動詞
動詞とは、英語の述語(verb)に相当する日本語(おそらくは訳語)である。用言のひとつ。
大きく分けると不規則活用動詞と規則活用動詞の二種に分かれるが、不規則活用動詞は実質二つ(細かく分けても六つ)しかなく、頻繁に用いられるがゆえに「擦り減った」結果として不規則活用となったと推定されていて、「慣れるか丸暗記するかしろ」としか言えない。
規則活用動詞は大きく分けて「母音末尾動詞」(一段活用)と「子音末尾動詞」(四段活用)の二種があったが、子音末尾音動詞のうち「h音末尾動詞」の指標音である'h'音が聞きとりづらくなったため、「a・o・u 音末尾動詞」として残り、「母音末尾なのに五段活用する動詞」として現在では使われている。
概要[編集]
すでに述べたように、動詞には
の四種類がある。
不規則活用動詞は「カ行片活用動詞(「来る」)」と「サ行片活用動詞(「する」)」が知られているが、音韻と表記の関係でいうと「言う/謂う/云う(いう)」と「行く/逝く/征く(いう)」も不規則である[1]。「乞う/請う(こう)」「問う(とう)」は、文語的な活用がそのまま残ったため、不規則活用動詞となった。
「動詞の活用というのはややこしい暗記物であって、高校生にとっての国文法上の難所である」と思われがちだが、教師が間違った指導をしていた結果でしかないので、それほど難解なものではない。形容詞の解釈については「普通に考えれば厨二病の厨房」にも解る話をややこしくして混乱させる教師が悪いだけである。簡単そうに見える形容詞の活用も人間にとっては難しい話ではなく、それを論理的に解釈できない馬鹿が日本語処理システムのプログラムを書いているだけの話でしかない。
活用[編集]
- a・o・u 音末尾動詞
- i・e音末尾(一段活用)動詞
- 子音末尾(五段活用)動詞
について述べる。
a・o・u 音末尾動詞[編集]
四段活用 h 行音動詞に由来する。 打消形「ない・ぬ・ず」または文語の未然形「む」に接続するときに、末尾に「わ」がくる動詞をいう。文語的な表現を好むひとは、「は」を使うこともある。すなわち
- 「買わない」⇒「買はない」
- 「襲わない」⇒「襲はない」
- 「食わない」⇒「食はない」
などとなる。
i・e音末尾動詞[編集]
「見る(mi)」「出(de)る」などが代表的である。打消形の活用語尾は語幹にそのまま接続する。
子音末尾動詞[編集]
基本的にはそれほどややこしくはないが、連用形・連体形の過去または完了形の活用形では音便によって音韻の変化が起きるため、ローマ字表記して活用表を書けばさほど面倒臭くはない。
- k・g音(「書く(kak)」「嗅ぐ(kag)」)
- s音(「貸す(kas)」)
- t・r音(「勝つ(kat)」「刈る(kar)」)
- n・b・m音(「死ぬ(sin)」「喜ぶ(yorokob)」「噛む(kam)」)
などがある。
活用形[編集]
学校では動詞の活用形は「未然・連用・終止・連体・仮定・命令」の六種だと教えられてきたが、近年では十種類ほどあるというのが定説となりつつある。すなわち、
番号 | 活用形 | 備考 |
---|---|---|
1 | 未然形 | う・よう |
2 | 打消形 | ない・ぬ・ず |
3 | 連用形現在時制 | |
4 | 連用形過去または完了時制 | て |
5 | 終止形 | |
6 | 連体形現在時制 | る |
7 | 連体形過去または完了時制 | て |
8 | 已然形 | |
9 | 仮定形 | ば |
10 | 命令形 |
である。 このうち「現在時制」と「過去または完了時制」は「連用形/連体形」と直交しているので実質八種類であり、(形容詞を含む)終止形と仮定形は現在ではほとんど使われないため、已然形の'已'の字を覚えておけば実質六種である。
江戸時代は、未然形、打消形、仮定形が同じ形であった。また連用形は時制による区別が無く、「〜た」「〜て」が続いた時に発音しやすい様に後世変化したものが過去時制である。
活用型[編集]
ローマ字で書けば二種+四種=七種であるが、これを五十音図に即して文法定義するとなると、形態素解析においてはけっこうな難題となる。
- イ段(上一段)「見る(mi)」
- エ段(下一段)「出る(de)」
- ア段(ワ行五段)「買う(ka)」
- オ段(ワ行五段)「襲う(oso)」
- ウ段(ワ行五段)「食う(ku)」
- カ行「書く(kak)」「聞く(kik)」「割く(sak)」
- ガ行「喘ぐ(aeg)」「泳ぐ(oyog)」「嗅ぐ(kag)」
- サ行「貸す(kas)」「指す(sas)」「足す(tas)」「渡す(watas)」
- タ行「勝つ(kat)」「立つ(tat)」「待つ(mat)」
- ラ行「切る(kir)」「刈る(kar)」「取る(tor)」
- ナ行「死ぬ(sin)」「去ぬ(in)」の二語のみ
- バ行「転ぶ(korob)」「飛ぶ(tob)」「呼ぶ(yob)」
- マ行「噛む(kam)」「病む(yam)」「読む(yom)」
と、十三種になる。とはいえ、いわゆる IME のかな漢字変換機能はアルゴリズムとして「接続テーブル法」を使っており、これが十種類の活用表と交絡すると動詞の活用部分だけでもかなり複雑になるため保守作業の手間数が増え、かな漢字変換の変換精度は三十年前よりもおそらく落ちている。そのため辞書登録語彙数を増やしたり深層学習などで底上げしようとしているが、実際にはうまくいっていない。プログラミング言語ellispの開発動機はそれであり、「接続テーブルはスパース行列なのだから、接続関係のある部分だけ記述すれば、保守が容易になる」という目論見があった。
語彙数[編集]
なんだかんだで日常的に使うのは千五百語くらいであり、おそらく二千語を越えない。
文中での役割[編集]
日本語[編集]
述語として使うのが基本。日本語では形容詞や名詞も述語として使用できるので、動詞は文中で必須ではない。単独で述語として使う際は終止形を用いるが、助動詞や助詞を後につける場合は、それぞれの付属語に合う活用形にする必要がある。
複数の主語・述語セットを並列にした文(重文)では、一つ目の動詞を連用形にする必要がある。例えば、「私の予測では、今後、エンペディアは伸びて行き、ウィキペディアは廃れて行く。」という文では、最初の「行く」が連用形で、最後の「行く」は終止形である。
複数の主語・述語セットが主節・従属節の関係にある文(複文)で、主節の名詞を従属節で説明するときは、従属節の動詞を連体形にし、主節の名詞に修飾させる。例えば、「私が今編集しているエンペディアは素晴らしいサイトだ」という文では、「編集している」が連体形になっている。
動詞の活用は、後に続く助動詞・助詞に主に影響され、主語によって活用形が変わることは無い。
ヨーロッパ言語[編集]
フランス語、ドイツ語、英語では、日本語とは異なり、述語としては動詞のみが用いられる。名詞や形容詞を述語にしたい時には、日本語の助動詞の「だ」「です」「である」に相当するコピュラ(仏:être、独:sein、英:be)を述語として用いる。
コピュラは日本語においては敬語以外の日常語においては省略されることが多く、ロシア語ではほぼ省略される。「私はカモメ」「我はロボット」などはその例とみられる。
複文で主節の名詞を従属節で説明する場合は、分詞あるいは関係代名詞を用いる。分詞は動詞の活用の一種類であり、動詞を形容詞や副詞の様に用いる際に用いる。従属節が複雑になる場合は関係代名詞を用い、説明される名詞が従属節内で主語・目的語として機能するため、動詞が名詞を修飾する形にはならない。一方、不定詞や動名詞の形にすることで、動詞を「○○すること」の様に名詞として扱うことも可能である。
動詞は、組み合わせて使う助動詞、および時制による変化に加え、主語の人称・数によっても変化する。例えばフランス語で好きだという意味の動詞aimerの場合、「彼はエンペディアが好きだ」は「Il aime Enpedia.」となるが、「我々はエンペディアが好きだ」は「Nous aimons Enpedia.」としなければならない。
文中での動詞の位置は、主語の次になることが一般的。ただしドイツ語の場合、動詞が複数ある文(助動詞+動詞のセットなど)では、一つの動詞のみ主語の次となり、他の動詞は日本語と同じく文の最後になる。例えば、「私は去年エンペディアにアカウントを作成した」という文はドイツ語では「Ich habe letztes Jahr ein Benutzerkonto bei Enpedia erstellt.」という文になり、habeとerstelltの動詞2つで「作成した」に対応するが、habeのみが主語の次の位置となっている。
脚注[編集]
- ↑ 「ゆう」「ゆく」では不規則ではない。すでに1992年にはパソコンによって確認されている。