勝部元
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勝部 元(かつべ はじめ、1917年9月8日 - 1999年8月28日)は、政治学者。桃山学院大学名誉教授、元・大阪国際平和センター館長。
経歴・人物[編集]
京都市生まれ。1940年九州帝国大学法文学部経済学科卒業、満州重工業開発に入社。1942年日本製鐵本社に入社[1]。1943年に横浜事件の昭和塾関係者として検挙され、獄中で敗戦を迎える[2]。1946年八幡製鉄調査課長嘱託。1947年世界経済研究所に入所[1]、1952年同調査部部長[3]。1956年愛知大学法経学部助教、1957年同教授。1959年桃山学院大学経済学部教授。1961年九州大学より法学博士の学位を授与。1961年から62年ロンドン大学に留学[1]。1966年桃山学院大学社会学部開設と伴に同学部教授[4]、1975年から76年学長[1]。1988年定年退任、名誉教授[4]。
敗戦後、国際政治学の研究を進め、朝鮮戦争を境に日本独占資本は帝国主義的復活を遂げ、サンフランシスコ条約で基本的に独立したと主張し、日本共産党の党章草案を批判。1959年から大阪唯物論研究会の中心メンバーとなり、60年安保闘争後は佐藤昇らとともに構造改革論の理論家として活躍した。現代社会主義研究会に所属し、1964年第2次『現代の理論』編集委員[2]。1991年大阪国際平和センター初代館長に就任。1999年4月退任[3]。
原水爆禁止日本協議会(原水協)専門委員、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)国際会議決議起草委員、大阪日ソ親善協会委員、日中友好国民協議会関西グループ代表世話人なども務めた[4]。共産党は勝部を「日本共産党から除名され原水禁運動分裂策動の一翼をになっていた前野良、勝部元ら」などと批判している[5]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『一九一七年の革命』 暁明社、1948年
- 『プロレタリア大革命――ロシヤ十月革命の全貌 上 迫り来る破局』 白虹書林、1949年
- 『プロレタリア大革命――ロシヤ十月革命の全貌 中 世界を震撼させた日』 白虹書林、1949年
- 『プロレタリア大革命――ロシヤ十月革命の全貌 下 新ソヴェト政府の樹立』 白虹書林、1950年
- 『現代のファシズム』 岩波書店(岩波新書)、1955年
- 『現代世界政治の構造』 青木書店(叢書戦後資本主義の分析)、1961年
- 『構造改良――先進国における社会主義への道』 潮出版社(潮新書)、1972年
- 『怒りをこめて起ちあがれ――核のない世界をめざして』 マルジュ社、1982年
- 『第二次世界大戦後の地域紛争・局地戦』 大阪国際平和センター編、大阪国際平和センター(ピースおおさかブックレット)、1991年
編著[編集]
- 『講座 現代日本の経済と政治(全4巻)』 内田穰吉、小野義彦、狭間源三、古畑義和共編、大月書店、1958-1959年
- 『スターリン主義の解剖』 編、合同出版社、1963年
- 『講座マルクス主義 第9 国家と革命』 編、日本評論社、1970年
- 『現代世界の政治状況――歴史と現状分析 勝部教授古稀記念』 編著、勁草書房、1989年
訳書[編集]
- メアリイ・イーツ『白人は有色人種を迫害する』 小野義雄共訳、三一書房、1952年
- 『人民民主主義国家論』 安藤正明共訳編、三一書房、1954年
- レーニン『一九一七年の革命(上・中・下)』 山崎春成共訳、青木書店(青木文庫)、1954年
- ディミトロフ『反ファシズム統一戦線』 大月書店(国民文庫)、1955年
- J.イートン『現代社会主義入門――核時代における変革のヴィジョン』 玉井龍象共訳、合同出版(合同新書)、1965年
- S.アーロノヴィッチ『イギリスの金融資本』 玉井龍象共訳、新評論 1967年
- B.ラジッチ、M.M.ドラチコヴィチ『コミンテルン人名事典』 飛田勘弐共訳、至誠堂、1980年
- リヒアルト・ゾルゲ『二つの危機と政治――1930年代の日本と20年代のドイツ』 北村喜義、石堂清倫共訳、御茶の水書房、1994年
出典[編集]
参考文献[編集]
- 戦後革命運動事典編集委員会編『戦後革命運動事典』新泉社、1985年
- 「表現の自由」研究会編著『現代マスコミ人物事典』二十一世紀書院、1989年
- 平凡社教育産業センター編『現代人名情報事典』平凡社、1987年
関連文献[編集]
- 近代日本社会運動史人物大事典編集委員会編『近代日本社会運動史人物大事典 2』日外アソシエーツ、1997年