仁義なき戦い 代理戦争
仁義なき戦い 代理戦争(じんぎなきたたかい だいりせんそう)は”広島ヤクザ戦争”を描いたノンフィクション『仁義なき戦い』を映画化した作品である。「仁義なき戦い」五部作の第三作である。1973年に公開された実録もの映画である。1973年のキネマ旬報ベストテン第8位となった。
概要[編集]
昭和35年4月、広島市最大の暴力団村岡組の第一の実力者杉原が、九州のやくざに殺害される。杉原の兄弟分で打本組々長の打本昇はこの時、落し前をしっかりつけなかったため、村岡組の跡目をめぐる抗争が起きた。山守組の組長・山守義雄は村岡組の跡目に野心をもっており、広島に顔の利く広能を山守組傘下に復縁させる。打本は村岡組の幹部江田と共に広能と兄弟盃を交わし、日本最大の暴力団、神戸の明石組へ広能を介して盃を申し入れた。打本は明石組々長明石辰男の舎弟相原と兄弟盃を交わす。打本の思惑が村岡の気分を害したため、跡目は山守と決まり、山守組は広島で最大の組織になる。その頃、山守系の槙原の舎弟浜崎と打本の舎弟分小森が岩国でもめる。山守は岩国へ配下を送り出す。広能や江田は筋を通すため、松永、武田と共に打本に盃を返す。打本は指を詰め、明石組に助けを求める。明石組は最高幹部の宮地や相原を広島に送り込み、広能たちは打本に詫びを入れ、浜崎と小森は打本の仲裁で手打ちとし、実質的に山守組は敗北した。山守は対抗するため、明石組に対抗できる唯一の暴力団の神和会と縁組みを計画する。その斡旋を広能に依頼するが、広能は筋が通らないと拒否する。広能は山守を引退させるための罠にはめる目的で神和会と渡りをつける。神和会は山守組と兄弟盃を交わし、広島で二大勢力が対決することとなった。明石組は広能に打本との盃を復活させるよう要求した。広能は打本との盃を復活したが、これを知った神和会は山守の責任を追及する。明石組は広能を救うため、打本に命じて武田、松永らを絶縁させる。武田は、早川を抱き込み、打本を襲撃した。かくして広島を舞台とした広島抗争事件が始まる。
背景[編集]
昭和35年の日本は安保闘争・岸信介内閣の瓦解・浅沼稲次郎委員長刺殺事件等の動乱の世相であったが、世界各地でも米ソ両大国の思惑が関わる紛争が起き、それらの局地戦を代理戦争と呼ばれていた。日本のやくざ社会においても、全国組織の対立が各地で代理戦争を起こしていた。
基本事項[編集]
- 題名:仁義なき戦い 代理戦争
- 配給:東映
- 監督:深作欣二
- 企画:日下部五朗
- 脚本:笠原和夫
- 原作:飯干晃一
- 撮影:吉田貞次 東映京都撮影所
- 美術:雨森義允
- 音楽:津島利章
- 録音:野津裕男
- 照明:中山治雄
- 美粧結髪:東和美粧
- 編集:堀池幸三
- 助監督:土橋亨
- 演技事務:森村英次
- 衣装:豊中健
- 擬斗:三好郁夫
- 進行主任:伊藤彰将
- スチール:中山健司
- 上映時間:102分
- 色彩:カラー、シネマスコープ
- 公開年:1973年9月25日
配役[編集]
- 広能昌三:菅原文太
- 武田明:小林旭
- 倉元猛:渡瀬恒彦
- 江田省一:山城新伍
- 富枝:池玲子
- 弘美:堀越光恵
- 江奈:中村英子
- 山守義雄:金子信雄
- 山守利香:木村俊恵
- 松永弘:成田三樹夫
- 打本昇:加藤武
- 宮地輝男:山本麟一
- 西条勝治:川谷拓三
- 橋詰:北村英三
- 青木彦次郎:汐路章
- 大久保憲一:内田朝雄
- 相原重雄:遠藤辰雄
- 早川英雄:室田日出男
- 水上登:五十嵐義弘
- 若杉三郎:大前均
- 岩見益夫:野口貴史
- 森久宏:大木晤郎
- 上田利男:曽根晴美
- 倉元うめ:荒木雅子
- 長尾博光:丘路千
- 杉原文雄:鈴木康弘
- 小森安吉:阿波地大輔
- 野戸呂勇:宇崎尚韶
- 伊丹義一:中村錦司
- 栗山清:国一太郎
- 司裕介
- 松本泰郎
- 吉倉:矢奈木邦二朗
- 三杉:熊谷武
- 疋田泰盛
- 豊田良平:堀正夫
- 浜崎四郎:岩尾正隆
- 村岡常夫:名和広
- 笹木俊志
- 西山清孝
- 森谷譲
- 矢部義章
- 片桐竜次
- 藤沢徹夫
- 福本清三
- 高石功:山本清
- 谷川義明:原田君事
- 和田作次:木谷邦臣
- 宮城幸生
- 児島会会長:小田真士
- 小峰一男
- 藤長照夫
- 大矢正利
- 桃子:太田のり子
- 加藤匡志
- 奈辺悟
- 前川良三
- 島田秀雄
- ナレーター:酒井哲
- 槇原政吉:田中邦衛
- 明石辰男:丹波哲郎
- 岩井信一:梅宮辰夫