天沢退二郎
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天沢 退二郎(あまざわ たいじろう、昭和11年(1936年)7月31日 - 令和5年(2023年)1月25日)は、日本の詩人・仏文学者・児童文学作家・翻訳家。宮沢賢治研究者。東京大学文学部仏文科卒業。明治学院大学文学部フランス文学科教授を経て、同大名誉教授。
略歴[編集]
東京大学卒業後、フランスのパリに留学し、明治学院大学で長い間教壇に立った。幼児期から宮沢賢治の作品に親しみ、1970年代に「校本宮沢賢治全集」の編著に関与。「宮沢賢治の彼方へ」など宮沢に関する数多くの評論を著わし、宮沢賢治学会の代表理事も務めた。他にも多くの小説を著わしている。詩集では藤村記念歴程賞と高見順賞、読売文学賞の詩歌俳句賞を受賞。翻訳活動も行なっている。
令和5年(2023年)1月25日午後7時35分、千葉県千葉市稲毛区の病院で死去した。86歳没。
著作[編集]
詩集[編集]
- 『道道』(舟唄叢書、1957)
- 『朝の河』(國文社、1961)
- 『夜中から朝まで』(新芸術社、1963)
- 『時間錯誤』(思潮社、1966)
- 『血と野菜』(思潮社、1970)
- 『取経譚』(山梨シルクセンター出版部、1972)
- 『譚海』(青土社、1972)
- 『「評伝オルフェ」の試み』(書肆山田、1973)
- 『夜々の旅』(河出書房新社、1974)
- 『Les Invisibles 目に見えぬものたち』(思潮社、1976)
- 『死者の砦』(書肆山田、1978)
- 『乙姫様』(青土社、1980)
- 『帰りなき者たち』(河出書房新社、1981)
- 『眠りなき者たち』(中央公論社、1982)
- 『《地獄》にて』(思潮社、1984)
- 『ノマディスム』(青土社、1988)
- 『欄外紀行』(思潮社、1991)
- 『夜の戦い』(思潮社、1995)
- 『胴乱詩篇』(思潮社、1997)
- 『悪魔祓いのために』(思潮社、1999)
- 『幽明偶輪歌』(思潮社、2001)
- 『御身あるいは奇談紀聞集』(思潮社、2004)
- 『人間の運命 - 黄変綺草集』(思潮社、2007)
- 『Avision - 幻夢詩篇 』(書肆山田、2009)
- 『アリス・アマテラス』(思潮社、2011)
- 『南天お鶴の狩暮らし』(書肆山田、2013)
- 『贋作・二都物語』(思潮社、2014)
選詩集[編集]
- 『現代詩文庫 天沢退二郎詩集』(思潮社、1968)
- 『天澤退二郎詩集』(青土社、1972)
- 『新選現代詩文庫 新選天沢退二郎詩集』(思潮社、1980)
- 『《房総文芸選集》天沢退二郎集』(あさひふれんど千葉、1991)
- 『現代詩文庫 続・天沢退二郎詩集』(思潮社、1993)
- 『現代詩文庫 続続・天沢退二郎詩集』(思潮社、1993)
児童文学[編集]
長編[編集]
- 『光車よ、まわれ!』(筑摩書房、1973/ちくま文庫、1987/ブッキング、2004/ポプラ文庫、2010)
- 『《三つの魔法》その一・オレンジ党と黒い釜』(筑摩書房、1978)
- 『《三つの魔法》その二・魔の沼』(筑摩書房、1982)
- 『《三つの魔法》その三・オレンジ党、海へ』(筑摩書房、1983)
- 『《三つの魔法》その四・オレンジ党 最後の歌』(復刊ドットコム、2011)
短編集[編集]
- 『夢でない夢』(大和書房、1973)
- 『闇の中のオレンジ』(筑摩書房、1976)
- 『水族譚 - 動物童話集』(大和書房、1978)
- 『ねぎ坊主畑の妖精たちの物語』(筑摩書房、1994)
評論・評論集[編集]
- 『宮沢賢治の彼方へ』(思潮社、1968/ちくま学芸文庫、1993)
- 『紙の鏡 - 言葉から作品へ作品から言葉へ』(洛神書房、1968)、新版・山梨シルクセンター出版部
- 『作品行為論を求めて』(田畑書店、1970)
- 『夢魔の構造 - 作品行為論の展開』(田畑書店、1972)
- 『《宮澤賢治》論』(筑摩書房、1976)
- 『フランス詩への招待 - 訳詩と鑑賞』(思潮社、1980)
- 『幻想の解読』(筑摩書房、1981)
- 『エッセー・オニリック - アーサー王・ボスコ・銀河鉄道の夜』(思潮社、1985)
- 『《宮沢賢治》鑑』(筑摩書房、1986)
- 『《中島みゆき》を求めて』(創樹社、1986/河出文庫、1992)
- 『詩はどこに住んでいるか』(思潮社、1990)
- 『丸善ライブラリー 謎解き・風の又三郎』(丸善、1991)
- 『《宮沢賢治》注』(筑摩書房、1997)
- 『《宮沢賢治》のさらなる彼方を求めて』(筑摩書房、2009)
共著[編集]
- 『「銀河鉄道の夜」とは何か 討議』(青土社、1979)
- 『討議・「銀河鉄道の夜」とは何か 新装改訂版』(青土社、1979)
エッセー集[編集]
- 『雪から花へ 風俗から作品へ』(思潮社、1980)
編著[編集]
- 『宮沢賢治研究叢書「春と修羅」研究 1・2』(学藝書林、1975)
- 『銀河鉄道の夜・風の又三郎・ポラーノの広場』(講談社、1979)
- 『新編宮澤賢治詩集』(新潮社、1991)
- 『宮澤賢治ハンドブック』(新書館、1996)
- 『あまの川 - 宮沢賢治童謡集』(筑摩書房、2001)
- 『宮沢賢治万華鏡』(新潮社、2001)
共編著[編集]
- 『校本宮澤賢治全集』(筑摩書房、1973-1977)
- 『新修宮澤賢治全集』(筑摩書房、1980-1982)
- 『文庫版宮澤賢治全集』(筑摩書房、1985-1995)
- 『名詩渉猟 - わが名詩選』(思潮社、2005)
- 『新校本 宮澤賢治全集』(筑摩書房、1995-2009)
- 『図説 宮澤賢治』(筑摩書房<ちくま学芸文庫>、2011)
翻訳[編集]
- ジュリアン・グラック「大いなる自由」(思潮社、1964、新版1987)
- ジョルジュ・バタイユ「青空」(晶文社、1968、新版1998)
- モーリス・ブランショ「至高者」(筑摩書房、1970)
- アンリ・ボスコ「少年と川」(日本ブリタニカ、1980)
- ポスコ「犬のバルボッシュ - パスカレ少年の物語」(福音館書店、1984/福音館文庫、2013)
- ポスコ「少年と川・島の狐 - パスカレ少年の物語」(福音館書店、1985)
- ポスコ「バルガボ パスカレ - パスカレ少年の物語」(福音館書店、1986)
- シャルル・ペロー「シンデレラ - 小さなガラスの靴」(三起商行/ミキハウス、1987、新版2000)
- アンドレ・ドーテル「荒野の太陽」(福音館書店、1988)
- ポスコ「シルヴィウス」(新森書房、1988)
- ポスコ「マリクロワ」(新森書房、1990)
- ジャン・フラピエ「聖杯の神話」(筑摩叢書、1990)
- ポスコ「骨董商」(河出書房新社(上・下)、1992)
- 「聖杯の探索 - 中世フランス語散文物語」(人文書院、1994)
- アラン・フルニエ「グラン・モーヌ」(岩波文庫、1998)
- ジュリアン・グラック「異国の女性に捧げる散文」(思潮社、1998)
- フランソワ・ヴィヨン「ヴィヨン詩集成」(白水社、2000)
- 「ペロー童話集」(岩波少年文庫、2003)
共訳[編集]
- アラン・ロブグリエ『去年マリエンバートで/不滅の女』(蓮實重彦共訳、筑摩書房、1969)
- ディーノ・ブッツァーティ『シチリアを征服したクマ王国の物語』(増山暁子共訳、福音館書店、1987/福音館文庫、2008)
- 『フランス中世文学集』(白水社、1991)
- 『ロマン・ビクトル・プジュベ著「LULU」日本語版CD-ROM』(アリアドネメディア、東北新社、サテライト、ボイジャー、1996)
- 『ハンス・クリスチャン・アンデルセン著「スノー・クイーン」日本語版CD-ROM』(アリアドネメディア、東北新社、サテライト、ボイジャー、1996)
- 『フランス中世文学名作選』(白水社、2013)編集委員(他は松原秀一・原野昇)
百科事典[編集]
- 『世界大百科事典』の項目「円卓物語」「騎士道物語」「宮廷風恋愛」「銀河鉄道の夜」「クレティアン・ド・トロア」「幻想文学」「聖杯文学」「春と修羅」「ブノア・ド・サント・モール」「宮沢賢治」「ランスロ物語」「ワース」の執筆。