児童買春・児童ポルノ禁止法

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

児童買春・児童ポルノ禁止法(じどうばいしゅん・じどうぽるのきんしほう)とは、児童買春児童ポルノの製造・提供・所持などを禁止した法律である。正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」。平成11年(1999年)施行。平成26年(2014年)の改正で「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」から改題した。

児童買春は5年以下の懲役または300万円以下の罰金となる。児童ポルノ所持は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。平成26年(2014年)7月に「自己の性的好奇心を満たす目的」の単純所持も禁止する改正法が施行され、自主的な処分を促すために1年間の猶予が設けられ、平成27年(2015年)7月に罰則規定も施行された。

著名人では、平成28年(2017年11月21日人気漫画・『るろうに剣心』の作者である和月伸宏が同法違反(単純所持)の疑いで書類送検されている。

社会民主党日本共産党が強く反対していた。

なお、この法律では「アニメ・漫画などにおける児童ポルノ」も大きな論点の一つとなっていたが、その規制はしないことに現在ではなっている。

逐条解説[編集]

条文 解説
第一条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。 要約すると目的は二点。「(略)に係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰する」ことと「(略)により、児童の権利を擁護する」こと。第2条以下の条文で具体的に説明されている。「児童の権利の擁護に関する国際的動向」というのは、1994年5月22日より国内で発効した児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)と無関係ではあるまい。同条約19条の定める児童性的虐待の防止と保護義務について、それまでは児童福祉法くらいしか使える法律がなく、刑法の猥褻物に該当しなければ児童ポルノを制作してもトータルで利益の方が大きいということもあり得た。これではいけないということで1999年、この法律が公布された。
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。 児童とは満18歳の誕生日を迎えていない者である(終期)。始期については定義がないが、常識に従って出生の日と解するのが妥当であろう。性別については一言も触れていない。男子もこの法律の定める児童である。
第二条 2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
対償を供与しなければこの法律の定める児童買春にはならない(刑法の法定強姦に問われるかもしれないが)。性交類似行為と言う文言の意味は必ずしも自明ではないが「通常ならば性交してもかまわない相手でもない限りしないような行為」、いわゆるABCを念頭に置いていると思われる。児童をその支配下に置いている者とは、中学校の校長やジュニアアイドルの事務所社長のみならず、撮影会主催者のように一時的に児童を支配下に置く者も含まれる。
第二条 3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。 「児童ポルノ」とは、カメラその他の装置の機能により児童を直接記録したものである。絵画・漫画・CGは実在の児童の権利を侵害する訳ではないので(絵空事という日本語があるではないか)原則としてセーフ。ただし、実在の児童と認識できる程度に写実的に描くとアウト。古い児童のヌード写真を模して制作したCGのヌード画像を児童ポルノとした判例がある。音声だけならこの法律で罰せられることはない(エロ小説を児童に朗読させた録音物など)。刑法や児童福祉法で罰せられるかもしれないが。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
児童以外の者と児童、児童と児童が性交又は性交類似行為している画像は児童ポルノである。異性間・同性間を問わない。他人が児童の性器等に触っている画像は児童ポルノである。衣服の上からでも性器等に触っていることが明らかならばアウト。パンチラ・パンモロはそれだけではアウトとは言えない。衣服の一部を付けない状態でお尻またはお胸が露出していたらアウト。手ブラなどによりお胸が強調されているものもアウト。性器等の周辺部とは、一般的な皮膚と明らかに視覚的に区別可能な領域と解すのが妥当であろう。性器または肛門周辺の色素沈着が多い部分、乳輪はこれに含まれる。
第三条 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。 外形的には児童ポルノの構成要件を満たすように見える画像も、それなりの理由があればこの法律は適用されない。典型的には医学論文に掲載される児童の裸体の写真などが相当する。
第三条の二 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。 読んで字のごとく。罰則は第四条以下。

第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
第五条 児童買春の周旋をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 児童買春の周旋をすることを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
第六条 児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 前項の目的で、人に児童買春をするように勧誘することを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

読んで字のごとく
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。 いわゆる単純所持の禁止。性的好奇心を満たす目的でなければセーフであるが、そのことを証明するのは困難。所持するに至った経緯が自己の意思ではなければセーフ。たとえば、Windows95/98の時代は一度閲覧したネット上の画像はキャッシュの機能により事実上保存されていたが、パソコンに疎い者はそんなことは知らずに済ましていた。このような人に「キャッシュが残ってるぞ」などと言ってはいけない、という趣旨の条文であろう。デスクトップその他、いつでも自分の意志で閲覧できる場所に保存したらアウト。では、P2Pのような手段でネットの海に放流し、必要なときに回収できるようにしたらどうか。これは第二項以下により罰せられる公算が大きい。
 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。
一人に一回提供しただけでも提供である。有償・無償は問わない。第五項はいわゆる盗撮によって児童ポルノを制作することを禁じる条文である。

第八条 児童を児童買春における性交等の相手方とさせ又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

 前項の目的で、外国に居住する児童で略取され、誘拐され、又は売買されたものをその居住国外に移送した日本国民は、二年以上の有期懲役に処する。
 前二項の罪の未遂は、罰する。
読んで字のごとく。未遂でも罰せられる点に留意。
第九条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条、第六条、第七条第二項から第八項まで及び前条の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。 児童を使用する者はあらかじめ児童の年齢をよく確認しておけ、ということ。外見上18歳以上だからセーフだと思った、という言い訳を塞いでおくための条文である。それでも、写真入りの公的身分証明書と戸籍謄本を見せられて18歳以上だと判断してしまったのなら仕方ない。
第十条 第四条から第六条まで、第七条第一項から第七項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。 日本国外において第四条から第六条まで、第七条第一項から第七項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪を犯した日本国民にもこの法律は適用される。
第十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五条、第六条又は第七条第二項から第八項までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。 読んで字のごとく。

外部リンク[編集]

性とその倫理 性とその倫理 テンプレート用画像.png
思想 反出生主義 | フェミニズム | 性教育 | ジェンダー平等
健康 不妊症 | 勃起不全 | 生理不順 | 性感染症 | エイズ | 妊娠 | 出産 | 中絶 | 避妊 | コンドーム
マイノリティ LGBT | 性的少数者 | 同性愛 | ゲイ | レズビアン | バイセクシャル | パンセクシャル | アセクシャル | トランスジェンダー
法律 性犯罪 | 性差別 | レイプ | セクシャルハラスメント | 妊娠届 | 出生届 | 死産届 | 男女共同参画社会基本法 | パートナーシップ制度 | 児童ポルノ禁止法
その他 男女賃金格差問題 | | セックス | 下ネタ