日本犬
日本犬 (にほんけん、にほんいぬ)は、古くから日本に住んでいる犬の総称である。
国の天然記念物に指定されている日本犬種[編集]
日本犬と言えば、社団法人日本犬保存会が1934年(昭和9年)に定めたスタンダードである「日本犬標準」に名前の挙げられている秋田犬・甲斐犬・紀州犬・柴犬・四国犬・北海道犬の6つの在来犬種を特に指すことが多い。
6犬種は大型・中型・小型の3型に分類され、すべての犬種が国の天然記念物に指定されている。
現存の6犬種とともに、「越の犬」が、1934年12月28日に国の天然記念物に指定されているが、その後数が減り、1971年に純血種が絶えている。
犬種 | 型 | 国の天然記念物への指定 |
秋田犬 | 大型 | 1931年(昭和6年)7月31日 |
甲斐犬 | 中型 | 1934年(昭和9年)1月22日 |
紀州犬 | 中型 | 1934年(昭和9年)5月1日 |
柴犬 | 小型 | 1936年(昭和11年)12月16日 |
四国犬 | 中型 | 1937年(昭和12年)6月15日 |
北海道犬 | 中型 | 1937年(昭和12年)12月21日 |
その他の日本犬種[編集]
特定の地域のみに以前から生息する犬を「地犬」と言うが、越の犬のほかにも、津軽犬、高安犬、越後柴犬、阿波犬、三河犬、肥後狼犬といった地犬が絶滅している。
一方、川上犬は、信州柴の1種だが、別個に長野県の天然記念物に指定されており、地元で独自に保存活動が続けられている。 また、縄文以来の古い犬の形質を残すとされる琉球犬も、沖縄県の天然記念物に指定されている。
さらに、岐阜県の美濃柴犬、島根県の山陰柴犬のように、現在、固定化の努力が続けられている地犬も存在する。
特徴[編集]
日本犬は、狩猟犬として山野を駆け回り、人間と協力して山の獣を狩ってきた犬たちであり、高い身体能力を誇る。
素朴・忠実・勇敢などが、日本犬らしい性質とされる。
体、肢、吻は、がっしりとしている。
ピンとした三角の立ち耳、吻のとがったくさび形の頭部、クルリと巻いた巻き尾(またはツンと立った差し尾)などを特徴とする。
日本犬の体型は、数千年前の犬の姿とほとんど変わっておらず、犬そのものの原型を色濃く残していると言われる。
保存小史[編集]
雑化の進んだ昭和初期は、日本犬絶滅の危機であったが、全国で日本犬復興の運動が盛んとなり、天然記念物指定へとつながった。
また、犬の撲殺・毛皮や肉の供出が求められた太平洋戦争末期は、日本犬にとっても受難の時期であったが、有志の情熱と努力によって保存された。
飼育数[編集]
日本で1年間に血統登録される50万頭超の純粋犬のうち、日本犬の占める割合は10%強で、5万5千頭ほどである。 6犬種の中では、柴犬の飼育頭数が圧倒的に多く、日本犬中の約80パーセントを占めると言われる。 紀州犬と四国犬がこれに次ぐ。
日本犬以外の日本原産犬種[編集]
広義の「日本犬」には、狆、土佐闘犬、日本テリア、日本スピッツの4犬種が含まれる。 これらの犬種は、いずれも日本で作られた、日本原産の犬種であるが、外来の犬種を元にしたり、交配したりして作られている。
これら広義の日本犬と区別して、純粋な日本犬を、特に「和犬」と呼ぶこともある。