学校文法

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学校文法とは、国文法分野における蔑称のひとつ。「いわゆる『学校文法』」と呼ばれ、まれに「教科書文法」とも呼ばれる。現代国語の文法であり、検定教科書およびその指導書においてのみ使われ、現実的な国語環境とは解離した文法である。

概要[編集]

橋本進吉の指導のもとに、岩淵悦太郎が監修した旧制中学校(現在の中学校の三年生から大学一年生にあたる)の学生に対するエリート教育向けの国定教科書の内容を基礎としている。基本的には文語文法であったが、占領期のドタバタで口語文法に改変され、ここから「学校文法」という不名誉な名前で呼ばれるようになった。
占領政策によって、「日本語は廃止すべきものであり、英語を標準語とせよ」とされ、当用漢字などが制定されたが、なにしろ日本語には千年以上の歴史に基づく文献資料などがあるため、単に日本語を混乱させただけに終わり、頓挫した[1]
もっぱら「規範文法」であり、「説明文法」としてはほとんど無力であり[2]、古典文学を解釈するための「解釈文法」は「文語文法」に追いやられた。
ところがマイクロプロセッサが登場し、パソコンで日本語のテキストを処理する(日本語処理)という需要が生まれたため、「記述文法」が要求されたが、このとき「学校文法はほとんど役に立たない」ということがあからさまになった。
検定教科書は検定者と教科書販売会社(出版社)の間の利権が絡み、文部科学省からは独立しているため、戦後七十年くらいはこの体制が続いている。

弊害[編集]

動詞の活用においては、「(形容詞とともに)終止形と連体形は同じ形をしている」と教えることと、「已然形」を排して(「已」は当用漢字には入っていない)「仮定形」とした(文語文法における仮定形とは異なっている。本来は已然形である)ことによって、「活用表アレルギー患者」を大量に生みだしたことがある。

已然形・仮定形以外は文語文法をベースに作られたため、否定形と意志・推量形、連用形と過去形が実質別の形になった口語文法には合わない部分が多い。

そのため学校文法に染まった人間は、日本語処理においてはまったく役に立たない[3]

用語[編集]

  • 規範文法 - 「日本語は、こういうふうに使ってほしい」という、常識的な立場に基づく文法。
  • 解釈文法 - 「こういうふうに解釈するのが正しいのではないか?」という文法。
  • 説明文法 - 「筆者は、こういうことを言いたかったのではないか?」という文法。
  • 記述文法 - 「こういう表現を、字義通りに解釈すると、こうなる」という無慈悲冷酷な文法。とはいえパソコンは情け容赦もない。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. 日本語の底力をナメちゃダメだ。
  2. 日本人は日本語を使うのが当たり前なので、説明する必要はない。
  3. 「人の足を引っ張る」というのも役のひとつかもしれないが。