ハリファックス大爆発
ハリファックス大爆発は、1917年11月30日早朝にカナダのハリファックス市で発生した海難である。
概要[編集]
二隻の貨物船が衝突し、一方に積載されていた高性能爆薬5000トンが爆発した。核兵器を除く人為的爆発としては史上最大の爆発であった。熱線、衝撃波、これに伴う津波によってハリファックス市は壊滅し、多数の死者、行方不明者が発生した。
事故の背景[編集]
当時、ヨーロッパでは第一次世界大戦で、連合国への軍事物資の輸送にはドイツ海軍の潜水艦の通商破壊から商船を守るために船団護衛を組み、このときも11月30日を集結日時に決めて12隻からなる船団を軍艦が護衛することになっていた。
事故の推移[編集]
衝突事故発生[編集]
長さ2.5km、幅750ｍの狭い海域で集合の遅れていたフランスの貨物船モンブラン号が集合を急ぐあまり前方のダグボートを無理に追い越そうとした。水先案内人は危険性を船長に通告したが、モンブラン号の船長は軍の輸送船はいかなるときも優先権があると思って通告を聞かずにダグボートを追い越したが、そこへベルギーの貨物船イモ号が正面から来るのを発見した。このときはじめてモンブラン号の船長は水先案内人の意見を聞き入れて右に舵を切ったがそれはあまりにも遅かった。イモ号はモンブラン号の左舷のブリッジと第二船倉との間に衝突した。モンブラン号には高性能爆薬であるTNTと、爆薬の原材料であるピクリン酸、ベンゾール液が積まれており、衝突の衝撃で炎上した。モンブラン号の乗組員は次に起こるであろう事態に恐怖して逃げ出したが、イギリスの巡洋艦ハイフライヤー号が消火しようと抜錨して近づいたその瞬間、衝突から17分後の9時10分、約5000トンの高性能爆薬が爆発した。ハイフラヤー号とイモ号は内部にいた者を除いて命を落としてしまった。
都市破壊[編集]
爆発の衝撃波は港にいた警察官や消防官、大勢の野次馬を殺傷し、多くの建物が倒壊した。さらにそこへ津波が襲い、都市は破壊された。広島形原爆の威力がTNT10キロトンであることから、その半分の威力ということになる。