銃剣

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銃剣(じゅうけん、フランス語-バヨネット)とは、小銃の先端に取り付けるエッジ兵器のことである。着剣することで、小銃をとして使うことが可能となる。戦闘時以外にはナイフや鉈として使用できる。

概要[編集]

敵との距離が近くなり、銃を打つより白兵戦が有利になった場合用いるが、近年はそのようなことが起きる場合が少ない。それでも儀礼や捕虜の扱いのときに使われる。形状も剣からナイフに近くなった。

普及した経緯[編集]

先込め銃の時代には、装填に時間が掛かった。その間、敵を攻撃することも、敵の攻撃から身を守ることもできなくなるという問題があった。銃剣が普及したのは当然の結果である。

先込め銃の時代には、敵味方双方が塹壕に身を隠しているような場合を除き、一発撃ったら白兵戦というパターンの戦闘が普通であり、銃剣は不可欠だったのである。

沿革[編集]

フランスのバイヨンヌでの農民戦争で銃口に剣を差し込んだことがきっかけである。銃口に剣を差し込むと発砲できず、剣も落下してしまうので、銃口にくくりつけるソケット式になった。日本には江戸時代後期にオランダから伝わった。

衰退[編集]

第一次世界大戦短機関銃第二次世界大戦突撃銃が登場し、銃剣の存在意義がなくなった。銃剣突撃は自殺行為となった。使用する機会は調理の時だった。

小銃が30発も連射できるようになった現在では無用の長物である。パレードのときなどに使われるだけである。また、小銃の下には銃剣などではなくグレネードランチャーを取り付けた方がずっと有利である。今時、銃剣の訓練に力を入れているのは自衛隊ととイギリスとアメリカ軍くらいである。

動画[編集]

https://youtube.com/shorts/Lynq-dn8D1g?si=WiCO-4WOwc_OxHhm

各国の銃剣[編集]

すでに時代遅れと言われている銃剣であるが、その威圧感や精神的効果からいまだに装備する軍は世界各国に残っている。また、スコップ工具の代わりとしても使えるように多機能化が進んでいるほか、倒れた敵兵の死亡確認に使うこともあるなど、依然として用途は多い。

英国面[編集]

現代では時代遅れと言われている銃剣でも、紅茶をキメた国にとっては紳士の嗜みである。交戦距離が飛躍的に伸びた第二次世界大戦以降幾度に渡る銃剣突撃を敢行しており、2000年代のイラク戦争においても銃剣突撃で敵の迫撃砲陣地を撃退したとされている。また、2011年のアフガニスタンにおいてはパトロール中に反乱軍の待ち伏せ攻撃を受け、反撃のために銃剣突撃を敢行。銃弾が飛び交う80メートルの平地でありながら敵の陣形を崩すことに成功し、味方の別部隊との合流により反乱軍を撤退させたとされている[1]

もっとも、イギリスの制式自動小銃であるL85の信頼性が低く[注 1]、遠距離攻撃よりも銃剣の柄として適していたとか、こんな銃で戦場に出しやがってという怒りが爆発した可能性もあるとかないとか。なお、L85はブルパップ式で全長が短いため、普通の発想であれば銃剣突撃には不向きとされている[注 2]。さすが英国紳士である。

自衛隊[編集]

専守防衛という呪いにかかってしまった自衛隊実弾の使用に非常に制限がかかっている。このような環境下でも銃剣を持っていれば自動小銃を有効に扱えるのである。事実、海外派遣においても実弾の使用に著しい制限がある自衛隊においてはマガジンの装着すらしていないといわれている。戦場において弾の出ない銃ほど無用の長物はないものの、銃剣を装着することにより「武器」としての威嚇効果は十分なものという意見もある。

アメリカ[編集]

アメリカ陸軍においては1950年代を最後に銃剣突撃の記録は残っていないとされる。同じ英語でも紅茶の国とはえらい違いである。一方でやはりイラク戦争においてアメリカ海兵隊が銃剣突撃を敢行。6人で30人の敵兵を撃退しているという成果を上げている。訓練課程においては重要な立場にあり、特に海兵隊では敵と対峙した場合に本能的に攻撃するように鍛えるために銃剣を使用した訓練が続けられている。

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. 初期はフルオートでの動作不良率が1%を超えていたといわれている
  2. 一方、取り回しのしやすさが近接戦闘においては有利であるという考えもある

脚注[編集]