ロリータビデオ

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ロリータビデオは、ロリコンの対象となるロリータを性的に扱ったビデオ作品の総称。ロリビデオロリビと呼ばれることもある。あくまでも総称であり、その国・時代の法令に抵触するか否かを問わない。2020年現在、我が国ではあまり使用されない用語である。ジュニアアイドルのイメージビデオはこれに含めない。

ヌードを描写した作品は「成人向け」の指定がされているが、それが直ちにアダルトビデオ(絡みあり)であることを意味するのではない。実態として、ロリータビデオの大部分は絡みなしのイメージビデオである。また、少女のイメージビデオ・イコール児童ポルノという訳でもない。いわゆる少女ヌード写真集と同様、「児童エロチカ」として流通していた作品も存在する。

表ビデオ[編集]

日本初のロリータビデオは、1982年8月の『あゆみ11歳・小さな誘惑』である。ヒロインに懸想する大学生を演じた青山正明によると、3万円という高額にもかかわらず4000本が即完売したそうである[1]

また、写真家の清岡純子力武靖はロリータ写真集の創作活動の流れの中でロリータビデオの制作にも携わっていた。これらは当時、猥褻物として規制されることもなく、児童エロチカとみなされた[2]

1988年夏、日本ビデオ倫理協会が「ロリータものを審査対象外にする」と通達したため作品数が激減する。少女の性器、いわゆるワレメは表ビデオから完全に姿を消した[3]。ちなみに、宮崎勤が逮捕されるのは1989年7月23日である。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法)の施行(1999年11月1日)後も「ポルノではない」と称してジュニアアイドルの過激な映像はリリースされている。とはいえ2009年には少女に露出度の高い水着を着せたという理由でDVDが摘発されるなど、ジュニアアイドルのすべてが規制を免れているわけではない[2]

裏ビデオ[編集]

『女子大生SEX白書』『洗濯屋ケンちゃん』『人間狩り』と言った作品が出揃い、裏ビデオ業界が第1次ブームを迎えた1982年末、業界の予想に反する好評を得た『セーラー服とカービン銃』がロリータ裏ビデオの先駆けである(おそらく関西製の30分作品)。しかしこの作品の女優の推定年齢は、文献[4]によると16-17歳である。ロリータものというよりもむしろ、先行する『女子高生身の下相談』『激しく犯して』などのセーラー服ものの系譜に連なるものと考えるほうがしっくりくる。こうした作品群はロリータと称してはいても、学校の制服や「少女」という題名が多用される傾向から高年齢男性を意識した姿勢が透けて見え、本物のロリコンには不向きだった[5]

真に幼女が登場するロリータビデオはさすがに裏ビデオ業界にも少なかったが、1983年春に『処女の泉』が登場した。「貪欲な関西業者ですら闇市場に流すのをためらった」という触れ込みのこの作品では、13歳の少女と成人男性の性交が描かれている[5]。ここまで明確に犯罪的な内容は看過されるものではなく、製作グループは半年後に検挙されたが、一度開拓された市場は小規模であっても絶えることはなく、『ロリータ雅代 & しのぶ』『老人と少女と性』『インサート12』といった作品が後に続いた。またその後、1983年末の『チェリーキラー』や1984年2月の『南十字性』のように、フィリピンまたは近隣諸国の少女たちを題材とする作品が日本で流通するようになった[6]

ポルノ女優は実際に性的快感を得るか、あるいは快感を得ているかのように演技することを求められるのに、そのどちらも若年の少女には困難であるため、ロリータ裏ビデオがポルノ作品として性交…あ、間違えた、成功するのは至難である[7]

基本的に女優の年齢は推定するしかないが、『少女の道草』『変な感じ…』は製作者の逮捕を伝える報道により、12歳の少女が出演していたことが世間に開示され、マニアからは「お墨付き」ロリータ裏ビデオと称されることになった[8]

ロリータ裏ビデオへの規制は迅速にして厳しいため、1986年ごろから目立った新作はなくなり、散発的なリリースに留まっている[9]

出典[編集]

  1. 青山 1994, p. 166-167.
  2. a b 高月 2009, p. 65.
  3. 青山 1994, p. 167.
  4. 佐野 1985, p. 43.
  5. a b 佐野 1985, p. 44.
  6. 佐野 1985, p. 45.
  7. 佐野 1985, p. 46.
  8. 青山 1994, p. 167-168.
  9. 青山 1994, p. 168.

参考文献[編集]

  • 佐野良酔「美少女裏ビデオの系譜 ロリコン篇・Part1」、『アップル通信』第2巻第9号、三和出版、1985年9月1日、 43-46頁。
  • 青山正明「ロリータをめぐる冒険」、『宝島30』第2巻第9号、宝島社、1994年9月8日、 164-168頁。
  • 高月靖 『ロリコン日本の少女嗜好者たちとその世界』 バジリコ、2009年10月26日。ISBN 978-4-86238-151-4