日本猫

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

日本猫(にほんねこ)は、日本人に長く親しまれている日本特有のネコである。

特徴[編集]

顔は鼻筋が通り、耳の毛は短い。全身の毛はそれほど長くない。尾は細長いものと極端に短いものがあるが、細長くても先だけが折れ曲がっているものもある。一説に、尾は東へ行くほど細長く、関西では短く、西へ行くと折れ曲がっているらしい。

毛並みの美しさは定評があるが、またその色分けも外国人から珍しがられている。白・黒の一色、茶の濃淡の帯状(トラネコと呼ばれる)、黒の濃淡の帯状、白地に黒ぶちや茶ぶち、そして『三毛猫』と呼ばれる白・黒・茶の三色が色分けされているものなどがある。

毛の色は遺伝的要素や母体内での影響などが考えられているが、隔世遺伝なども起こるためか、必ずしも両親と同じ色が生まれるわけではない。毛の色は性格とも関係があると考えられており、白の面積が多いほど気性が荒く、色のついた面積が多いほど、また茶より黒が温厚らしい。

面白いことに、白い面積の多いネコはメスが多く、色の着いたネコはオスが多い。また三毛猫はほぼ全てがメスである。

歴史[編集]

1万年ほど昔から島である日本には、ネコが存在していなかったが、奈良時代ごろに大事な書物をネズミから守る益獣として、中国から輸入されたことが始まりと思われる。平安時代にはさまざまな和歌や物語に登場し、親しまれていたことが伺える。その後も、中国と交易するたびに猫が日本を訪れたため、いくらかの変遷があったと思われるが、戦国時代東南アジアと交易したことから、これらのネコとも関係ができたと思われる。現在の日本猫の形は江戸時代に固定されたものである。日光東照宮の「眠り猫」が日本猫の姿をよくあらわす好例といえよう。

日本に輸入されて以来、愛玩用というよりも益獣として用いられたため、家で飼われるより、外で暮らすことが多かった。そのため、人工的に品種改良されることも無かった。ネズミを駆除するので、市民からも嫌がられることも無く、野良猫として全国に広がった。

現況[編集]

明治時代以降、文明開化と共にやって来た西洋種がやたらともてはやされ、これらの猫と日本猫の雑種が進んだ。この傾向が最も激しく起こったのは太平洋戦争後で、一般市民が手軽に愛玩動物を飼う事ができるようになり、やはり外来種をもてはやした。猫の習性に合わせて外を出歩かせれば野良猫と交配し、雑種が生まれた。日本猫は野良猫として、市民に非常に近い関係だったため、市民側に日本猫を『種』として認識する力が欠けていた。また、一般市民は愛玩動物を平気で捨てるため、外来系の野良猫も生まれた。このため、江戸時代以来の日本猫の姿は失われつつあるわれつつある。

現在の野良猫は、上記のような状況で、都市部や住宅街でそのほとんどが雑種となってしまった。本来の日本猫は、外来種の影響の少ない地方の野良猫や、一部の愛猫家によって飼育されているだけである。

逆の例として、ネコの存在しなかった沖縄奄美大島などに日本人が進出したさい、一緒に猫を連れて行ったため、この地で野良猫となったものが、ヤンバルクイナなど固有の希少動物を食い荒らしている。

また西表島対馬に分布する、固有のヤマネコと交雑し、遺伝子撹乱が生きている。

関連項目[編集]