土佐物語
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土佐物語(とさものがたり)とは、土佐国の戦国大名・長宗我部氏の興亡に関する軍記である。
概要[編集]
著者・成立年代[編集]
著者は吉田孝世。成立は江戸時代中期の宝永5年(1708年)冬であると推定されている。
吉田孝世は土佐藩士で、馬廻記録方の地位にあった人物である。祖父が長宗我部元親・盛親父子に仕えた重臣・吉田政重で、政重の曾祖父が吉田重俊で、元親の初期の重臣である。政重の没年が寛永5年(1628年)で、孝世の生年が正保3年(1646年)なので、この2人は会ったことは無い。ただ、祖父やその前の先祖が長宗我部氏の重臣だったことから、恐らく旧主家の関係史料はある程度所持していた可能性があり、それを参考にこの著書を完成させたものと思われる。
『土佐物語』の名は、土佐国の長宗我部家の興亡記という意味で名付けたものと思われる。
内容[編集]
全30巻(20巻説がある)。長宗我部氏の興亡記であるが、特に長宗我部元親に関する事績が豊富に記載されている。
まず、長宗我部家の由来から始まり、次に戦国時代の土佐国の情勢、そして元親の祖父・長宗我部兼序の自害と父・長宗我部国親の経歴、そして元親の事績について描かれている。元親の死後は盛親が跡を継ぎ、徳川家康に改易される。この際、石田三成ら西軍は「逆徒」と描かれている。そして盛親が大坂の陣で敗れて捕らえられ、処刑されて長宗我部氏の正統が断絶したとして、物語は終了している。
主に長宗我部氏に関する記述が多いが、土佐に関する伝承記事なども多く、元親の死去などは『平家物語』における平清盛の死去の際に似ているように描かれており、著者が何らかの物語を参考にして『土佐物語』を完成させたと見ることができる。