木村晴美

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木村 晴美(きむら はるみ)は、手話教師、手話言語学者。国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科教官。NHK手話ニュース845キャスター。

略歴[編集]

山口県下関市豊北町(旧豊浦郡豊北町)出身[1]ろう者の両親から生まれ育ったろう者[2]。山口県立聾学校下関分校(現・山口県立山口南総合支援学校下関分校)、山口県立豊北高等学校を経て、1989年日本社会事業大学社会福祉学部社会事業学科卒業。世田谷区職員を経て[1]、1991年から国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科教官を務める[2][3]

1991年4月から1994年3月までNHKみんなの手話講師。言語的少数者としてのろう者社会を支援する組織「DPRO」のスタッフ[4]。1995年からNHK手話ニュース845キャスター[2]。2007年一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了、2014年同博士課程単位取得退学。2007年学校法人明晴学園理事。2013年国立民族学博物館共同研究員[1]

ろう文化宣言[編集]

もともと木村は日本語対応手話(シムコム)を正しい手話だと思っていたが、1991年に東京で開催された第11回世界ろう者会議で日本手話を目にして衝撃を受けたという[5]。1991年に市田泰弘とミニコミ紙『D』を創刊し、アメリカのろう者の運動や日本手話、ろう文化を紹介した。1993年、同紙をもとにグループ「DPRO」を結成。日本語と日本手話、聴者の文化とろう者の文化を尊重する「バイリンガリズム/バイカルチュラリズム」を結成の理念とした。1995年3月、木村と市田は『現代思想』3月号に「ろう文化宣言――言語的少数者としてのろう者」を発表。「ろう者とは、日本手話という、日本語とは異なる言語を話す、言語的少数者である」とする宣言は、ろう者だけでなくアカデミズムなどでも大きな反響を呼んだ[6]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『日本手話とろう文化──ろう者はストレンジャー』(生活書院、2007年)
  • 『ろう者の世界──続・日本手話とろう文化』(生活書院、2009年)
  • 『日本手話と日本語対応手話(手指日本語)――間にある「深い谷」』(生活書院、2011年)
  • 『ろう者が見る夢――続々・日本手話とろう文化』(生活書院、2012年)

共著[編集]

  • 『はじめての手話』(市田泰弘共著、日本文芸社、1995年)
    • 改訂新版『はじめての手話――初歩からやさしく学べる手話の本』(市田泰弘共著、生活書院、2014年)

監修[編集]

  • 『やさしい手話入門――基礎知識から会話まで楽しい手話レッスン』(市田泰弘共監修、日本文芸社[にちぶんMOOK]、1997年)

分担執筆[編集]

  • 河合隼雄、谷川俊太郎共同編集『現代日本文化論5 ライフスタイル』(岩波書店、1998年)
  • 倉本智明、長瀬修編『障害学を語る』(エンパワメント研究所、発売:筒井書房、2000年)
  • 現代思想編集部編『ろう文化』(青土社、2000年)
  • ハーラン・レイン編、石村多門訳『聾の経験――18世紀における手話の「発見」』(東京電機大学出版局、2000年)
  • 金澤貴之編著『聾教育の脱構築』(明石書店、2001年)
  • 佐々木倫子、古石篤子編『混乱・模索するろう教育の現場――教育政策・言語政策のはざまで』(慶應義塾大学湘南藤沢学会、2008年)
  • 日本社会学会編集委員会編『社会学事典』(丸善、2011年)
  • 佐々木倫子編『ろう者から見た「多文化共生」――もうひとつの言語的マイノリティ』(ココ出版、2012年)
  • 森壮也、佐々木倫子編『手話を言語と言うのなら』(ひつじ書房、2016年)

CD-ROM[編集]

  • 『手話マスター(入門編)』(市田泰弘共同監修、ライテック、1995年)

脚注[編集]

  1. a b c 木村晴美(KIMURA Harumi) 木村晴美のホームページ
  2. a b c はじめての手話 紀伊國屋書店
  3. 2008年に「国立身体障害者リハビリテーションセンター学院」が「国立障害者リハビリテーションセンター学院」に改称した。1999年に「手話通訳専門職員養成課程」が「手話通訳学科」に改称した。
  4. 『はじめての手話』(1995年)著者紹介
  5. 斉藤道雄『手話を生きる――少数言語が多数派日本語と出会うところで』みすず書房、2016年、123-127頁
  6. クァク・ジョンナン「日本手話によるろう教育の展開 : 言語権からみたバイリンガルろう教育の内と外」立命館大学博士学位論文、2016年9月

関連項目[編集]

外部リンク[編集]