アリス・クラブ
『アリス・クラブ』(Alice Club, 中: 愛麗絲倶樂部)は、日本の少女ヌード専門誌。1990年代の第2次ロリータ・ブームを支え、発行部数8万部を達成[1]。同業誌の多くが短命に終わる中で約10年続いた[2]。
沿革[編集]
1988年に白夜書房の漫画雑誌『COMIC SISTERS』の増刊として創刊。
当初は内容が薄く、よい雑誌(意味深)とは言えなかった。しかもその後、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で業界は大打撃を受け、宮崎勤の蔵書に無かった本誌は生き残ったものの、新規の少女写真を調達できなくなった。そこでロリータ史という見地から過去の写真集の紹介を始め、ブームを巻き起こした[3]。
1990年に正式に単独の雑誌(隔月刊)となる。
1995年に発行元がコアマガジンに移管されたが、その後の児童ポルノ規制の強化、特に1999年の児童ポルノ法の成立・公布が決定打となり、同年9月に休刊(事実上の廃刊)となった[4]。
増刊号として『Milk Club』、姉妹誌に『小説アリス』(綜合図書)があった。
内容[編集]
本誌に限らず、当時のロリコン雑誌の主な内容は以下のようなものだった[2]。
- モデルのグラビア
- 読者からの投稿写真 - 一般の少女を写したもので、当時は「スナイパー写真」と呼ばれていた。
- ポルノ小説・漫画
- 写真集やビデオ作品のレビュー
- 子役タレントの情報 - 本誌では、子供アイドルのことを「コドル」と称していた。
読者層[編集]
第2次ロリータブームは、新規の写真集が出てきづらくなった代わりに、過去の作品が高値で取引されるようになった時代である[3]。元値1200円のムックに6 - 7万円のプレミアが付き、清岡純子の限定写真集にいたっては3 - 4万円のものに80万円以上の値がついたこともあった。過去は当たり前のように手に入った物を必死に追い求める時代であり、『アリス・クラブ』創刊から携わってきた斉田石也は「大勢のライトなマニアが去った後に、コアなマニアが生き残った」と述べている[5]。しかしその一方で斉田は、過去の写真集をコレクションとして収集する風潮に「志向のカタログ化」を読み取り、本当に少女にしか性的関心を覚えないようなマニアはより深く狭い世界に潜行しており、『アリス・クラブ』の読者にはあまりいないのではないかとも語っている[6]。
バックナンバー[編集]
※主なモデル, 特集名を併記する。
- 1992年
- 1993年
- 1994年
- 1995年
- 1月号 三浦佳代子・まりの(雑誌『絶体絶命』第3号より)・ソフィ
- 11月号 菊池麻美
- 1996年
- 1月号 廣本悟己・シャロン・お風呂に入ろうよ
- 1997年
- 5月号 西村理香・三浦佳代子・諏訪野しおり・五月なみ・アリスマガジン検証
- 1998 年
- 1月号 天本留美・諏訪野しおり
- 3月号 廣本悟己
- 1999年
- 1月号 西村理香・廣本悟己
- 5月号 西村理香・倉橋のぞみ・五月なみ
- 7月号 西村理香
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 『宝島30』1994年9月号、宝島社、1994年9月8日。
- 斉田石也 「ロリータ雑誌の現状分析」『エロ本のほん』 コアマガジン、1997年12月20日、146-151頁。ISBN 4-89829-571-1。
- 高月靖 『ロリコン日本の少女嗜好者たちとその世界』 バジリコ、2009年10月26日。ISBN 978-4-86238-151-4。