「第2回エンペディア大賞」が2月いっぱい開催中です。2024年に作成された記事の中から、お気に入りの記事に投票しましょう!
キリン
キリン | |
---|---|
![]() | |
ロスチャイルドキリン | |
分類 | |
ドメイン | 真核生物 |
界 | 動物界 |
門 | 脊椎動物門 |
綱 | 哺乳綱 |
目 | 鯨偶蹄目 |
科 | キリン科 |
属 | キリン属 |
名称 | |
学名 | Giraffa spp. |
和名 | キリン (麒麟) |
英名 | Giraffe |
保全状況 |
キリンとは、鯨偶蹄目キリン科キリン属に属する動物の内、現存種の総称である。
形状[編集]
世界で最も背が高い動物である。体長は、3~5mで、肩高3.6m、頭頂高5~5.5m、尾長75~100cm、体重は550~900kgになる。
雌はオスより小さい。体毛は短い。淡黄褐色の地に暗褐色の斑紋がある。斑紋は、網目状や星のような形をしており、個体によって斑紋の色や形が異なる。
目は顔の左右にある。くびと前足の長さはほほ同じである。
ツノは、オスにもメスともあり、頭の上に1対の主角、おでこに前角が1本、主角の後ろに後頭角が1対ある。
頭まで血液を送るために、心臓は高いところにある。それでも2.5mの距離があるため高血圧で、血圧は260mmHgもある。水を飲むために頭を下げると400mmHgまで跳ね上がる。
後頭部には「ワンダーネット」という綱目状の毛細血管があり、それが急激な血圧の変化を防いでいる。
後ろ足よりも前足にかかる体重のほうが多い。皮膚が引き締まっているため、血液が溜まりにくい。
生態[編集]
昼行性である。約2~10頭の群れで生活する。アカシアなどの木の葉、小枝、果実を舌で巻き取って食べる。たんぱく質を得るためなのか、小鳥を食べることもあるという。
寿命は、野生では10~15年で、飼育下では20~30年である。
一日中、葉などを食べており、2時間から3時間しか眠らない。胃は4つあり、食べたものを胃から口に戻し、再び噛んで飲み込む「反芻」をする。
雄は木の一番高い所の葉を食べるが、雌は胴体や膝のあたりの低い木に生えている葉を食べる。また水は主に葉からとり、あまり水を飲まず、乾季になっても他の動物のように移動しない。
前足を折り曲げ、横に広げて前かがみになり、首を下ろして水を飲む。
右前足と右後足、左前足と左後足を同時出して歩く。時速50kmの速さで走ることが出来る。
メスを巡り、オス同士で首をぶつけあい角を当てて戦う「ネッキング」を行う。この時に首の骨が折れる時もある。
メスは5歳、オスは3歳で、性成熟する。 妊娠期間は453〜464日で、1腹1子である。
天敵からすぐに逃げるために、一生のほとんどを立って過ごす。
声帯は、あまり発達しておらず,ほとんど声を出さない。出産や幼時の時に声を出すことがあり、「モォー」と鳴く。
種類[編集]
1904年、Lydekkerがキリンを12種類 (2種11亜種)に分類する。
1976年、Anne Innis Daggはキリンを1種9亜種に整備した。国際自然保護連合は現在でもこの分類に従っている。
2016年に発表された論文によるとキリンは四種に分かれるとされた[1][2]。
2020年の研究によれば、キタキリンとアミメキリンは同種とされ、三種となった[3]。
2021年の全ゲノム配列決定をした研究や2024年の頭蓋骨の形状を調べた研究ではキリンは4種7亜種である事が示唆された[4]。
12種類説 | 9(亜)種説 | 8種説 | 4種説 | 3種説 |
---|---|---|---|---|
コルドファンキリン G. c. antiquorum |
コルドファンキリン G. c. antiquorum |
キタキリン G. camelopardalis |
キタキリン G. camelopardalis | |
G. c. cottoni | ||||
G. c. congoensis | ||||
ヌビアキリン G. c. camelopardalis |
ヌビアキリン G. c. camelopardalis |
ヌビアキリン G. camelopardalis | ||
G. c. typica | ||||
ウガンダキリン G. c. rothschildi | ||||
ナイジェリアキリン G. c. peralta | ||||
アミメキリン G. c. reticulata | ||||
アンゴラキリン G. c. angolensis |
ミナミキリン Giraffa giraffa | |||
ケープキリン G. c. giraffa |
ケープキリン G. c. giraffa | |||
G. c. wardi | ||||
マサイキリン G. c. tippelskirchi |
マサイキリン Giraffa tippelskirchi | |||
ローデシアキリン G. c. thornicrofti |
人間との関係[編集]
キリンという和名が用いられるようになったのは、上野動物園の開園にあたって目玉となる動物が欲しかったので、瑞獣としての「麒麟」にあやかって命名して予算を取ってきたという由来があるという。当時の人はキリンビールのラベルとかドドンゴみたいなものは想像しなかったのか、「とりあえずデカい」で満足したらしい。
保全[編集]
キリンは、肉や毛皮、骨、尻尾のために狩猟が行われている。
国際自然保護連合によれば、キリンの個体数は、1985年~2015年の間で40%も減少して、個体数が10万頭を下回った[5]。
特にアフリカ中部と東部地域で、減少率が高い。
2018年までの30年間に、アミメキリンは約60%、コルドファンキリンは85%、ヌビアキリンは97%も減少している。2021年12月に発表された論文によると2015年に比べて約20%、11万7000頭に増加したと判明した[6]。
ニジェールでは、1996年にキリンが49頭まで減少したが、20年間で600頭に増加した[5]。
1996年にニジェールで起きたクーデターで大統領になったイブライム・バレ・マイナサラが、ナイジェリアやブルキナファソの大統領に贈呈するために、野生動物を捕獲したが、捕獲されたキリンの全ての個体が、死んでしまい、ナイジェリアキリンの個体数が3分の1近くになった。 2011年に、ニジェール政府が、キリンの密猟を取り締まるようになり、ニジェールでキリンが増加するようになった[5]。
脚注[編集]
- ↑ Julian, Fennessy; Tobias, Bidon; Friederike, Reuss; Melita, Vamberger; Uwe, Fritz; Axel, Janke (2016). “Multi-locus Analyses Reveal Four Giraffe Species Instead of One”. Current Biology 26 (18): 2543-2549. .
- ↑ Christine Dell’Amore (2016年9月12日). “キリンは1種でなく4種との報告、遺伝子解析で”. atgeo.nikkeibp.co.jp 2023年9月19日閲覧。
- ↑ Alice, Petzold; Alexandre, Hassanin (2020). “A comparative approach for species delimitation based on multiple methods of multi-locus DNA sequence analysis: A case study of the genus Giraffa (Mammalia, Cetartiodactyla)”. PLoS One 15 (2): e0217956. .
- ↑ Kargopoulos, Nikolaos; Marugán-Lobón, Jesús; Chinsamy, Anusuya; Agwanda, Bernard R.; Brown, Michael Butler; Fennessy, Stephanie; Ferguson, Sara; Hoffman, Rigardt et al. (19 December 2024). “Heads up–Four Giraffa species have distinct cranial morphology”. PLOS ONE 19 (12): e0315043. .
- ↑ 以下の位置に戻る: a b c ジョシュア・フォア (2019年9月29日). “キリンが直面する「静かなる絶滅」”. natgeo.nikkeibp.co.jp 2023年9月19日閲覧。
- ↑ DOUGLAS MAIN (2022年1月18日). “野生のキリンが増えている、最新報告”. natgeo.nikkeibp.co.jp 2023年9月19日閲覧。