ケイドロ
ケイドロは、日本の子どもの遊び。鬼ごっこの一種。
呼び方は、ドロケイやどろけ、ドロジュン(泥棒と巡査)、ドロタン(泥棒と探偵)、悪漢探偵、タンテイ、助け鬼(捕まった人を助けるから)など様々である。いずれにせよ犯人と捕まえる側といった、ごっこ遊びであることには変わりない。
開始条件[編集]
- 充分な人数(後述する)が確保できている事。
- メンバーの数名が逃亡・追跡可能な体力・気力を備えている事。
- 充分な時間(後述する)があること。夕方などに始めてもすぐに終わってしまい、盛り上がりに欠ける。午前中早く、またはお昼からの開始が望ましい。
- 充分な場所(後述する)が確保出来る事。ただ範囲だけではなく、安全性なども良く吟味する必要がある。
- 屋外で行う場合、長時間にわたって走り回れる天候・気温である事。
基本ルール[編集]
これは、あくまで基本ルールであり、地域によってかなり異なる。
- 基本的に、鬼ごっと等と同じく警察が泥棒(逃げる者)を全員逮捕(捕まえる事)を目的とする。
- 警察は、泥棒をタッチする(触る)ことで「捕まえた」ことになる(牢屋まで連行しないと捕まったことにならないルールもある)。
- 捕まえた泥棒を集めておく場所を、牢屋などと呼ぶ。牢屋は、後述する性質上、周りが壁に囲まれているような場所なら警察側に有利に、逆にまわりが完全にひらけていたり、見通しが悪いと泥棒側に有利に働く。牢屋決めは双方のチームの最初の駆け引きと言っても過言ではない。なお、ここで呼称している"牢屋"とは実際に格子のあるものではない。
- 泥棒は、仲間に助けられる(仲間が既に捕まっている者にタッチする)と再度逃げる事ができる(もっとも、警察の隙を見て、タッチされていないのに逃げる者もいる)。泥棒が再度逃げる事ができるようになるためには2つのパターンがある。
- 牢屋外での再逃亡
- 警察が泥棒にタッチすると捕まった事になるのは前述したが、牢屋へ連行している間に泥棒の仲間が捕まった泥棒にタッチすることによって再度復活する事ができる。それを防ぐために警察は捕まえた泥棒の服や手を握ったまま連行するなど、考慮が必要となる。
- 牢屋内での再逃亡
- 捕まった泥棒はあらかじめ設定された牢屋まで連行され、そこでゲームの終了まで待機する事になる。
- だが、捕まった泥棒にもまだチャンスが与えられている。仲間の、まだ捕まっていない泥棒のタッチをもらう事によって再逃亡が可能になるのだ。これは助ける側、助けてもらう側共に高度なテクニックを必要とする。この時に、前述した牢屋の仕様(場所や広さ、形)が重要になってくる。
- 一定の逃走許可範囲を設定しておく。これを怠ると、泥棒側が圧倒的有利になってしまい警察側は全員を捕まえる事が大変難しくなってしまう。通常は、ある範囲を囲むようにして大きな道、フェンス、壁などで設定する。小・中学生なら半径1キロほどが限度であろうが(ステージとする場所の高低差、住宅の有無、建物の密集具合などで変動はある)、高校生や大人が行うの場合は町・街をステージとする事もしばしばある。
- 適当な人数は、その逃走許可範囲によって変動する。半径が1キロほどまでなら1チーム3~6人ほどで充分であるが、それ以上・街などがステージとなる場合は1チーム10~以上は必要だろう。まさに、テレビ番組「鉄腕DASH」のおにごっこのようになる。
- 時間設定も重要である。小規模なケイドロならば、1ゲームが20分~1時間ほどで自然に終了すると思われる。だが、泥棒側が相当なつわものを有していたりする場合がある。その場合、何時間たっても泥棒を捕まえられないという事態が発生する事になる。何時間逃げつづけても構わないのだが、徐々に双方の士気が下がる事は明白なので、ゲームをはじめる前に時間を設定しておくべきだろう。その設定時間以上泥棒が逃げ切ると泥棒側の勝利となる。
- 泥棒全員が捕まえられたら、泥棒の負けでゲームは終了となる。
ローカルルール[編集]
- 警察は任意の地点を牢屋と定めることが出来る(警察に牢屋設定の優越権があるという事)。
- 警察は、泥棒を捕まえるとき、身体または衣服の一部を掴んだ状態で1から10までを数えなければならない(もしくは、あるキーワードを言わなければならない。キーワードは地域によってまちまち)。数え終わる前に振り切ることが出来れば、泥棒は逃走を継続することが出来る。その場合は警察側は再度捕まえても数えなおしとなる。数を数え終わった場合は、泥棒は一切抵抗しない。
- 最初に捕まった者は拘留を表すために、まず刑務所付近の樹木やポール、電信柱などに片手を当てておく。2人目は、1人目の者の手を繋ぐ。3人目は2人目の手を繋ぐ。こうして捕まるたびに手を繋いで列を伸ばしていく。拘留前には解放することは出来ない。
- 泥棒が捕まっている子供を助けるためには、捕まっている子供が繋いでいる手と手を払う必要がある。そうすることで分離された列のより最近に捕まった一団が解放される。より最初に捕まった一団は継続して拘留される。
- 刑務所の前にボールやコーン等を置き、泥棒がそれを取る又は倒すと捕まっている子供は全員逃げられる(つまりボール、コーンは刑務所の「鍵」の役割りである)。
- 何かを宝に見立てて(帽子など)そこにも警察を置いて泥棒がそれをつかまらずにとることができたら泥棒の勝ち。
- 宝をとるときは一気に攻めていってその泥棒を捕まえるために警官が離れた隙に取る。
- 捕獲の条件として"警察が泥棒にタッチ"ではなく"背中を三回(回数は地域によって異なる)叩く(タッチ)"というローカルルールも存在する。これにより泥棒はピンチに達した時、地面や壁に背を着け触れさせない等抵抗する悪あがきが可能となる。
テクニック 警察[編集]
通常の捜査[編集]
- 警察は、全員が散らばって誰構わず見つけた人を捕まえようという戦術は使用しない方が良い。ベストな戦術としては、誰か1人・1エリアを決めて人海戦術のように確実に潰していく事。無論、運動能力・ケイドロ経験に自信がある者は、特別部隊として個人行動もありうるだろう。
- 警察は、特に会話や物音に注意する必要がある。足音を立てないように移動し、運動量は多ければ多い方が泥棒と遭遇する可能性が高くなる。泥棒以上に警戒心、洞察力が求められる。
- 賢い泥棒ならば下手に道をうろついたりせずどこか一箇所に身を潜めているので、単に道路や見通しのよい場所をチェックするだけでなく、人が隠れられそうな場所を逐一潰していくべきである。
- 泥棒を発見したら、出来るだけたくさんの仲間に知らせた方が良い。そして、仲間が集まった所で包囲して捕まえるべきである。1対1の追跡では、警察が泥棒よりも優れた走破能力・持久力を持っていないと捕まえることは難しい。
- もし警察が泥棒を、ある程度の距離から先に発見することに成功し、かつその泥棒が発見されたことに気づいていない場合(泥棒が不用意に開けた場所を移動している際に起こりやすい)、あえて仲間を呼ばず、気づかれないよう追跡・背後に接近し、確実にタッチできる位置とタイミングをはかって一瞬で確保する。
状況によっては上のような選択肢がある。仲間を呼ぶ方法では確実に泥棒にも気づかれ追跡劇へともつれこむが、もし自分がいる場所が仲間がすぐに駆けつけられる場所ではない(と思われる)場所で、かつ泥棒の走破力・持久力が自分より優れており1対1の勝負では勝てないと思える場合に有効な手段である。ただし相応の難しさはある。もちろん、途中で泥棒に気づかれ通常の追跡劇になった場合は仲間を呼ぶべきである。
牢屋の監視・警護[編集]
- 警察側は泥棒が牢屋に侵入しないよう、牢屋の周りを1人ないし2人で監視した方が良い。
- この監視役は、足の速さなどを求められないために若干運動神経の劣る人物が担当する事が多い。だが、相当に重要なポジションである。捜査・検挙役(実際に泥棒を捕まえるために探し回る者)が必死に捕まえた泥棒を、下手をすると一斉に逃がしてしまう可能性があるからだ。この一斉逃亡を許してしまうと警察の士気がとてつもなく下がるのは言うまでもない。慣れた者・チームなら、あえて運動神経に秀でたものを配置する事もある。ただし、牢屋の監視役は襲撃が無い間は暇なポジションでもある。
- 暇なうちに、予想される泥棒側の侵入経路の確認(時に泥棒側は警察側が想定もしない経路から侵入を試みる)や、襲撃を被った際の監視役それぞれの位置取りや作戦(囚人をガードする役・後ろに回りこみ逃走経路を塞ぐ役など)を決めておくと完璧である。
その他[編集]
- 現実の警察がそうであるように、警察側にカリスマ性と冷静な判断力を備えた強力な司令塔がいると、ゲームを有利に進められる。
捜査班と牢屋警護班のグループ分けや、捜査班の追跡の指揮などは、個々が勝手な判断のもと動くより優れたリーダーのもと団結してあたる方が遥かに効果的である。ただし、指揮をとろうと大人気もなく張り切りすぎると、司令塔どころか一人で先走りし、逆に立場が悪くなることもしばしば起こり得るので、注意が必要である。あくまでケイドロは外での遊びであり、その第一目的は皆で楽しく時間を過ごすことであることを忘れてはならない。
テクニック 泥棒[編集]
通常の逃亡[編集]
- あまり泥棒どうしで逃げる時に固まらない。どうしても人数が増えると無駄な会話や物音、協調性に乱れなどが生じるからだ。ベストはツーマンセル(2人組)、多くてもフォーマンセル(4人組)にとどめておくこと。
- ただし1人で行動するよりは、2人の方がよい。前と後ろなど「目」が増え、急な襲撃にも素早く対応できるからである。
- 逃げる際は組ごとに四方に散らばって逃げる事。せっかく組を分けても、同じ方向に逃げていたのでは芋づる式に捕まるという最悪のシナリオを辿る事になる。組ごとに隠れるエリアを決めておくと、このような事態は避けられるだろう。
- 出来るだけ早く隠れる場所を固定すること。初心者にありがちなのはちょっとしたヒーロー気取りでいつまでもうろついている事である。自分から警察と出会う機会を増やしているだけなので、どこか一ヶ所にじっとしておくべきである。ゲーム開始時に警察側から「自分達が100数えるまで」など逃走時間が与えられていることがほとんどなので、できればその時間内に隠れ場所を見つけること。
- 隠れ場所は、見つかりにくい場所であることは言うまでも無いが、加えて、こちら側からは近づいてくる者が見え・かつ向こうからはこちらが見えにくいという場所(ぎりぎり向こうが透けて見える植え込みの陰など)だとなおよい。
- しかし、いつまでも同じ場所に隠れ続けていて発見してもらえないとそれはそれでつまらないので、ある程度の時間ごとに隠れ場所を移動したり、(見えるのであれば)遠くから牢屋を偵察に行って、囚われた仲間がいないか確認するなども必要だろう。ツーマンセルで隠れていれば、やはりこの場合も会話によって退屈は紛らわせる。
- 泥棒が捕まった時、意図的に「捕まったぁ!!!」などと周りの仲間に知らせる。これは捕まっていない泥棒が、味方の状況を把握しようと安易に牢屋周辺に近づいたりして捕まるのを防ぐ上でも効果的であるし、周りの仲間に知らせておけば、それ以降の救出も期待できる。
- 泥棒側は牢屋につかまったフリをして潜伏し仲間が捕まったらタッチし2人で逃走する。このテクニックは同じチームの者でもその潜伏行動がわかりにくく、また混乱を引き起こす事が多々あるのであまりお薦めはできない。できれば使用しない方が賢明である。
牢屋の襲撃[編集]
牢屋を襲撃するという行動は、その時点で仲間が数名囚われ泥棒の人数が減っていることを意味し、また当然警察も警戒している牢屋へ飛び込むことは容易ではないが、逃げ続けのマンネリに陥りがちな泥棒にとって襲撃は終盤のハイライトでもある。
- 全体の人数にもよるが、1人2人仲間が捕まっているだけの時に襲撃を強行しないこと。成功した時に全員を助けられるのなら、解放できる人数が多い方がいいし、序盤で無理に牢屋に飛び込み自分も捕まってしまっては目も当てられない。あくまで終盤に行なうこと。
- 単独で突入するよりは、複数で襲撃すべきである。隠れている仲間を、警察の裏をかいて探し出し接触するのは尚更難しいが、あらかじめ仲間の隠れている場所を了解していたり、一番最初に全員で落ち合う時間と場所を決めておいたりすると、襲撃の際に集まりやすい。
- 警察ほどではないが、指揮を執るリーダーがいると効果的な襲撃ができる。
- 侵入経路の選択は成否に関わる重要な要素である。通常の道路は当然警察も常に見張っているので、できれば他の方向からの襲撃ができることが望ましい。ただし、この場合も決して他人の敷地に侵入したり迷惑になるような、無理な行動は絶対しないこと。
- 二手に別れ、片方は囮として牢屋の警護役を引きつけ、その隙に別行動で潜んだもう片方が囚われの仲間を解放する。
その他[編集]
- トイレには必ずゲーム前に行っておく。何故か隠れ場所を見つけた途端に小便が出そうになるという摩訶不思議な出来事がケイドロでは頻発する。原因としては隠れ場所を見つけたことで緊張が解けてしまうからなどが考えられる。
- 無謀なジャンプ(ありえない距離、高さなど)をしない事。痛みや転倒などで走れなくなって捕まってしまうばかりか、ケガをする事にもなりかねない。
- 同じく無謀な行動(他人の敷地内への侵入、警察を撹乱するための破壊行動など)をしない事。白熱してくるとしばしば起こりがちだが、これは法律に違反する事もあるので絶対禁止である。
- 靴は運動靴、慣れた靴が望ましい。服装は毛糸や皮製品などは脱いでおいたほうが賢明である。一心不乱に逃げている間にいつの間にか引っ掛けていたり、破れていたりする事があるからだ。同様の理由で高級品、装飾品を外しておくべきである。
近代化[編集]
昔は情報・意思伝達において個人の声、口笛、決めておいた音などが用いられる事が多かった。だが、現在のケイドロでは、プレイヤー(小・中・高校生が多い)の携帯電話所有率の向上と共に、いわゆる『電子戦』が行われる事がしばしばある。まさにケイドロの近代化と言えるだろう。
- 例を挙げると、警察や泥棒の現在位置をメールや電話で伝える、一斉攻撃のシグナルにする、などである。これにより、かなりサイレントかつ短時間で終了するケイドロが増えてきている。
- ハイレベルな者になると個々の携帯のGPS情報を駆使し、位置を正確に突き止める、など。
- ただ、これにはフェアなゲーム進行において、警察と泥棒双方が同数または近い数の携帯電話を所有している必要がある。同数または近い数にならない場合、多い数の方の携帯電話を減らす、相手チームに貸す、少ないチームが誰かに借りる、そのまま進行してしまうなどのいずれかになる事になる。ただ、この近代版ケイドロにおいては情報収集能力がゲームの勝敗を分けると言っても過言ではないので、ハンディキャップのあるチームは相当な苦戦を強いられる事になる。
- 注意として、携帯を操作している間に相手の接近を許してしまう、携帯をポケット・カバンに入れたまま移動していて転倒・落下させてしまうなどの事があげられる。
終了条件[編集]
最も一般的な終了条件は「飽き」と「疲れ」「時間」である。
- 何度も交代を繰り返し、いい加減飽きた、という場合。
- お母さんが遊戯者を迎えにきてしまった場合。(夕食の時間、というのが最も多いケースである。)
- 長時間にわたるゲームで心身ともに疲労し、ゲームの継続が不可能になった場合。
- これもまた、誰かの「もうやめようぜ」「疲れた」「飽きた」などの一言から一気に終結してしまう事が多い。
- なお、警察側が「もう終わろう」と呼びかけ、これに応じて姿を現した泥棒を一挙に捕まえてしまうことがある。こうした行為は深刻な対立や喧嘩を引き起こすだけであるから、厳に慎まれるべきである(これと似たことは鬼ごっこその他でも起こる)。このようなことを防ぐためにも、やはり上に述べたように時間設定をしておくなどといったルールを事前に作っておくことが望まれる。サイレンやチャイムを終了の合図として用いるのもよい(サイレン・チャイムの鳴る時間が少々長い場合、鳴り始めた瞬間を合図とするのか、鳴り終わった瞬間を合図とするのか決めておくとトラブルは更に少なくなる)。
その他[編集]
- YouTuberチーム「だいにぐるーぷ」は、2018年より不定期で『1週間逃亡生活』を制作。これと前後する形で他のYouTuberも同様の鬼ごっこ企画を投稿。更にはGPSアプリを用いた『GPS鬼ごっこ』を行うYouTuberも現れている。