川崎富作
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川崎 富作(かわさき とみさく、1925年〈大正14年〉2月7日 - 2020年〈令和2年〉6月5日)は、日本の医師。医学博士。専門は小児科臨床。川崎病の発見者として知られる。
人物・来歴[編集]
1948年(昭和23年)に千葉医科大付属医学専門部(現在の千葉大医学部)を卒業後、東京都の日赤中央病院(現在の日赤医療センター)小児科の勤務医となる。
1961年(昭和36年)に高熱や湿疹などを特徴とする見慣れない病気の存在に気づき、症例を集めて研究を進め、その結果6年後の1967年(昭和42年)に「急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」という新しい病気だとする論文を発表。その後、この病気は川崎の苗字をとって川崎病と名付けられた。川崎病の原因についてはウイルスや細菌とする説もあるのだが、決定的な証拠が無いので未だに不明としか言いようがない。ただ、治療法そのものはほぼ確立しているので、川崎の功績は大きい。ただし、この治療は必ずしも全てに有効というわけではなく、万が一の場合には心臓に後遺症が出る可能性も指摘されている。また、欧米では2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)に感染した子供の中に、川崎病に似た症状が報告されている。
1990年(平成2年)に日赤医療センターを退職。その後は川崎病研究情報センター(現在の日本川崎病研究センター)の所長に就任し、さらに理事長や名誉理事長に就任した。
1991年(平成3年)に日本学士院賞、2006年(平成18年)4月には第1回日本小児科学会賞を受賞した。2010年(平成22年)に東京都名誉都民に選ばれている。
2020年(令和2年)6月5日午後、老衰のため、東京都内の病院で死去。95歳没。葬儀は家族葬で営まれた。後日、「お別れの会」を開く予定である。
著作[編集]
- 『川崎病(MCLS)研究のあゆみ : 病因診断から治療まで』 川崎富作, 草川三治, 重松逸造 編集、近代出版、1976年。ISBN 978-4309251806。
- 川崎富作 著 『川崎病』 金原出版〈金原医学新書〉、1979年。
- 『赤ちゃん百科 : お誕生から3歳』 高橋悦二郎, 川崎富作監修、小学館〈ホーム・ジャポニカ〉、1981年。
- 『川崎病ってどんな病気? : 川崎富作先生講演集会 記録』 川崎富作 講演、川崎病の子供をもつ親の会〈親の会双書1〉、1983年。
- 『川崎病』 川崎富作 ほか 共編、南江堂、1988年。
- 川崎富作 著 『運・鈍・根・感・厳 : 大学受験落第生のたわごと』 産業開発機構、1990年3月。
- 古谷博 川崎富作 著 『母子健康科学 2』 放送大学教育振興会〈放送大学教材〉、1991年。
- 『川崎病の診断と治療 : 心血管障害を中心に』 神谷哲郎 編、日本臨牀社、1994年3月。
- 『川崎病は、いま : 聞き書き川崎富作』 川崎富作 述, 細川静雄, 原信田実 編著、木魂社、2006年。
- 『川崎病の基本 = Kawasaki Disease』 川崎富作総監修 ; 浜岡建城, 上村茂監修 ; 日本川崎病学会作成、協和企画 (発売)、2015年5月。
- 川崎富作:「現場から学ぶ川崎病発見の経緯」、第39回日本小児感染症学会特別講演4、小児感染免疫、Vol.20, No.1, pp.51-55 (2008).