神戸ラーメン
神戸ラーメン(こうべラーメン)とは、兵庫県神戸市およびその近郊で食べられているラーメンに対する呼称。後述するように、いわゆる「ご当地ラーメン」ではない。
概要[編集]
神戸のラーメンにはこれといった統一した特徴は存在せず、さまざまな味やスタイルが混在している。したがって「神戸ラーメン」は「神戸のラーメン」と同義であり、それ以上でも以下でもない。「神戸ラーメン」という言葉は、神戸ラーメン第一旭(アサヒフーズ)が1984年にFC展開する際に名乗ったことで誕生した。神戸市民の間では「神戸コロッケ」などと同じ単なる店名あるいは商標として捉えられており、「神戸ラーメン」というものが存在するという認識もない。
古くから神戸に存在するラーメンの特徴としては、次のようなものが挙げられる。
歴史[編集]
本来の神戸のラーメン[編集]
1970年頃までの神戸のラーメンは、豚の正肉などから取った無色透明の広東風清湯スープに、柔らかく縮れのないストレートな細麺(多くは平打ち)を合わせるというシンプルなスタイルであった。具材としては、ゆでもやし・青ねぎ・焼豚(着色なし)が定番で、ワンタンメンの人気も高かった。神戸には戦前から華僑が多数在住しており、また伝統的な食文化の面からも醤油味を好む関東とは異なり、塩ないしは薄口醤油を少量用いるのみで素材の味を生かした薄味の関西風中華料理が発達している。現在も古くからの街の中華料理店で供されるラーメン(メニューでは 「中華そば」 「汁そば」と表記されることが多い)はほとんどがこのタイプであり、後述する濃厚で油っぽいラーメンの台頭後も中高年層や女性を中心に根強い人気を保っている。
第一旭の台頭[編集]
1971年に、京都第一旭ののれん分けとして神戸に進出。現在の神戸ラーメンの原点とも呼べる店である。現在の感覚からすればあっさり系に分類されることもあるが、当時としては脂っこく濃厚な醤油味と食べ応えのある硬めの麺、山盛りのネギにスープを取った後の豚肉をスライスして用いることによるボリュームたっぷりのチャーシュー麺などが革新的な味として労働者や学生の間で評判となった。
もっこす以降[編集]
もっこすは、第一旭の味をベースに、同店の出身者が豚ガラや背油などを用いてさらに濃厚で若者向けに仕上げた第二世代の人気店である。現在の神戸を代表する味として支持を集めているが、第一旭が持ち込んだ大量の薄切り煮豚と山盛りの青ネギという京都ラーメンのスタイルはしっかりと継承されている。
より濃厚な味を求める嗜好の変化に伴う第一旭の衰退と共に、もっこすに代表される類似店がいくつか誕生しているが、その多くは基本的に第一旭の味とスタイルを継承・進化させたものである。その意味では、今日言われる神戸ラーメンのルーツは京都の第一旭にある。
第一旭と、その流れを汲むもっこすや神戸っ子などのカウンターには、揚げにんにく・おろしにんにく・にら唐辛子・ラー油など通常のトッピングに加え、短冊状に切った黄色いたくあんが置かれている。これはラーメンライスを注文する人のためであるが、中にはたくあんをラーメンにトッピングとして投入する者もいるという。
地域別のラーメン屋[編集]
- 三ノ宮駅周辺では数多くのラーメン専門店および中華料理店が営業しているが、希望軒・丸高・博多一風堂・ラーメン四天王など、他地域の有名ラーメンチェーン店も進出しているため、激戦区となっている。丸萬・梅春園・丸玉食堂・淡水軒といった昔ながらの汁そばを提供する店や、サッポロラーメンの老舗・熊五郎なども健在である。
- JR神戸線神戸駅周辺
- 大倉山の中央図書館前には旧・第一旭の店舗を引き継いだもっこす総本店がある。
- 国道2号線
- その他の地域
- 貿易港として開けた神戸には昔から多くの華僑が定住しており、中華街として有名な南京町のみならず市内各地に有力な中華料理店が点在している。住宅街の中にある一見普通の中華料理屋も、その多くは戦前から神戸に住む中国人の経営である。こうした店で供されるラーメンは、いわゆる中華料理店で使われるガラスープ(汎用清湯スープ)をベースにしたものである。当地のラーメンは、醤油の色が薄いスープであり、鶏ガラあるいは豚肉のだしでストレート麺を使う店が主流である。