葬儀

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葬儀』(そうぎ)とは、死者を弔うための儀式。葬式とも言う。

概要[編集]

葬儀は全世界的に行われている。やり方には故人や遺族が信仰する宗教観や死生観が強く反映される。宗教はおろか、文明が発達する前から葬儀のようなものが行われており、最古の葬儀は6万年前とされる。

主な宗教別の葬儀のやり方[編集]

キリスト教[編集]

カトリック[編集]

カトリックの場合、死者と残された遺族のために祈る場として葬儀を行う。カトリックにとって死は終わりではなく、永遠の命と復活の希望に入るものと考えられている。

プロテスタント[編集]

プロテスタントの場合、人の死は忌むべきものではなく、霊が地上の肉体を離れて天上にいる神とイエス・キリストの下へ召されることであり、キリスト再臨時にあるとされる復活の準備と考えられている。

正教会[編集]

正教会の場合、葬儀は埋葬式と呼ばれる。連祷と聖歌で構成され、永眠した神の赦しを得て天国に入り、永遠の復活の生命に与ることを祈願するもの。 正教において死とは、来世の復活の生命に与るまでの一時的な眠りと考えられているため、永眠という語をよく使う。 埋葬式の前夜にはパニヒダと呼ばれる儀式を行う。これは夜通し永眠者のために祈りを捧げるもので、永眠後の「三日祭」「九日祭」「四十日祭」「一年祭」「年祭」にもパニヒダを行う。

イスラム教[編集]

イスラム教徒において死とは神アッラーへの服従と一時的な別れと考えられている。葬儀はなるべく早くに行うのが良いと考えられているため、死の翌日には葬儀が執り行われる。 遺族が葬儀中に泣き叫ぶことは許されていないため、泣き女を雇い、彼女が遺族の代わりに泣き叫ぶ。

道教[編集]

中国や台湾では特定の宗教による葬儀ではなく、道教と風水の影響を受けた葬儀を行うことが多い。葬儀には白を基調とした色が用いられる。 親族・知人の死が知らされた人は花輪を用意したり、対聯を送ったりする。実施場所は自宅前に設営したテントの他、葬儀場を借りる。 死者には食べ物・ロウソク・線香を供える他、紙幣をもした冥銭である「紙銭」、紙で作った日用品や家が用意される。

通夜にあたる縁者の訪問を受ける日は「守霊」と呼ばれ、この時遺族は近親者は薄い色の生成りの麻布で作られた「孝服」と呼ばれる喪服を着る。

葬儀当日は家族の前で遺体を布団を敷いた棺に入れる。裕福な家庭だと棺を二重にし、内側の棺に遺体を入れ、内側の棺と外側の棺の隙間に副葬品を入れる。

出棺時、喪主が陶器の盆を割る。遺体は土葬される事が多い。埋葬の場所や時間は風水師に決めてもらう。埋葬後7日毎に墓に出向き、紙銭を焼いて読経する「焼七」を四十九日まで行う。

儒教[編集]

儒教の葬儀は道教と似ている部分が多いが、特に親の葬儀を盛大に行うことが重視される。 死後、人は魂(こん)と魄(はく)という2つの魂に分かれる。魂は精神を、魄は肉体を司ると考えられている。魂は天に昇って神となり、魄は地に帰る。魄の居場所として遺体は土葬される。

葬儀では死者の魂を7つの世界を巡らせる儀式を行う。7つの世界とはこの世、天国、地獄などのことで、最後に魂はこの世に帰ってくる。再びこの世に生まれ変わってきて欲しいとの願いが込められている。

バリのヒンドゥー教[編集]

バリ島在住のヒンドゥー教は水辺で火葬し、遺骨を水へ流す。海が近い地域では海に、川が近ければ川へ流す。火葬を行う水辺までは葬列を組んで棺を運ぶ。葬列ではガムラン音楽が奏でられ、参列者の表情は明るい。 これは葬儀とは天国へ行くための儀式であり、晴れやかなものと考えられているからである。

日本の葬儀[編集]

日本における葬儀は仏教や神社神道の習慣に加え、六曜や民間信仰などが複雑に入り混じっている。

  • 友引に葬儀を行わないのは六曜と陰陽道が混ざった民間信仰が由来。六曜での本来の意味は友人と勝負事をしても勝負がつかないという意味。
  • 葬儀終了後に清めの塩を撒くのは神道が由来。
  • 棺に入った遺体の上に刀を置くのは武士の民間信仰が由来。

近年は人間関係の希薄化などを理由に都市部を中心に葬儀を行わずに直接火葬する「直葬」が増えている他、宗教の色を薄くした「お別れの会」を行うこともある。 更に生前葬と言って死亡する前に葬儀を行うこともある。

葬儀の流れ[編集]

葬儀を行う必要が生じた場合(親族が誰かしら死亡した)、まず行うのが親戚一同への連絡である。この段階で並行して葬儀社や檀家となっている寺への連絡を行う。

基本的に宗派を問わず、葬儀の前日夕方から通夜を執り行う。通夜では神官や坊主がお経や祭祀を唱え、参列者は焼香を上げる。終了後には親族・参列者一同が会して食事する。食事終了後、親戚は一旦家へ帰るなり、宿泊先へ戻り、親族は葬儀会場となる場所に一泊する。

翌日の午前中から昼過ぎにかけて葬儀・告別式を執り行う。段取りとしては通夜と似ている。全ての段取りが終了すると遺体を霊柩車へ載せ、火葬場土葬墓地へと向かう。火葬場到着後、最後の読経・祭祀が行われ遺体を火葬する。火葬後、遺骨を収骨し墓地へ埋葬する。土葬の場合、墓地へ遺体を運び、棺に入れた状態で埋葬する。

関連項目[編集]

種類 国葬 - 直葬 - 生前葬
方法 土葬 - 火葬 - 鳥葬 - 水葬
関連 霊柩車 - 広域火葬計画