白丁
白丁（백천/ペッチョン/ペクチョン、はくちょう、はくてい）とは、中国・日本の律令制や、朝鮮における身分のひとつ。
| 白丁 | |
|---|---|
| 各種表記 | |
| ハングル： | 백천 |
| 漢字： | 白丁 |
| 発音： | ペクチョン ペッチョン |
| 日本語読み： | はくてい |
| MR式： 2000年式： 英語： | Paekchŏn Baekcheon Paekchon |
概要[編集]
朝鮮以外の白丁[編集]
日本や中国にも白丁は存在していたが、朝鮮半島ほど酷い差別は受ける階級では無かった。あくまで無位無官の者を指したりしたものである。
朝鮮半島の白丁[編集]
朝鮮半島の身分制度は特に厳しかったが、賤民階級はさらに多く分類され、その待遇も相当なものだった。多くいる賤民の中でも特に下級とされたのが白丁であった。白丁には戸籍がなく、そのため姓も存在しない。朝鮮半島では厳しい差別に晒されていくつもの禁止事項も定められていた[1]。その中でも主な禁止事項を次に挙げる。
- 姓を持つことを禁止する。
- 常民と結婚することを禁止する。
- 日当たりのいい場所に住むことを禁止する。
- 文字を知ることを禁止する。
- 他の身分の人に敬語以外で話すことを禁止する。
- 公共の場に出入りすることを禁止する。
- 葬式で棺桶を使用することを禁止する。
- 墓を建てることを禁止する。
- 一般民の前で胸を張って歩くことを禁止する。
なお、ここに挙げられている禁止事項はあくまで主なものであり、その他にもまだ禁止事項は細部にわたるまで存在する[2]。そして、この禁止事項を白丁が破った場合は、次のような処置がとられる。
このような処置がとられた場合、当然ながら死んでしまう白丁もいたという。ただし白丁を殺した人間が朝鮮半島で処罰を受けることは決してなかった、とされている。何故かというと、白丁は戸籍が無い、つまり人間では無いとみなされていたからであるとされる[2]。
1910年に日韓併合が行なわれると、新たに朝鮮半島の統治を担当することになった朝鮮総督府は朝鮮半島の身分制度を廃止した[3]。これにより、白丁も解放されて戸籍を与えられ、姓を持つことも許され、子供を学校へ通わせることも許可されるようになった。しかし長年続いてきた身分制度を解放したからとはいえ、やはり差別の温床は残るもので、日本統治時代も白丁は「元白丁」と呼ばれて差別を受けていたという。そのため、済州島など白丁が特に多くいた地域からは激しい差別と貧困から逃れるために日本に渡った者も少なくなかった。現在の在日韓国人や在日朝鮮人などの中には、先祖が白丁であった人たちも少なからず存在するという[4][5]。
現在でも朝鮮では他者を罵倒したりする場合に「白丁」あるいは「白丁野郎」という言葉を使うような例もあるという[4]。