トヨタ・マークII
マークII(マークツー)とは、トヨタ自動車が1984年から製造していた乗用車である。
1968年のトヨペット・コロナマークIIの系列に位置し、1978年のトヨタ・コロナマークIIを経て1984年にマークIIになった経緯がある。
そのため、1968年のトヨタ・マークIIを初代とした場合、1984年のマークIIは4代目ということになる。
なお、マークIIの名称は2004年に途切れ[注 1]、その後は後継となるトヨタ・マークXが2019年末まで製造されていた。
概要[編集]
トヨタ・コロナとトヨタ・クラウンの間を埋めるようなミドルサイズの高級セダンとしての位置づけであった。1980年代後半にはトヨタ・チェイサーとトヨタ・クレスタと共にマークII三兄弟として人気が高かった車である[注 2]。
70系[編集]
完全にコロナの名称が取れた初のマークIIである ボディスタイルはセダンとハードトップセダン、ワゴンタイプが用意されており、そのうちのワゴンはセダン系がモデルチェンジした後も継続して生産・販売され、1998年にマークIIクオリスとしてモデルチェンジした。
ハードトップセダンは販売の主軸としており、登場から1年が経過した1985年にはGT TWIN turboモデルが登場し、ツインターボで過給するDOHCエンジンを搭載していた。DOHCとツインターボの組合せは日本初となる。また、上位グレードには電動格納ドアミラーが標準装備されるようになる。
80系[編集]
1988年にフルモデルチェンジを果たし、80系となったマークIIである。CMには九代目松本幸四郎が出演し、キャッチコピーは「名車の予感」であった。 バブル期の車であったため、内外装は比較的豪華である。そのため、クラウンと車格が最も近づいたとされているマークIIでもある。 先代で採用されなかった2.5Lツインターボエンジン仕様が「2.5GTツインターボ」として新たに設定された。なお、この2.5GTツインターボは280PS/6200rpmを発揮する直列6気筒エンジンであり、ハイパワーFRとして後の世でも大ブレイクすることになる。このモデルのエンジンの開発にヤマハも携わっていたためか、ヤマハコンセプトとして専用装備をまとった限定モデルが300台限定で生産された。もはやサルーンというよりスポーツカーである。
ハードトップは1992年で90系へモデルチェンジするものの、セダン系は1995年まで生産され続ける。セダン系はタクシーや教習車など、法人の需要も多かったためである。なお、その需要はトヨタ・クラウンセダン、トヨタ・クラウンコンフォート、トヨタ・コンフォートへ受け継がれており、全てこの80系マークIIセダンをベースに開発されたものである[注 3]。いずれも2018年初頭に販売終了しているが、ベース車が登場した1988年から30年にわたって基本設計を同じくして製造され続けた稀有な車種でもある。
90系[編集]
1992年にフルモデルチェンジしたマークIIであり、全車3ナンバーサイズに拡大されつつ、さらに100kgの軽量化を果たした。先代の印象を残しつつスタイリッシュな印象を受けるデザインとなっており、居住性・走行性能共に向上している。開発中にバブル崩壊があったため、各所にコストダウンを施しつつ高級感のある車に仕上げられている。スポーツモデルのグレードである「ツアラー」が初めて設定され、各地の峠などで暴れ始める。グランデのグレードにフルタイム4WDが設定されていた(グランデG Four)。1995年までは90系ハードトップ、80系セダン、70系ワゴン/バンが併売されていた。
100系[編集]
1996年にフルモデルチェンジしたモデルであるが、先代に引き続きバブル崩壊の影響を受けており、フロアパネルの流用を始めとしたコストダウンを各所に受けている。もっとも、4年程度でフルモデルチェンジしている点は考慮する必要はある。全グレードで運転席と助手席エアバッグを標準化するなど、安全に対する装備は充実している。 1997年にはそれまで併売していた70系マークIIのワゴンをマークIIクオリスとし、100系マークIIの意匠を取り入れたステーションワゴンとして新発売した。しかし、中身はFFのトヨタ・カムリ(6代目)がベースとなっている。そのため、マークIIの名を冠するトヨタの自動車で唯一のFF車ともなっている。
110系[編集]
2000年にフルモデルチェンジしたマークII最期のモデルとなる。クラウンと共通のシャーシとなり、居住性等が高められていたものの、エクステリアのデザインが受け入れられなかったためか販売は先代ほど伸びなかった。グレード体系もスポーツ系のツアラーの廃止や全グレードにグランデの名を冠するなどが影響している可能性も否定はできない。 2004年にマークXが登場し、入れ替わる形で販売を終えた。なお、2002年に110系マークIIをベースにしたステーションワゴンがマークIIブリットとして2007年まで販売されていた。
車名について[編集]
もともとはコロナの派生車種という意味でのコロナマークIIであった。それが時代を経てコロナの名が取れ、最終的に独立したマークIIとなった。そのため、コロナマークIIを知らない世代がなぜマークIIなのか、という疑問を持つこともあるという。
競技車[編集]
2Lクラスの後輪駆動車として、ドリフト目的で使われることも多かった。特に80系のツインターボモデルや90系以降のツアラー系は人気が高く、中古市場でも高値維持の傾向にある。そのためか、ノーマル車で程度の良い車というのはほとんどお目に掛れず、エアロや車高調を装備した車か酷使された車がほとんどである。