山陰柴犬

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山陰柴犬(さんいんしばいぬ)は、山陰地方原産の日本犬の一種。

歴史など[編集]

古くから山陰地方に根付き、この地に特化して育まれてきた地柴の一種である。山陰柴犬は韓国の珍島犬済州犬と近い関係にあることがわかっている。つまりこのことから、山陰柴犬は朝鮮半島から渡ってきた犬を一祖先とすることが推定できるため、他の柴犬各種とは異なるのである。また、同じ日本の犬種では四国犬に近いことが最近の研究で判明してきた。確証はまったくないが、もしかしたら弥生時代・古墳時代に、朝鮮半島から入ってきた人が連れてきた弥生犬が、本土(本州・四国・九州)で日本の縄文犬と交わって混血種が産まれたのかもしれない。三河犬・山陰柴犬・対馬在来犬は、韓国の珍島犬、済州犬とともに、ひとつのグループとして括られると、朧気に推測しようと思えば不可では無いと言えるかもしれない。

もともと山陰柴犬には2つの系統があり、それぞれが犬種として認知されていた。それらは飼育されている地域からとってそれぞれ因幡石州と呼ばれていた。しかし、太平洋戦争などによる戦渦(食糧(飼料)不足、飼い犬献上令)や伝染病の流行などによっていずれも壊滅的なダメージを受け、絶滅寸前になってしまった。しかし、千年近く受け継がれてきた血統を絶やすことがないように保存会が犬種保存・再興の計画を立て、生き残った因幡犬を基礎に石州犬を交配し繁殖が継続された。統括が行われたために両系統の特徴はほとんど失われてしまったが、山陰柴犬は今日まで生き残ることができた。双方を残さなかったのは、個体数の激減によりそれぞれの種を維持する頭数を割り込んでいたためである。

しかし、現在もその頭数は非常に少なく、絶滅の危険性は未だに高い。生存頭数は250頭ほどしか存在しないと言われている。

今日山陰柴犬の保存・育成を行っている保存会は山陰柴犬育成会という会で、血統・スタンダード(犬種基準)の管理や品評、仔犬の譲渡など、犬種の保存に欠かせない作業を行っている。なお、仔犬の譲渡の条件は川上犬と同じく厳しいものである。

特徴[編集]

山陰柴犬の体高は、オス40センチメートル、メス37センチメートルで、顔つきは古武士のようなどと称されるが、いわゆる狐顔である。耳は小さめで位置も通常の柴犬とは違い、頭の上部について前方を向いている。一般の柴犬に比べて脚は長めで、少し痩せ型である。尾は差尾、鎌尾または巻尾。コートはスムースコートで、毛色については固定の段階で赤以外の毛色を排除したため、赤のみである。しかし赤のバリエーションは大きく、ほとんど白と言って良い個体(淡赤)から黒の混じった赤まで存在する。

小型犬サイズで、性格は主人に忠実かつ従順で落ち着きがあり、忍耐強い。運動量は多めで、病的抵抗力は通常の柴犬よりも高いといわれている。かかりやすい病気は特にない。晩成型で、高齢になっても外見上の変化が少ない。なお、一度に生まれる一腹子の数が2-3頭と少なく、発情間隔も通常より長い。この点もなかなか頭数が増加しない原因のひとつになっているが、比較的安産である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]