ゴッドファーザー

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ゴッドファーザー』 (The Godfather) とは1972年アメリカ合衆国の映画。マフィア抗争を描いた衝撃的な作品である。

「ゴッドファーザーワルツ」「ゴッドファーザー愛のテーマ」などの名曲も残した。「ゴッドファーザー愛のテーマ」は特に有名である。

最高の映画と評価する者が少なくない。

概要[編集]

物語の時代背景は第二次大戦直後である。イタリアマフィアのドン、ビトー・コルレオーネは、禁酒法時代に酒の密輸販売により莫大な財産を手に入れた人物である。

ビトーには、妻と息子三人と娘一人と養子がいる。長男は凶暴で喧嘩っ早く、いかにもマフィアといった感じの男で、養子は弁護士の資格を持ち、次男は臆病な性格で父親の仕事を手伝えるような者ではなく、三男はマフィアを毛嫌いして堅気の道を進んでいたのだが、三男は父が撃たれたことや悪徳警官との対立を切っ掛けに堅気の道から離れ、長男が抗争で死んだこともあり、犯罪組織の後継者となっていく。

動画[編集]

ゴッドファーザーワルツ[編集]

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ゴッドファーザー愛のテーマ[編集]

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結婚式の比較[編集]

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ストーリー[編集]

冒頭[編集]

ニューヨークにあるビトー・コルレオーネの屋敷で娘の結婚式が行われる日、一人の葬儀屋がビトーの所に来て頼みごとをする。それはマフィアにしかできないことであった。葬儀屋は、自分の娘を酷い目に遭わせた男たちに仕返しをして欲しいと言う。ビトーは最初それを断ろうとするのだが、葬儀屋がビトーの手にキスをして敬意を表すると依頼を引き受け、仕返しを部下に命じる。ビトーは悪事を働いて金儲けするだけの男ではなく、彼を頼ってくる人々の悩みを闇の権力によって解決してやることをしていたのである。

コニーの結婚式[編集]

ビトーの娘のコニーは高級なウェディングドレスを着ていたが、その色は何故か純白ではなく犯罪者の娘であることを遠回しに表現しているようであった。

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盛大な結婚式で、ハリウッドの大スターや政財界の有力者も招かれていた。マフィアと関わりのある者たちを調査する絶好のチャンスとばかりにFBIまで来ていた。

三男のマイケルも結婚式に来ていたが軍服姿で、終戦直後(第二次大戦直後)を思わせる演出である。

この結婚式の日に、長男ソニー・コルレオーネの凶暴な性格を見ることもできる。

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抗争の始まり[編集]

その後、タッタリアファミリーと関わりのある殺し屋、兼、麻薬商人のソロッツオが、ヘロインの精製工場建設のための融資をビトーに頼むのだが、ビトーはそれを断り抗争が始まる。

ビトーは次男のフレドと果物を買いに行ったとき、ソロッツオの子分たちに撃たれ重傷を負う。臆病な次男は持っていた拳銃で反撃することができず、恐怖のあまり震えるばかりであった。

銃で撃ち合うばかりが銃撃戦ではない。実際の銃撃戦とはこういうものなのだということが見事に描写されたシーンである。

次男はマフィアの一員としては臆病者だが、一般人から見れば普通なのかも知れない。逆に長男や三男は度胸がありすぎるのだ。

病院での出来事[編集]

父が撃たれたことを新聞で知ったマイケルは、父が入院している病院に駆け付けるが護衛が一人も居ない。ビトーにとどめを刺そうとしている殺し屋ソロッツオを手助けするために、彼に買収されているマクラスキー警部が「留置所にぶち込むぞ」と脅して護衛の者たちを帰らせてしまったからである。

マイケルが機転を利かせて、護衛がいないことをソニーに連絡し、父親を別の病室に移し、見舞い客に護衛の振りをさせ、拳銃を隠し持っている振りをして二人で病院の前に立つ。そこにソロッツオたちが来るが、まだ護衛がいると思って帰ってしまう。そのとき恐怖に震える見舞い客と違ってマイケルは冷静であった。マイケルは並外れた度胸の持ち主であることを想像させるシーンである。

その直後にマクラスキー警部がやってきてマイケルたちを追い返そうとするのだが、殺し屋に買収されていることをマイケルに詰られ、逆ギレしてマイケルを殴る。

弁護士の資格を持つ養子が来てマクラスキーを追い返し、その場は収まるが、狂暴な長男のソニーは、この件でカッと来てタッタリアファミリーに殴り込み、ドンの息子を殺してしまい抗争は激化する。

父が殺し屋に撃たれたことを切っ掛けに、否、むしろ殺し屋に買収された悪徳警部に殴られたことが切っ掛けとなり、三男のマイケルはマフィアの血が目覚めてしまう。

イタリア料理店での出来事[編集]

話し合いのために会食に呼び出されたマイケルは「レストランで殺し屋ソロッツオとソロッツオに買収されて殺し屋稼業を手伝っているマクラスキー警部の二人を拳銃で撃ち殺そう」と決意する。マイケルが呼び出された理由はソニーでは気が短くて話し合いにならないし、フレドでは臆病過ぎて抗争相手と対話などできるわけがないからである。

相手は二人。一人はプロの殺し屋。もう一人はニューヨーク市警の警部。失敗すれば命はない。成功してもマイケルは殺人犯となってしまう。この映画の中で最も緊張するシーンである。

いきなり至近距離から頭を撃たれたソロッツオは銃弾が脳に達して即死。次にマイケルはマクラスキーに向けて発砲。銃弾は首の付け根に当り致命傷を与える。更にマイケルはマクラスキーの頭にも銃弾を撃ち込んでとどめを刺した。

追われる身となったマイケルは父の生まれ故郷イタリアシシリー島に逃げる。

シシリーに逃げたマイケル[編集]

シシリーは、寒冷な大都会ニューヨークとは正反対で、家畜の鳴き声が聞こえてくる温暖でのどかな島である。

ゴッドファーザー愛のテーマが流れ、舞台が突然ニューヨークからシシリーに切り替わるところは、この映画の中で最高のシーンである。否、あらゆる映画の中で最高のシーンと言っても過言ではない。

マイケルは、父の友人であるシシリーのドン・トマシーノの手厚い保護の元で田舎暮らしをする。何処に行くにも散弾銃を持った若い衆がマイケルに同行した。

シシリー島の山野を散策していたマイケルは美しい娘アポロニアと出会い、互いに一目惚れする。その後、立ち寄った店で、若い衆が店の親父に「来る途中で美しい娘がいた」と言い雑談を始める。美女を見た話が盛り上がりかけたが、その娘の服装などを話していると店の親父は態度が変わっていく。アポロニアは偶然にも、店の親父の娘であった。アポロニアの父親は最初、娘と余所者との恋愛に激怒してしまうのだが、ニューヨーク仕込みのマイケルの礼儀正しい態度を見て、また第二次大戦で若い男たちの多くが戦死、娘の結婚相手を見付けることが困難であることなども考え、すぐに結婚を許可する。

マイケルの結婚[編集]

次の日曜日、家に招かれたマイケルはプレゼントが入った包みをアポロニアに手渡す。アポロニアがそれを開けると中身はネックレスであった。一目惚れした相手と結婚することになり、高価なネックレスまで貰ったアポロニアの喜びはBGMによって見事に描写されている。

交際期間など殆どないままで二人は結婚する。このことから当時のイタリアとアメリカの文化の違いをお察しください

潜伏先での結婚式は、妹のときのような盛大なものではなく、質素で敬虔なものであった。第二次大戦で疲弊したイタリアの片田舎では、これが精一杯だったのであろう。この差は実に感慨深いものである。トマシーノの所の若い衆たちは結婚式にも散弾銃を持って来ていたが、マフィア発祥の島だけあって誰も気にしなかった。

マイケルが結婚した頃、長男のソニーは妹の嫁ぎ先に行く途中(おそらくタッタリアかバリツィーニが雇った殺し屋によって)サブマシンガンで蜂の巣にされて死ぬ。このとき冒頭に登場した葬儀屋は、葬儀屋にしかできないことをしてビトーに恩返しをすることになる。

家族やガールフレンドと別れて一人で遠い国に逃げて来て寂しかったマイケルはアポロニアを深く愛するが、マイケルの幸せは長続きしなかった。マイケルの新婚生活が始まってすぐ、運転を覚えたばかりのアポロニアが車のエンジンを掛けた途端、車は爆発する。マイケルの車には爆弾が仕掛けられていたのだった。離れた所にいたマイケルは爆発の衝撃で気を失う。車の中にいたアポロニアがどうなったかお察しください

後継者となるマイケル[編集]

マイケルがシシリーから戻る前に、ビトーはアメリカ中からマフィアのドンを呼び集めて会議を開き、抗争に終止符を打つ。長男のソニーは死んでおり、ビトーが高齢となると、コルレオーネファミリーのリーダーとなる者はマイケルの他いなかった。

父を撃たれ、兄も妻も殺されたマイケルは、用心深く冷酷な性格になっており、邪魔者は全て殺すというやり方に出る。

その他[編集]

コルレオーネファミリーは家族構成などが複雑である。ドンの息子や娘の他、養子や娘の旦那も登場する。身内ではない幹部も複数いる。対立するファミリーとの関係は更に複雑で、一回観ただけでは分かりにくい映画である。

コニーの結婚式で用心深い態度を見せた人物が、後に対立することになるバリツィーニだということは何回も観なければ絶対に分からない。観る者たちは、マフィアの世界を目の当たりにして恐怖に震えているわけで、細かい演出が一回で分かるわけないのだ。

シシリーから帰ったマイケルは別人のような性格になってしまい、それもこの映画を難解にしている。

映画館に何度も足を運ばせるために、わざと複雑に作ったのかと感じる程である。だが、始まりから中盤までは比較的分かりやすく、アメリカとイタリアの文化の違いなども興味深い。

この映画は難しすぎて、女子高生には理解できないかも知れない。とは言え全体を理解できなくてもシーン別に楽しめるように作られているのが、この映画の凄いところである。

事ある毎に家族や身内を集めて会議を開き、仲間の意見を尊重するのもイタリアの習慣である。

「マイケル」がシシリーではイタリア風に「ミケーレ」と呼ばれるなど、英語とイタリア語での人名の違いなども面白い。「カルロ」も「チャールズ」のイタリア式の呼び方である。

古い車が次々に登場し、車好きにもたまらない映画である。

批判[編集]

最初は「問題発生→会議による対策の決定→行動」という形で物語が進み分かりやすいのだが、後半、観る者たちの集中力が続かなくなった頃から、マイケルが独裁者になったことを表現するためなのか、あるいは映画の時間が長くなりすぎないようにするためなのか会議がやや省略される傾向があり、非常に分かりにくくなる。これは、この映画の欠点である。パートⅡでは、この部分を改善するためか、最初はビトーの少年時代の物語に始まり、集中力が続かなくなる前に、ドンになった後のマイケルの物語に切り替わり、ビトーの若い頃の物語、マイケルの物語と交互に物語が切り替わっていくように編集されている。

三男マイケルを演じたアル・パチーノは台詞のないシーンで、表情だけで感情を表現するのが上手い俳優ではない。その点、パート2で若き日のビトー・コルレオーネを演じたロバート・デニーロの演技は申し分なかった。

ゴッドファーザーは映画史上最高レベルの映画であり、ゴッドファーザーⅡも名作である。しかし、ゴッドファーザーⅢは失敗作であった。

1973年3月27日には米アカデミー賞主演男優賞に選ばれたマーロン・ブランドが授賞式を欠席し、受賞を拒否する事態になっている。米先住民姿の代理の女優が、ハリウッド映画での先住民の描き方に抗議するとしたブランドの声明を代弁している。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]