名詞

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名詞(めいし、:noun)とは、物質道具人名場所の名称を表す品詞の1つである。物事の具体的な概念を示す。
一般的には「活用しない」とされているため体言に分類される。
ただし、「雨(あめ)⇒雨傘(あまがさ)」「金(かね)⇒金物(かなもの)」「酒(さけ)⇒酒樽(さかだる)」「船(ふね)⇒船端(ふなばた)」などの音韻変化はいくつかあり、数は少ないものの頻出するために、日本語処理においてはデータベース化は欠かせない。

概要[編集]

日本のいわゆる「学校文法」は橋本進吉による「橋本文法」に基いており、「活用しない語」であり体言の代表が「名詞」であるとされる、
ただし「雨(あめ)⇒雨傘(あまがさ)」「金(かね)⇒金物(かなもの)」「酒(さけ)⇒酒樽(さかだる)」「船(ふね)⇒船酔い(ふなよい)」など、合成語を作るときに形を変えることがある。これはいわゆる「音便」とは別物なので、「かな漢字変換システム」用の辞書管理においてはそれなりの量の作業になる。

日本語の名詞[編集]

以下の名詞を組み合わせ、複合語を形成する場合もある。

普通名詞[編集]

物事や物質を具体的且つ一般的に示す言葉。物事の一般的な名称。

例:朝、ブロック、大晦日 等

代名詞[編集]

前述した言葉などを一般名詞などの代わりに指し示す言葉。

例:「これ・あれ・それ・どれ」「こちら・あちら・そちら・どちら」「ここ・そこ・あそこ・どこ」「こいつ・そいつ・あいつ・どいつ」のような「こ・そ・あ・ど」がよく知られるが、「彼(かれ)・かの・かつて・かなた」のような「か」系列のようなものもある。他の例もあるかもしれないが、不明である。

固有名詞[編集]

固有名詞の日本語表記のルール」も参照

地名や人名等の唯一無二の固有的な名詞。

例:徳川家康、日本、埼玉県 等

ただし、「府中市」は広島県と東京都の両方にあったり、人名では同姓同名の人物もいたりするので、「個体(あるいは個物)に貼りつけられた名称」と説明されることが多い。

数詞[編集]

数を含む名詞のこと。

例:1個、二本 三匹 等

単位のついた表記と訓みの関係は存外ややこしい。「一人(ひとり)・二人(ふたり)・三人(さんにん)・四人(よにん)・五人(ごにん)」が一般的だが、「一人前(いちにんまえ)」があり、「六百」「八百」はそれぞれ「ろくひゃく」ではなく「ろっぴゃく」、「はちひゃく」ではなく「はっぴゃく」が多く使われる。

転成名詞[編集]

元は、動詞形容詞形容動詞の連用形であったものが名詞化したもの。「~な」「~に」などの、いわゆる形容動詞の名詞化については議論の余地がある。

例:動く→動き、暑い→暑さ、元気だ→元気 等

英語の名詞[編集]

普通名詞[編集]

物事や物質を具体的且つ一般的に示す言葉。

例:pencil, cookie, edge[1]

抽象名詞[編集]

具体的に物質として表現できない抽象的な名詞。

例:pity, detachment, fun, love, possibility 等

集合名詞[編集]

集合体を1つの単位として表す名詞。単数形で用いられる場合、「1つの集合体」を意味し、複数形で用いられる場合は「集団を構成する複数の人」や「複数の集合体」を意味する。

例:people, audience, family 等

物質名詞[編集]

ある物体を構成する一般的に考慮して最小単位の物質の名詞。

例:glass, coffee, xenon, phosphorus 等

単複同型[編集]

水など、単数形なのか複数形なのか判別しがたい名詞。たとえば data の単数形は本来 datum だが、単複同型扱いをして「data」が用いられる。

固有名詞[編集]

人名場所などの唯一無二な固有の名詞。

例:Lillian, Rockefeller center, Tokyo 等

意味論[編集]

「名詞とは何を指すか」については、「外延的意味論」と「内包的意味論」が主流だったが、「データベース・キー」であるという見方もある。 「彼は明けの明星と宵の明星が同じものだという事を知らなかった」は太陽系にある「金星」という天体という「外延」を考えると、「彼は明けの明星と宵の明星が同じ金星だという事を知らなかった」を意味する。ここまではいい。ただし、もう一歩踏み込むと、「彼は金星と金星が同じ金星だという事を知らなかった」となって、正しいが奇妙である。これが外延的意味論
そこで、「明けの明星」と「宵の明星」は金星という天体であることは変わりはないけれど、見える時間帯が違う以上別のものであるということになる。こうなると、「意味とは、意味である」という話になって、かなり絶望的な状況になる。これが内包的意味論である。
このとき、「明けの明星に関するデータ」と「宵の明星に関するデータ」が入っているアドレスは別なので、「そのアドレス」が違えば違う意味であるし、そのアドレスが移動しても「それを指すデータのポインタ」が違えば別のものである。つまり、意味というのは「意味に関するデータを引っかける釘」だといえる。そして、そう解釈することによってとくに不都合なことは起こらないし効率も下がったりしない。これはリレーショナル・データベース理論で言う「データベース・キー」に相当する。

脚注[編集]

  1. 縁、刃、瀬戸際という意味で