伊藤晃
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伊藤 晃(いとう あきら、1941年 - )は、日本近代史研究者[1]。専攻は日本近代社会主義運動史、労働運動史、天皇制史[2]。
北海道生まれ。1964年東京教育大学文学部卒業(日本史専攻)[3][4]。同大学院を経て[4]、1971年より千葉工業大学に勤務[2]。講師[5]、助教授を経て[6]、教授[7]。2009年退任[2]。
評価[編集]
社会運動・労働運動史の研究で優れた業績を挙げた。石堂清倫は、伊藤の『天皇制と社会主義』(1988年)について、従来の絶対主義的天皇制論よりも、グラムシの受動的革命の概念を適用して明治維新と天皇制の定着の歴史を分析する方が生産的だと解明した出色の研究だと評している[8]。栗原幸夫は、伊藤の『天皇制と社会主義』(1988年)、『転向と天皇制』(1995年)、『日本労働組合評議会の研究』(2001年)について、「この三部作を読んで一番感じたことは、やっと日本の共産主義運動を中心にした社会運動の歴史が「科学」になる時代が来たということです。というのは、それまでの歴史は、常に日本共産党との緊張関係の中ででしかできなかったからです」と評している[9]。
人物[編集]
- 東京教育大学の社会主義運動史研究会で実績を挙げた。1977年に荒畑寒村、埴谷雄高、平野謙、菊地昌典、渡部徹、飛鳥井雅道、宮内勇、石堂清倫、栗原幸夫と運動史研究会の発起人となり、解散まで事務局主任として雑務を担った[10]。
- 1960年代に全自連系の大学生が組織した図書生活協同組合に参加した[11]。石堂清倫は『わが異端の昭和史』で伊藤、小塚尚男、林弘、丸山茂樹を「全自連時代の仲間」と書いている[12]。
- 1988年の東京グラムシ会発足時の運営委員[13]。
- 天皇制反対、共和主義の立場にたつ[14]。
- 動労千葉労働学校講師[15]、国鉄闘争全国運動呼びかけ人[1]。動労千葉や反天連など社会運動団体や市民団体が主催する集会でたびたび労働運動や天皇制に関する講演を行っている[16][17][18][19]。
著作[編集]
単著[編集]
- 『天皇制と社会主義』(勁草書房、1988年/インパクト出版会、2002年)
- 『転向と天皇制――日本共産主義運動の一九三〇年代』(勁草書房、1995年)
- 『日本労働組合評議会の研究――1920年代労働運動の光芒』(社会評論社、2001年)
- 『戦争と労働運動――戦前労働運動のあゆみ』(労働者学習センター、2005年)
- 『「国民の天皇」論の系譜――象徴天皇制への道』(社会評論社、2015年)
編著[編集]
- 『無産政党と労農運動』(社会評論社[思想の海へ「解放と変革」]、1990年)
- 『偲ぶ石堂清倫』(亀淵迪、木村英亮、小塚尚男、島田高志、竹内栄美子、田辺貞夫、林弘、丸山茂樹、林淑美共編、島田高志、2003年)
- 『社会運動の昭和史――語られざる深層』(加藤哲郎、井上學共編、白順社、2006年)
分担執筆等[編集]
- 馬島僴『激動を生きた男――遺稿馬島僴自伝』(日本家族計画協会、1971年)
- 建設者同盟史刊行委員会『早稲田大学建設者同盟の歴史――大正期のヴ・ナロード運動』(日本社会党中央本部機関紙局、1979年)
- 山川均『山川均全集 第12巻』(勁草書房、1998年)
- 山川均『山川均全集 第13巻』(勁草書房、1999年)
- 今谷明ほか編『20世紀の歴史家たち 2 日本編 下』(刀水書房、1999年)
- 富坂キリスト教センター編『大正デモクラシー・天皇制・キリスト教』(新教出版社[近現代天皇制を考える]、2001年)
- 横井陽一編『回想 横井亀夫の生涯――真実一路・労働者運動九十年の闘い』(同時代社、2002年)
- 脇田憲一『朝鮮戦争と吹田・枚方事件――戦後史の空白を埋める』(明石書店、2004年)
- 伊藤隆、季武嘉也編『近現代日本人物史料情報辞典(全4巻)』(吉川弘文館、2004-2011年)
- 小島亮編『福本和夫の思想――研究論文集成』(こぶし書房、2005年)
- 朴鐘碩、上野千鶴子ほか共著、崔勝久、加藤千香子編『日本における多文化共生とは何か――在日の経験から』(新曜社、2008年)
- 合澤清、加藤哲郎、日山紀彦編著『危機の時代を観る――現状・歴史・思想』(社会評論社、2010年)
- 福本和夫著、石見尚、小島亮、清水多吉、八木紀一郎編『福本和夫著作集 第2巻 マルクス主義の理論的研究2』(こぶし書房、2010年)
- 国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動編『国鉄分割・民営化と闘って30年――労働運動の変革をめざして』(出版最前線、発売:星雲社、2017年)
- 大野光明、小杉亮子、松井隆志編『社会運動史研究1――運動史とは何か』(新曜社、2019年)
脚注[編集]
- ↑ a b 国鉄闘争全国運動編『国鉄分割・民営化と闘って30年――労働運動の変革をめざして』出版最前線、星雲社(発売)、2017年
- ↑ a b c 『「国民の天皇」論の系譜』著者紹介 紀伊國屋書店
- ↑ 『天皇制と社会主義 (新版)』著者紹介 紀伊國屋書店
- ↑ a b 『日本における多文化共生とは何か』著者等紹介 紀伊國屋書店
- ↑ 『日本歴史』第272~277号、日本歴史社、1971年
- ↑ 運動史研究会編『運動史研究』第13巻、三一書房、1984年
- ↑ 『天皇制と社会主義』(1988年)著者紹介
- ↑ 石堂清倫『わが異端の昭和史 下』平凡社ライブラリー、2001年、223頁
- ↑ 伊藤晃シンポジウム
- ↑ 石堂清倫『わが異端の昭和史 下』平凡社ライブラリー、2001年、287-290頁
- ↑ 石堂清倫『わが異端の昭和史 下』平凡社ライブラリー、2001年、172頁
- ↑ 石堂清倫『わが異端の昭和史 下』平凡社ライブラリー、2001年、251頁
- ↑ 東京グラムシ会 東京グラムシ会/GRAMSCI-TOKYO
- ↑ 平山周吉「「平成」の世と皇室を読み解く鍵」『新潮45』2016年3月号
- ↑ 「中野さんは我々の中に生きている!」偲ぶ会盛大に ZNN.JP(2010年4月11日)
- ↑ 戦後労働運動をどう乗り越えるか 伊藤晃氏講演(全支部活動者研修会) 国鉄千葉動力車労働組合(2012年2月2日)
- ↑ 反天連集会 安倍政権と戦後象徴天皇制の変容をめぐり議論 新聞テオリア第17号(2014年2月10日)
- ↑ 終わりにしよう天皇制 元気一杯に反天WEEKが成功 かけはし2019年5月13日号
- ↑ 反弾圧・反警察 2019.6.16集会報告集 模索舎store(2019年9月3日)