定年

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定年(ていねん)とは、民間や公務を問わず、そこに就職している労働者がある一定の年齢が来たら退職する年齢のことである。

概要[編集]

定年制度が日本で開始されたのは明治35年(1902年)であり、最初に定めたのは民間会社の日本郵船であった[1]。日本郵船は岩崎弥太郎が設立した郵便汽船三菱会社(後に三菱商会と改称)と三井系の共同運輸が合併して、明治8年(1875年)に誕生した海運会社である[1]。日本郵船は「55歳」をもって定年と定め、社員を退職させた[1]。55歳だと早すぎるようであるが、当時の日本人男性平均寿命が43歳弱であったため、55歳はむしろ十分すぎるほどであった[1][2]。そして、日本郵船に続くように国や県、民間企業なども次々と55歳定年制度を導入し、戦前の日本に55歳定年制が定着していった[2]戦後もしばらくは55歳定年制が採用され続けたが、次第に問題が発生しだした。それは日本が1960年代から1970年代にかけて迎えた高度経済成長と日本人の平均寿命の延びである。爆発的な経済成長で人手を必要とするようになり、また医療技術が発達したことで平均寿命も延びたので、1980年代頃から定年が60歳に切り替えられるようになったのである。その後、さらに平均寿命は延びて少子化の影響で人手不足が深刻化していることから、定年が65歳に変更されつつある[2]。これには厚生年金の受給年齢が65歳に引き上げられたことが背景にもあり、事業主は65歳までの安定した雇用を確保する対応をとる必要性に迫られている[2]

定年は制度として成立してから半世紀ほどは、人生の週末目標地点になっていたのだが、現在では「人生80年」と言われて寿命が延びていることから、人生の途中通過地点となりつつある[2]。なお、平成18年(2006年)の調査では男性の77パーセントが定年後も働きたいと望み、75パーセントが定年前の会社で働きたいと望んでいるという[2]。働くことを希望した者のうち、フルタイムで働きたいと考える人が47パーセントであり、パートアルバイトで働きたいと考える人が40パーセントという結果が出ている[2]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. a b c d 中野『年齢の話題事典』P104
  2. a b c d e f g 中野『年齢の話題事典』P105

参考文献[編集]