プログラマ
『プログラマ』(英:programmer)とは、広義には「プログラムを書く人間」の事である。狭義には、「プログラミング言語の読み書きに不自由のない人物」をいう。「プログラマー」というと、「偏屈で自閉的」な印象があるが、プログラミング言語は開発・実行環境あるところ世界共通語なので、狭義のプログラマは世界的には数百万人の友人がいる。
概要[編集]
プログラムを書く動機は、一般的には「自分で計算などをやるのではなくコンピューターなどにその動作を行わせるための行為」と思われがちだが、プログラミングは「コンピュータによる、思考実験の結果確認」と考える人もいる。
プログラミング言語「Perl」 の開発者であるテリー・ウォールによると、プログラマの三大美徳は
- 怠惰 (Laziness) - コンピューターにやらせて済む話ならば、プログラムを書くことを選ぶ。
- 傲慢 (Hubris) - 自分の仕事に支障が出て、その問題がプログラムを書くことで片付くならば、プログラムを書くことを選ぶ。
- 短気 (Impatience) - プログラムを書いて仕事が早く片付くならば、プログラムを書くことを選ぶ。
という清々(すがすが)しい態度の表明である。
「人工知能はプログラマにより製作されるが、そのうち人工知能が人工知能をプログラミングしてくれるようになり、人間のプログラマの仕事は減るかもしれない。」という風評はあるが、面倒が嫌いなプログラマとしては本望である(断言できる)。人工知能はデスマーチにも耐えられるだろうが、吐かれた糞コードを片付けるのは人間様であり、そこに新たなデスマーチが発生する。いわゆる「人工知能」は「知識の集積」と「パターンの集積」でしかないため、「智」に至る「人工智能」とは解離があるからである。「人工知能が人工知能をプログラミングする」というのは「馬鹿の拡大再生産」でしかない。EclipseのようなIDEのように、人間の智性を補助してくれればそれで充分であると考える。
職業としての「プログラマ」[編集]
「『製品』と『品質』を重視する」というポリシーを持っている。ただし「自分というユーザのみが利用するプログラムを書く」という「暇プロ」に関しては例外である。「製品は嘘を吐(つ)かない。言い訳もしない」「品質は人を裏切らない」という信念を持つ。反面「マーケティング・リサーチ(市場調査)」における「マーケティング」、営業職を含む「営業」を嫌う。自らを「技術開発者」と考えているため、「『まだ製品化されていないアプリケーション』に“市場”があるわけがない」と思っているからである。「口コミなどでコンサルティングをして需要を掘起こす」のが「営業活動」であると思っているからであるが、プログラミング技能を持っていない上司や営業担当者などに「日本人は、形のないものに金は払わないんだよ」などと説教されて嗤われる経験も多いので、不信感も つのろうというものである。ソフトウェア開発は職業分類としては「サービス業」に分類されるのも、正直なところ気に入らない。
「額に汗して」「靴底をすり減らして」「下げたくもない頭を下げて」「顧客に媚びて受注を取って」いることを「仕事」とみなす人々にとっては、「パソコンの前に座ってキーボードを叩いているだけ」[1]で給料を貰っている連中にはさぞかし腹が立つだろうとは思う。
そのため、「ちゃんとした仕事」をしている営業職の人々からは差別されることが多い。よって時間外勤務(深夜残業や休日出勤など)は当然であり、「二十四時間、呼び出せば来る」のが当然とみなされる。
こうした差別がなければソフトウェア業界も住みやすいのだが、「プログラムが書けない」人にとっては、「プログラムが書けるだけで偉そうにしやがって」という憤りがあるらしく、差別はなくならない。
階層[編集]
広義のプログラマーの中には階層がある。
最下層が「プログラマー」であり、「青二才」であり「駆出し以前」である。「キッシュ・イーター」とも呼ばれる[2]
その上位に「プログラマ」がおり、そこから上は「ハッカー」「グル」「ウィザード」など多様に分化している。
ハッカー[編集]
「やっつけ仕事」の専門家であり、「とにかく動けばいい」というコードを書くのが速い。したがって、ハッカーが吐いたコードは堅気のプログラマが清書して可読性を上げ、ドキュメント(開発文書)も揃えて保守担当者に引き継ぐのが望ましい。
とはいえ、尊称としての「ハッカー」もあり、リチャード・ストールマンは「代表的なハッカー」として尊崇されている。日本のハッカーに関しては『bit』(共立出版)のバックナンバーを参照のこと。とくに「ナノピコ教室」は必見。
プログラマ[編集]
「なんでも屋」であり、ときにハッカーやグルやウイザードに変身したりもする。
グル =[編集]
英語圏での呼称であり、「導師」の意。所属企業の上司ではない場合は多く、ときに「ガン・マン」とも呼ばれる。
日本の現場では「兄貴(兄さん)」「姐御(姐さん)」あるいは「師匠」と呼ばれることもある。
同じ企業に所属していないため、取締役でもなく(クローズドショップ制の)組合にも入れないので、課長相当の職務を負っていても管理職には当たらないため、「担当課長」とかいった肩書が与えられたりする。
ウィザード[編集]
職場の上司であって職権もあり、システム設計もできれば顧客対応もでき、コードも読めるし書けるといった常人離れしたプログラマ。幽霊ではないが「本当に存在するのなら見てみたい」という存在である。
仙人[編集]
「段取り七分、腕三分」「段取八分に仕事二分」と建築の世界では謂われるが、それが嵩じて「なにもセンニン」と呼ばれる言葉があるため生まれた日本語。だいたい暇プロを書いている。代表的な人物としては、「新世代コンピュータ開発事業」のトップである渕一博さんがおり、「仕事がヒマだったから」というので定理の自働証明システムを開発したという猛者(もさ)である。
年齢[編集]
かつては「プログラマー三十五歳定年説」などが喧伝されたが、現在は「四十・五十は洟垂れ小僧」という時代になりつつある。八十歳を超えて九十代になってもなお現役のプログラマという人もいる。
パチンコ業界では現在でもZ80など8ビットCPUが使われており、アセンブラを用いて 8 bit・64 K という土俵で勝負している。こうなると後継者を育成しなければいけないのだが、なかなか育ってくれないので四十代・五十代のプログラマは まだ現役である。パチンコ台を含めて、商業システムとしての組込系のリアルタイム・プログラムを書ける技量と自信のある(同時に責任感のある)プログラマは貴重であるため、あまり表には出てはこないものの、「年金は貰っているけれど、孫の小遣い銭くらいは稼ごうか」という人もいて、そういう人はやたらに腕が立つので、「剣客商売」の秋山小兵衛さんではないが、舐めてかかると痛い目に遭う。
ジャーゴン[編集]
- つまらないコード
- 誉め言葉である。コーディングスタイルのひとつである。いわゆる「構造化プログラミング」などに則っており、しかも「ありそうなところに、あるべきものが、ある」というコードをいう。反対語として「面白いコード」「個性が存分に発揮されているコード」がある。『プログラミング作法』では、「うますぎるコードはいけない」と断じられている。
- デバッグルーム
- 資料室兼小会議室。ときに仮眠室ともなる。「関係者以外立入禁止」という表示がされていることもある。文書用のロッカーの上にカップ麺の入った段ボール箱や寝袋やエアマットなどがあったりもする。一般的に社内なので鍵はかからないため、うっかり開けて灯りがついていない場合もあるが、仮眠している奴がいたりするのでペンライトは必携。
- ペンライト
- 看護士が使うようなペンライトもあれば、ミニマグライトやマグライトのソリティア(口に咥えて使うのに便利)なども含めて「ペンライト」と称す。
- 脳む
- 「考える」の意。「悩む」精神的だが、「脳む」は身体的。将棋棋士の「長考」に近いが、対戦相手はおらず、持ち時間の代りに納期があるだけ。
- ロジカル
- 「美しい」とも。「腑に落ちる」「良い」「すばらしい」の意で用いる。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない@まとめwiki - アットウィキ
脚注[編集]
参考資料[編集]
- Brian W.Kernighan・Rob Pike 著/福崎 俊博 訳『プログラミング作法』(2000)