月20日夜半、Triglavは、他の竹島との検索需要の差が明瞭であること、曖昧さ回避括弧について議論する必要がなくなることを理由に、曖昧さ回避括弧なしの「竹島」への改名に賛成した。これに対しみしまるももは翌21日、現状で十分分かりやすく、見つけやすい記事名であり、「慶尚北道」を加えることはかえって政治的変更を助長することになり、「竹島 (係争地)」も、韓国側が領土問題の存在を認めておらず、国際司法裁判所での審判に応じていないことを理由に不適切だ解いた。そのうえで、曖昧さ回避括弧なしの「竹島」への改名にも同意した。これに対しHenaresは、国際司法裁判所が審判に応じないことと係争地であることに関係はなく、竹島と言えば島根県の島であるという認識は日本人にとっても薄いと反論した。また、記事名への三大方針の適用への考え方について、Doraemonplusとみしまるももに確認した。これについてみしまるももは、外務省のホームページなどでも、竹島が島根県に属することが第一に挙げられていることを理由に、曖昧さ回避として島根県に属することを利用することに問題はないと主張した。これと前後して、Greenland4も曖昧さ回避括弧なしの「竹島」への改名に賛成し、当時「竹島 (鬱陵郡)」だった鬱陵島の付属島の記事名についても竹嶼への改名を主張した。一方、後にAkane700のブロック破りとして無期限ブロックされることになる切干大根は翌22日、対案は政治的なものであり、現状で位置は分かるので妥当だとして、記事名の改名自体に反対した。

ところでDoraemonplusは、12月20日に、「竹島 (島根県沖)」と「竹島 (山陰沖)」の対案を出した。これは、海域名で場所を提示することにより、領有権の所在の断定を回避するものであったが、翌21日、Henaresは竹嶼についても島根県沖、あるいは山陰沖とみなしうるとして反対した。これに対しGreenland4は、竹島を調べる人のうち、島根県の竹島について調べたいものが大部分であるので、現状の方が不便であると主張した。これについてHenaresは、領土問題は学術的な理論が確立しているため、各人がそれを述べた信頼できる情報源に沿って議論を進めれば紛糾することはないと指摘した。その上で、論争的であるからと言って改名提案を早く終わらせようとするのでは、本来行うべき議論まで忌避されてしまうことを懸念した。この意見にGreenland4は、必要な議論などなく、単なる言いがかりであると主張した。

  1. 大韓民国慶尚北道ホームページ「独島に対する韓国政府の基本的立場(原典は大韓民国外交部)より引用、強調部は引用者