ヘヴィータンク

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ヘヴィータンク
欧字表記Heavy Tank[1]
品種サラブレッド[1]
性別牡[1]
毛色栗毛[1]
生誕2015年4月20日（9歳）[1]
抹消日2018年3月7日
父クロフネ[1]
母アイアムジュエル[1]
母の父アグネスタキオン[1]
生国日本国旗.png日本（北海道新冠町）[1]
生産上井農場[1]
馬主池田草龍[1]
調教師森秀行（栗東）[1]
競走成績
生涯成績1戦0勝[1]
獲得賞金0円[1]
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ヘヴィータンク（Heavy Tank）[1]は、日本の競走馬。馬名の意味は「重戦車」[2]。

2018年の弥生賞で未出走馬ながら極めて異例のデビューを果たし、大差の最下位となったその1戦のみで現役を引退したことで話題を呼んだ[3]。

戦績[編集]

デビュー前[編集]

2015年4月20日、北海道新冠町の上井農場で誕生[1]。過去にネイティヴハートなどを所有した池田草龍の所有馬となり、栗東・森秀行厩舎に入厩する[4]。

弥生賞でのデビュー[編集]

2018年3月4日の弥生賞(GII)[注 1]でデビュー戦を迎える。未出走馬が重賞レースに出走するのはグレード制導入後初のことで[注 2][注 3]、登録馬の発表段階から注目を集めた[8][5]。レースは10頭立てで行われ、唯一の未出走馬であるヘヴィータンクは最終追い切りも「15-15」程度の軽いものであったことから[9]、単勝194.6倍の9番人気であった[10]。

ゲートが開くと、追い通しながら馬群に全くついて行けず、大差の最下位で入線。芝2000メートルの走破時計は2分23秒9で、1着ダノンプレミアムから22秒9、ブービーのアサクサスポットからは20秒7も離されていた[10]。大きく遅れたヘヴィータンクがゴールした際には、場内から暖かな拍手が沸き起こった[7]。レース後、騎乗した野中悠太郎は「ゲートは出ているけど、追い通しでした。まだ気持ちと体が伴っていない感じで…。その辺がかみ合ってくれればいいですね」とコメントした[11]。なお、重賞競走であるため、タイムオーバーは適用されなかった[12]。

突然の引退[編集]

弥生賞から3日後の3月7日、競走馬登録を抹消され、僅か1戦のみでターフを去ることになった。出走歴が重賞1戦のみでの引退は、グレード制の導入以降初めてのことである。引退後は滋賀県の栗東ホースクラブで乗馬になると発表された[13]。

賞金ルールへの影響[編集]

ヘヴィータンクを管理する森秀行調教師であるが、競馬専門誌のインタビューで「総賞金という人の山を何百人かの調教師で奪い合っている」と語ったとされる[14]。同馬を弥生賞に出走させたのも、下位でも賞金が獲得できることを見越した戦略的な出走であるともいわれている。

弥生賞でのヘヴィータンクの本賞金は0円であるが、重賞競走では6着馬から10着馬に対してJRAから「出走奨励金」が支給されており、10着のヘヴィータンクには規定により1着賞金5400万円の2%にあたる108万円が支給される。また、「特別出走手当」については重賞競走であるため「1着馬とのタイム差」による減額措置の対象とならず、満額の43万1000円が支給されている。これらを合計して、弥生賞の出走によってヘヴィータンクが獲得した金額は151万1000円となる[15][16]。

なお、2019年以降のレースにおいて未出走馬・未勝利馬が重賞に出走した場合でも、タイムオーバーによる出走制限ならびに賞金（出走奨励金・特別出走手当）の減額措置が適用されるようになった[17]。現在、重賞競走に出走しタイムオーバーとなった未出走馬・未勝利馬に対して、「出走奨励金」及び「特別出走手当」はいずれも不交付となる[15]。このような変更がなされたのも、ヘヴィータンクの弥生賞出走が影響しているのではないかといわれている[14]。

それでも、同じような馬は何度も現れるのである……

競走成績[編集]

以下の内容は、netkeiba.com[4]およびJBISサーチ[18]に基づく。

競走日 競馬場 競走名 格 距離（馬場） 頭
数		 枠
番		 馬
番		 オッズ
（人気）		 着順 タイム
（上り3F）		 着差 騎手 斤量
[kg]		 1着馬（2着馬） 馬体重
[kg]
2018.03.04 中山 弥生賞 GII 芝2000m（良） 10 5 5 194.6（9人） 10着 2:23.9（45.7） 22.9 野中悠太郎 56 ダノンプレミアム 472

血統表[編集]

ヘヴィータンクの血統 （血統表の出典）[§ 1]
父系 デピュティミニスター系
 [§ 2]
父

*クロフネ
1998 芦毛
父の父
*フレンチデピュティ
French Deputy
1992 栗毛 		Deputy Minister Vice Regent
Mint Copy
Mitterand Hold Your Peace
Laredo Lass
父の母
*ブルーアヴェニュー
Blue Avenue
1990 芦毛 		Classic Go Go Pago Pago
Classic Perfection
Eliza Blue Icecapade
*コレラ
母

アイアムジュエル
2005 栗毛 		アグネスタキオン
1998 栗毛 		*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
アグネスフローラ *ロイヤルスキー
アグネスレディー
母の母
フォルナリーナ
1996 鹿毛 		Capote Seattle Slew
Too Bald
*プレイヤーホイール Conquistador Cielo
Halo Reply
母系(F-No.) プレイヤーホイール(CAN)系(FN:4-g) [§ 3]
5代内の近親交配 Halo4×5＝9.38% [§ 4]
出典
  1. ↑ [19]
  2. ↑ [20]
  3. ↑ [19]
  4. ↑ [19][20]
  • 母アイアムジュエルは社台ファームの生産馬。2005年のセレクトセールで4,305万円(税込)で落札されたが、競走馬としては地方での1勝のみに終わった。本馬はその5番仔にあたる[20][21]。

脚註[編集]

注釈[編集]

  1. ↑ 同レースは3着以内に皐月賞の優先出走権が与えられるが、収得賞金0円の場合は出走できないため、弥生賞2着以内が皐月賞への出走条件となっていた[5]。
  2. ↑ 重賞以外のケースでは、1988年に畠山重則厩舎のジュネーブシンボリが当時オープン特別の青葉賞でデビューし、1番人気に推されたものの4着となっている[6]。
  3. ↑ 重賞でのデビューは海外でも稀なケースであるが、1979年に後の大種牡馬ヌレイエフが仏GIIIのトマブリヨン賞でデビューし、2着に6馬身差をつけてデビュー勝ちを収めている[7]。

出典[編集]

  1. ↑ a b c d e f g h i j k l m n o p “ヘヴィータンク”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月12日確認。
  2. ↑ “競走馬登録馬名簿・馬名意味”. データファイル. 日本中央競馬会. 2019年11月12日確認。
  3. ↑ “今年も色々ありました…本紙選定、競馬界表＆裏１０大ニュース”. スポーツ報知 競馬. 報知新聞 (2018年12月30日). 2019年11月12日確認。
  4. ↑ a b “ヘヴィータンクの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年11月12日確認。
  5. ↑ a b “未出走馬が弥生賞登録　2着以上がマスト、3着では皐月賞出走不可”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2018年2月27日). 2019年11月12日確認。
  6. ↑ “ジュネーブシンボリ”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年11月12日確認。
  7. ↑ a b “【沢田康文の欧州リポート】多大な功績残したヌレイエフ”. サンスポZBAT！競馬. サンケイスポーツ (2018年3月7日). 2019年11月12日確認。
  8. ↑ “【弥生賞】ヘヴィータンク重賞でデビュー　未出走馬が重賞に挑戦するのは初”. 競馬・レース. デイリースポーツ (2018年2月27日). 2019年11月12日確認。
  9. ↑ “【弥生賞】追ってひと言”. スポニチアネックス - ギャンブル. スポーツニッポン (2018年3月1日). 2019年11月12日確認。
  10. ↑ a b “報知杯弥生賞 - 競馬データベース”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd. (2018年2月27日). 2019年11月12日確認。
  11. ↑ “【弥生賞】ヘヴィータンク１０着大敗　野中「気持ちと体が伴っていない」”. サンスポZBAT！競馬. サンケイスポーツ (2018年3月4日). 2019年11月12日確認。
  12. ↑ “【報知杯弥生賞】異例の初出走で参戦のヘヴィータンク、ブービー馬から２０秒７離されしんがり負け…”. スポーツ報知 競馬. 報知新聞 (2018年3月4日). 2019年11月12日確認。
  13. ↑ “ヘヴィータンクが乗馬へ　報知杯弥生賞で最下位、通算１戦０勝”. スポーツ報知 競馬. 報知新聞 (2018年3月8日). 2019年11月12日確認。
  14. ↑ a b “JRA“VS”森秀行調教師の知恵比べ!? 弥生賞ダントツ最下位も喝采「ヘヴィータンクルール」誕生から2年……「総賞金の山」を巡る頭脳戦 - GJ”. GJ. サイゾー (2020年10月16日). 2022年7月28日確認。
  15. ↑ a b “賞金のしくみ：馬主の方へ”. 馬主情報. 日本中央競馬会. 2020年6月11日確認。
  16. ↑ 北野なるはや (2021年8月12日). “JRA森秀行調教師がまたも競馬界の常識を覆す!? 話題独占したヨシオに続く「奇策」が炸裂か、あのヘヴィータンクから3年…… 異例の決断は武豊とウマ娘の期待馬も関係 - GJ”. GJ. サイゾー. 2022年7月28日確認。
  17. ↑ “2019年度競馬番組等について”. JRAニュース. 日本中央競馬会 (2018年11月20日). 2019年11月12日確認。
  18. ↑ “ヘヴィータンク 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月12日確認。
  19. ↑ a b c “ヘヴィータンク 血統情報：5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年11月12日確認。
  20. ↑ a b c “ヘヴィータンクの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年11月12日確認。
  21. ↑ “アイアムジュエル”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年11月12日確認。

外部リンク[編集]

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