東京都交通局10-300R形電車

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京王線府中駅にて

東京都交通局10-300R形電車(とうきょうとこうつうきょく10-300Rがたでんしゃ)は、2004年から2017年まで在籍していた都営新宿線の電車。

概要[編集]

都営新宿線では10-000形初期車が製造から25年弱、試作車については30年が経過し、早急に置き換えが求められていた。しかし、車齢の若い中間車も同時に置き換えるのは勿体無いと判断され、先頭車6編成分12両を製造して中間車6両ずつを挟む計画が決行された。

このようにして登場した先頭車12両が10-300R形である。10-300形をベースとしているが、国土交通省への届出上は別形式となった。なお、読み方は「いちまんさんびゃくあーるがた」であり、ハイフンは読まない。

仕様[編集]

10-300形と同様に軸梁式のボルスタレス台車を履き、車体構造も10-300形に準じているが、黄緑帯が10-300形より細く、黄緑帯下の紺の帯が省略されていることなどが異なる。

最大の違いはメカニズムが10-000形ベースであり、ドアエンジンがモーター式ではなく空気圧式であること、ドアチャイムも都営式であることなどが異なる。TIMSも備えず、運転室の表示灯も多くなっている。

中間車についてはVVVF化されなかったため、制御装置も電機子チョッパ制御となった。

一応低圧電源は10-300形と共通の三相交流440Vとしたため、10-000形の低圧電源の三相交流200Vと共有できるように変圧器を設置している。

沿革[編集]

2004年12月に最初の先頭車である10-310および10-319が落成、翌年までに10-360Fまでが落成して計12両が出そろった。

当初は先頭車だけを取り換えた暫定編成を組んでいたが、2005年以降車両に余裕が出てくるとオール中・後期車の正規編成に組み替えられ、2006年12月までに完了した。

しかし、中間車が車齢25年以上を迎えたため置き換え用の10-300形4次車が登場すると、先頭車も含めて淘汰の対象となり、2015年5月の10-340F廃車を皮切りに廃車が進行。2017年2月3日には最後の編成である10-330Fに引退記念ステッカーが貼られ、2月17日をもって運用を終了し、若葉台へと廃車回送されて10-300R形は形式消滅となった。引退の時点では先に登場した10-000形が5本残っていたが、皮肉にもこれらを差し置いて全車が廃車を迎えている。

本系列は廃車までC修繕工事は一切行われなかったが、これは都営地下鉄で初めてかつ、2021年時点で唯一の事例である。

関連項目[編集]

営業用車両(現役)
浅草線 5500形
三田線 6300形 - 6500形
新宿線 10-300形
大江戸線 12-000形 - 12-600形
非営業用車両
E5000形
営業用車両(引退済)
浅草線 5000形 - 5200形 - 5300形
三田線 6000形
新宿線 10-000形 - 10-300R形