名鉄6750系電車

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

名鉄6750系電車(めいてつ6750けいでんしゃ)とは、かつて名古屋鉄道に在籍した電車。特殊狭軌を除く大手私鉄の鉄道線では最後の吊り掛け駆動方式の車両であったが、2011年4月に全廃された。

概要[編集]

瀬戸線が栄町への乗り入れを開始すると、瀬戸線で運用されていたHL車が足を引っ張るようになり、さらに3770系に至っては非冷房のままであったことも問題視された。そこで本線系統のAL車から機器を流用・6600系並みの車体を新造してサービス改善を図ることにした。

このようにして1986年に誕生したのが6650系(後の6750系1次車)である。

その後も設計変更の上で増備が行われ、この増備車は正式に6750系と称された。後に先述の6650系も6750系に改称され、6750系は最終的に24両体制となった。また、同様の構想で本線系統にも旧3300系が登場している。

構造[編集]

1次車は名鉄6600系電車をベースに座席をロングシートに、冷房装置を2基搭載、スカートの省略などの設計変更を加えた車体を備える。冷房装置の熱交換器は省略された。2両固定編成2本の存在だが、終始一貫して2本を併結して4両編成で運用された。

機器類は3900系2904Fから流用しており、FS16形台車を履く。

対して2次車は6500系をベースとして4両固定編成とし、冷房装置についても3基搭載となった。1990年に5本20両が製造されている。台車はク6650形がFS13、それ以外は登場当初FS107を履いていたが、サ6683~6685の3両は3780系の廃車発生品であるFS35に取り換えられている。また、サ6680形とモ6780形には簡易運転台、モ6780形には車掌室を備えていたが、いずれも後に使用停止となった。

なお、いずれも主電動機はTDK-528A(出力112.5kW)、駆動方式は吊り掛け式、歯車比は3.71、制御方式は電動カム軸式のES-568A、制動方式は自動空気ブレーキに統一されていた。

2次車のみはカルダン駆動・電磁直通ブレーキ化に対応していたが、廃車までこの改造は施工されなかった。

運用と廃車[編集]

他車と区別なく共通運用されていたが、瀬戸線の車両自体がすべて抵抗制御の回生ブレーキ無しであったこと、喜多山検車区の老朽化に伴い検車区が尾張旭検車区に移転したが、尾張旭には環境保護のために塗装設備を備えないことから同線の6000系や6600系を含めてオールステンレスのVVVF車である名鉄4000系電車に代替されることになった。その中でも本系列は足回りのメンテナンスの煩雑さから他の2系列と比べて真っ先に代替対象となり、2009年より廃車が開始され、同年度内に6751F、6752F、6756Fを除く16両が廃車された。最後まで残った8両についても2011年2月以降にさよなら運転や記念乗車券販売を行い、同年3月から4月にかけて廃車となり、6750系は形式消滅した。これをもって特殊路線以外における大手私鉄の吊り掛け車が全廃となった。

廃車後は2次車の車体すら本線に転用されることなく全車が解体のために搬出されており、現存するものはない。2次車の車体はこの時点で名鉄5700系の車体載せ替えのために本線に送り込んでおけば5700系も2019年に全廃されずに済んだように感じる

関連項目[編集]