ミカエル
ミカエル Michael | |||||||||||||||||||||||
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ミカエル(מיכאל)とは、聖書に登場する天使である。ケルビムやセラフィムのように、天使の階位を表す名称ではなく、一天使の固有名詞である。
とはいえ、五柱いる「大天使(アークエンジェル)」のうちの一柱であり、堕天したルシファーを除くミカエル・ガブリエル・ラファエル・ウリエル以外の中では、名づけにおいては、もっとも多く用いられるようである。
他の呼び方[編集]
教派別[編集]
プロテスタント教会では単に「ミカエル」、「天使ミカエル」と呼ぶ。
カトリック教会では「聖ミカエル」、「大天使ミカエル」、「大天使聖ミカエル」などと呼ぶ。
国別[編集]
- 英語圏ではマイケル。
- フランス語圏ではミシェル。
- イタリアではミケーレ。
- スペイン語圏ではミゲル。
- ロシアではミハイル。
と呼ばれる。
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天使には性別はないが、普通は男性の名前として使われる。女性名として名づけられる場合は綴りを少し変えるようである。
その他[編集]
カトリック教会はミカエルの階位をセラフィムとする場合もあるが、通常では大天使とする。カトリックによる天使の階位の分類では、大天使はケルビムやセラフィムよりも低い別の階位である。この矛盾に関してカトリックでは、天使は階位が高いほど人間よりも神に近い存在となり、人間と関わことができなくなる。人間と関わることが可能なのは大天使以下の階位の天使であるという説明をするが矛盾しているのは事実である。また、カトリックでは天使の最高位の階位をケルビムではなくセラフィムとしている。
プロテスタントではミカエルを高位の天使と見なすことはカトリックと同じだが、ミカエルを最高位の天使としている。天使の階位の序列を細かく分類して書き表すような研究はプロテスタントではあまり行われていない。また、ミカエルの階位をセラフィムではなくケルビムとしている。プロテスタントでは天使の最高位の階位をセラフィムではなくケルビムとする。
ミカエルの概要[編集]
福音書には登場しない。いわゆる「聖書」中での登場箇所は少ないが、ダニエル書とユダの手紙とヨハネの黙示録で登場する。
「御使のかしら」とされ天使達の最高司令官に相当すると考えられており、その軍勢はサタンを天から地に投げ落としたとされている。
ミカエルとイエス・キリスト[編集]
「ミカエルとイエス・キリストは同一人物である」とする見方がある[1]。
しかし、「み子」(ヤハウェの子)と「み使い」(ヤハウェからの伝言である預言を預言者に伝える連絡係)は明確に区別されており、同一人物な訳は無い、とする意見もある[2]。
焦点となる聖句[編集]
テサロニケ第一4章16節の捉え方に問題があるようで、幾つかの訳を比べてみると以下のようになる。
すなわち、主ご自身が天使のかしらの声と神のラッパの鳴り響くうちに、合図の声で、天から下ってこられる。
その時、キリストにあって死んだ人々が、まず最初によみがえり、 — 口語訳[聖句 1]
すなわち、合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降って来られます。
すると、キリストに結ばれて死んだ人たちが、まず最初に復活し、 — 新共同訳
主は、号令と、御使いのかしらの声と、神のラッパの響きのうちに、ご自身天から下って来られます。
それからキリストにある死者が、まず初めによみがえり、 — 新改訳
For the Lord himself shall descend from heaven with a shout, with the voice of the archangel, and with the trump of God:
and the dead in Christ shall rise first: — 欽定訳[聖句 2]
主ご自身が号令とみ使いの頭の声また神のラッパと共に天から下られると、キリストと結ばれて死んでいる者たちが最初によみがえるからです。 — 新世界訳(1985年版)
主が天から下り、天使長の声で号令を掛け、神のラッパが鳴り響くと、キリストと結ばれて死んだ人たちがまず生き返るからです。 — 新世界訳(2019年版)
確かに新世界訳だと主とも呼ばれるイエス・キリストが天使長の声で号令を掛ける、と読み取れ、ミカエルとイエス・キリストは同一人物のようにも見える。しかし口語訳や新共同訳だと、合図を出すのが天使長で、その後、主とも呼ばれるイエス・キリストが天から下ってこられる、と読み取れ、同一人物とは読み取れないという事になる。新世界訳の重訳という訳出方法の問題が顕在化している箇所のように見える。
ダニエル書と黙示録の比較による別人説[編集]
ダニエル書10章5節から幻に出てくるみ使いと、黙示録1章13節から幻に登場するイエス・キリストが同一人物である、とする説がある。外見的特徴と、幻を見てダニエル、ヨハネが倒れる描写と、それをやさしく扱う仕方が同じという事で、同一とされている[3]。
目をあげて望み見ると、ひとりの人がいて、亜麻布の衣を着、ウパズの金の帯を腰にしめていた。そのからだは緑柱石のごとく、その顔は電光のごとく、その目は燃えるたいまつのごとく、その腕と足は、みがいた青銅のように輝き、その言葉の声は、群衆の声のようであった。 — ダニエル書 10章5節から6節(口語訳)[聖句 3]
それらの燭台の間に、足までたれた上着を着、胸に金の帯をしめている人の子のような者がいた。そのかしらと髪の毛とは、雪のように白い羊毛に似て真白であり、目は燃える炎のようであった。その足は、炉で精錬されて光り輝くしんちゅうのようであり、声は大水のとどろきのようであった。 — ヨハネの黙示録 1章13節から15節(口語訳)[聖句 4]
そうなると、ダニエル書10章13節ではイエス・キリストの元にミカエルが助けに来た、という事になるので、イエス・キリストとミカエルは別人である、と説明されている。
脚注[編集]
- ↑ “ミカエル#キリスト教系の新宗教”. ウィキペディア (2019年4月11日). 2019年4月28日確認。
- ↑ “ミカエルとキリストは同一人物か”. ヨベルの角笛. 2019年4月28日確認。
- ↑ “96 ダニエル書の預言の情報源に関する考察から見えてくる事柄”. ヨベルの角笛. 2019年4月30日確認。
聖句[編集]
- ↑ “テサロニケ人への第一の手紙(口語訳)4章16節”. ウィキソース (2012年7月8日). 2019年4月28日確認。
- ↑ “Bible_(King_James)/1_Thessalonians#4:16”. ウィキソース (2019年3月9日). 2019年4月28日確認。
- ↑ “ダニエル書(口語訳)10章5節”. ウィキソース (2018年7月13日). 2019年4月30日確認。
- ↑ “ヨハネの黙示録(口語訳)1章13節”. ウィキソース (2018年10月9日). 2019年4月30日確認。
関連項目[編集]
- マイケル・ジャクソン
- ミハエル・ゴルバチョフ
- ミハイル・カラシニコフ:カラシニコフ突撃銃の開発者。
- ミッチェル・ポルナレフ
- マイク・ネスミス;「ザ・モンキーズ」のメンバー
- マイケル・ランドン:アメリカの映画俳優。
- ミケーレ・コルレオーネ:ゴッドファーザーの主人公。
- モン・サン・ミシェル:フランスの観光地。
- 笑う大天使(ミカエル):川原泉のマンガ作品。映画化もされた。同氏の作品には、(お嬢様学校である)「聖ミカエル学園」がたびたび登場し、「大天使(アークエンジェル)の乙女たち」と呼ばれているという設定になっている。なお、同作品には「作業服を着た労務者風の3人の天使様」が登場する。